未知なるライブ体験はお寺にあるのかもしれない。そう思わせてくれるイベントが富山県の白雪山善巧寺で開催される。
「お寺座LIVE」10年目の新しい試み
※ 写真は過去の「お寺座LIVE」公演時のものです
この寺院では、毎年「お寺座LIVE」と題して、音楽を軸に法話や読経を取り入れたライブを開催している。これまでにも、向井秀徳、七尾旅人、曽我部恵一、二階堂和美など錚々たるアーティストが参加しているが、10年目を迎えた今年は、新しい試みとして環ROYを迎え、ラッパーと僧侶による音楽とお経のセッションを実現する予定だ。
ラップとお経が融合すれば、どのような化学反応が起きるのだろうか。思えば、読経とは、木魚のリズムに乗せて、ブッダの言葉を発声していくもの。ビートに乗せてライムを刻んでいくヒップホップとの共通点もあるかもしれない……? 環ROYと読経隊が作り出すその場でしか味わうことができないライブセッションに期待だ。
言葉で伝えるラッパーと僧侶のトークセッション
「お寺座 extra」で行われるセッションは音楽だけではない。今回のイベントでは、環ROYと善巧寺の住職が、「言葉」「表現」「死生観」などをテーマに、ラッパーと僧侶、お互いの立ち位置から自身の思いを語り合うトークセッションが企画されている。
モデレータは以前ROOMIEでも紹介したスクールナーランダーでもプロデューサーを務めた林口砂里が担当。
本堂の舞台美術は、自らを「花見をする人」を意味する「花人(はなひと)」と自称する華道家・藤木卓、庭師の山崎広介による装植ユニット「名付けようのない季節」が手がける。
また、先ごろ「美術手帖」にも取り上げられた食のアートユニット「風景と食設計室 ホー」と、廃ビルをリノベーションして複合施設を手掛ける「HOUSEHOLD」がチームになって本堂内で飲食を提供する。現代アートと日本画の手法を取り入れた天井画も休憩時間に観覧自由。これも善巧寺の見どころのひとつ。
その場で感じたことを言葉に変換し、ライムを紡いでいくフリースタイルのラップは、まさに一瞬一瞬の「生」の連続だ。
これは、仏教でいう「この世の存在はすべて流動し、一瞬も存在は同一性を保持できない」という諸行無常の教えとも共通する世界観なのではないだろうか。
遠いようで近い二つの存在、僧侶とラッパー。2つの領域における言葉のプロフェッショナルが作り出すトークセッションは「お寺座 extra」でしか味わえない体験になるはずだ。
「お寺座 extra」■ 日時:2017年10月15日(日) 14:30 open/15:00 start
■ 会場:白雪山善巧寺(富山県黒部市宇奈月町浦山497)
■ 出演:環ROY、読経隊
■ 料金:3,000円(高校生以下1,000円、未就学児無料)
■ 申込み:公式サイト申込みフォームにて
■ 主催:お寺座実行委員会/PA:sound ETHNOS/協力:林口砂里(epiphany works)