建物の常識を変えるかもしれません。
ビル、橋、高速道路など、日本のインフラを支えている建造物たち。それらのほとんどはコンクリート製であるため、耐久年数が決まっています。特に高度経済成長時代に作られたものはその多くが限界を迎えており、大幅な補修などが急務の状況です。
しかし当然ながら、それらをすべて作り直すにはたくさんのお金と時間が必要です。でも、もし傷まないコンクリートがあったら…。
そんな、まるで夢のような素材を発明したのが、株式会社ニッコー代表の塩田政利さん。そのロングインタビューが、IBMのWebメディアMugendai(無限大)に掲載されています。
塩田さんが開発した夢の素材の正体とは、「液体ガラス」。ガラスと言えば、普通は固くて何かに塗れるような物体ではありません。溶かすにも、1400度以上の高温にさらす必要があります。
しかし塩田さんは、長年試行錯誤を重ねて独自の特殊技術を開発。ついに常温でのガラスの液体化に成功しました。この液体ガラスで建造物をコーティングすることにより、強度は大幅に増します。
そもそも、鉄筋コンクリートの最大の敵は「錆」。建造物に使われる鉄筋コンクリートの中では、コンクリートを作る際に混ぜられる水が徐々に蒸発し、内部に隙間ができます。そこに雨水が浸透して乾くと、雨水の成分である塩分、酸がコンクリートの中に残り、これが鉄筋を錆びさせる原因に。鉄はさびると膨張するため、コンクリートはひび割れ、さらに雨水が入るという悪循環に陥ってしまうんです。
それに対し、塩田さんが開発した液体ガラスはコンクリートに浸透し、表面に膜を作ることによって水の侵入を防ぎます。そのため鉄筋が錆に強くなり、コンクリート建造物が長持ちする、というわけです。
塩田さんは液体ガラスの開発のため、常務まで登りつめた企業を42歳でスパッと退職。世界中を巡って建築物を長期耐久化するヒントを探し回り、50歳で起業。実に10年近い歳月をかけました。
塩田さん率いるニッコーはこの技術を木材にも応用し、「燃えない、腐らない、割れない、シロアリなどに食害されない木造建造物」の普及を推進。国宝の厳島神社や京都の大覚寺、横浜港の大桟橋などにもこの技術が応用されています。
その他にも、営業職からアイデアを駆使して活躍した塩田さんのサラリーマン時代や、利益を日本の子どもたちの支援に使いたいという思いなど、インタビューの続きはMugendai(無限大)からぜひお楽しみください。
image: Mugendai(無限大)
source: Mugendai(無限大)
(渡邊徹則)