今から約150年以上前に暮らしていた人びとは、1年の季節を24分割にした「二十四節気」と呼ばれる区分けと、そこからさらに細分化された「七十二候」を暮らしに取り入れていた。72個の季節というと、だいたい5日に1つのペース。そのときの旬の食材を食べ、旬の花木を愛でる生活をし、自然の移り変わりとともに今よりずっと細分化された季節の移ろいを感じていたのだ。
七十二候の「意味」や旬の食材を知ることで、普段よりも敏感に季節の変化を意識できる。季節の移ろいを感じ、取り入れてみて、暮らしに深みをもたせよう。
前回の七十二候:夏バテ予防には旬のオクラを|七十二候ダイアリー「半夏生」
七十二候:温風至(おんぷういたる)
7月7日~7月11日ごろ
四季:夏 二十四節気:小暑(しょうしょ)
熱気を運ぶ風が吹き始める頃。南の方から徐々に梅雨が明けていくこの時期に吹く風を「白南風(しろはえ)」と呼ぶ。まだ雨が降る日も多いが、合い間に湿り気と熱を含んだ風を感じると、「いよいよ夏だな」と妙に懐かしくなる。
二十四節気では本格的に夏になる「小暑(しょうしょ)」。暑中見舞いを出すなら、今日から「立秋」までの時期に。梅雨明けを待ってから出すとよい。
旬の食材
沖縄の夏野菜既に梅雨明けし、ひと足先に夏を迎えている沖縄。ゴーヤ、とうがん、ヘチマなど、沖縄を代表する夏野菜は今が旬。古来から医食同源の考えが根付く沖縄には、これら伝統的な野菜や薬草をつかった独自の食文化がある。
とうがんは漢字で書くと「冬瓜」。それだけ見ると冬の野菜かと思いがちだが、夏が旬の野菜。貯蔵性が高く、夏に収穫したものが冬までもつという意味でそう名付けられた。
こち夏の代表的な白身魚なのだが、時期になってもスーパーなどではあまり見かけない。理由はほとんどが料理店へ直行してしまうから。外見は少しグロテスクだが、淡泊ながら上品な甘みのある高級魚。
カンカン照りの盛夏でもよく釣れることから、東京湾などでは夏にこちを釣ることを「照りごち釣り」と呼び、風物詩となっている。
本日の一句
ぬばたまの黒髪洗ふ星祭高橋淡路女
女流俳人の先駆け的存在だった高橋淡路女。妊娠中に夫に先立たれ、女手ひとつで長男を育てながら数々の優れた句を詠んだ。
七夕といえば願い事をしたためた短冊を竹に飾る七夕飾りだが、日本では他にも各地で様々な行事や習慣が行われてきた。女性たちが川などで髪を洗う「七夕洗い」もそのひとつ。今のように毎日髪を洗う習慣がなかった時代、この日に洗うと水に清められて髪が美しくなるといわれていた。
次回は「蓮始開(はすはじめてひらく)」。
illustrated by Kimiaki Yaegashi参考文献:白井明大(2012)『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―』東邦出版.
Healthy bitter gourd salad via Shutterstock
Fish fresh and tasty seafood,bartail flathead fish isolate on white background ,raising ornamental fish via Shutterstock