学習院大学をはじめ、多くの教育施設が集まる文教地区として知られる目白。山の手線で池袋まで1駅の都市部とは思えない、緑豊かな住宅地が広がるエリアだ。
そんな目白駅から徒歩5分ほど、静かな住宅地の奥まった一角に、建築関係の仕事をする磯圭一さんが、友人4人とセルフリノベーションしながら暮らすシェアハウスがある。以前ROOMIEで紹介した三茶ハウスの分家ということで、どのような空間になっているのかワクワクしながら伺った。
名前:磯圭一さん 今泉宏優さん 加藤雄一朗さん 藤原直矢さん 眞鍋匠さん(インタビュー時不在)職業:建築・不動産関係
場所:東京都豊島区
面積:約120㎡ 5LDK(リノベーション後)
家賃:14万円
築年数:築64年
お気に入りの場所
人が集まるアイランドキッチン玄関を入って最初に目に飛び込むのは、使いやすそうなアイランド型のキッチン。初めは壁沿いに配置してみたが、アイランド型に作り変えたのだそう。
このカタチになってから、自然と人がキッチンの周りに集まるようになった。毎年恒例になっている年末の忘年会では、朝から築地市場で魚を仕入れて本格的に料理するそうだが、お客さんもみんなキッチンの周りに自然と集まって、にぎやかになる。
壁を壊して広くした、家の中心になるリビング
リノベーションの様子を見せてくれた
1階の中心を占めるのは、収容人数がだいぶ多そうな、広々としたリビング。横浜のミニシアター・ジャック&ベティの改装時に売りに出たという映画館の椅子が、またいい雰囲気。
プロジェクターとスクリーンも完備で、朝まで映画を観るイベント「オールナイト雄一郎」を、加藤さん主催で開いているそうだ。テーマに合わせてセレクトされた映画を、みんなで堪能する。実は取材前日もやっていて、ついさっきまで友だちがいたのだと教えてくれた。
それぞれの自室メンバーの個室は、1階に2部屋、2階に3部屋。各部屋の間仕切りがラフでオープンな三茶ハウスに比べて、部屋として独立していて、プライバシーを保てる空間になっている。普段は自室にいることが多く、帰宅時間もバラバラなため、あまり顔を合わせないメンバーもいるらしい。
いちばん広い磯さんの部屋は、斜めに貼った壁材が特徴的だ。大きな収納スペースも使いよさそう。
今泉さんの自室にもDIYのアイデアが光る。
「奥の水回りと部屋の間仕切りに、古いふすまを利用しました。間接照明風に光が差してお気に入りです。マガジンラックにしているのは、ふすまの下のレール部分ですね。オープン収納に使っているのは、みんなで行った長野のリビルディングセンターで買った棚板です」
ターンテーブルが置かれた加藤さんの部屋は、レコードがぎっしり。リビングにアクセスしやすく、ほとんどリビングで過ごすそう。
藤原さんの部屋は、ロフトと床下の本棚がこだわり。ホームパーティの際には、ここも開放されるという。
この部屋に決めた理由
9人の建築男子がふた手に別れ、暮らしながらセルフリノベーションし始めたシェアハウス。2015年春、この目白の物件と、以前ROOMIEで紹介した三軒茶屋の物件に住みはじめた。
最低条件は、それぞれの勤務先へのアクセスを考えて立地がいいことと、全員が自室を持てる広さ。古さは気にはなったが、ボロボロの家のリノベーションだからこそ燃えて、チャレンジしたいと思ったところもあったそう。
詳しいリノベーションの過程については「リノベーションストーリー」にて。
残念なところ
日当たりが悪く、冬は外の方が暖かいくらい寒い庭に茂っていた草を刈りウッドデッキを作ったおかげで、最近は少し明るくなったが、日が入ってくるのは縁側くらいまでで、リビングまでなかなか陽が入らない。
冬は外の方が暖かいぐらいで、友だちを呼んでパーティをする時は、リビングだけでストーブ4台使ってやっと暖かくなるほど。とくにリビングが寒くて、冬はみんな自室にこもりがちらしい。
内側から修復しても雨漏りする普通は外側から工事するが、費用がかかるため、見つけ次第内側から修繕している。
お気に入りのアイテム
DIYした自室の収納棚(磯さん)磯さんのお気に入りアイテムは自室にある収納。
「本が入っている棚は大学で拾った木材と、拾った家具を組み合わせてDIYしました。レターボックスも、大学で見つけたものにアイアン塗装して仕上げています」
ふすまを活用した仕切り(今泉さん)今泉さんの自室にもDIYのアイデアが光る。
「奥の水回りと部屋の間仕切りに、古いふすまを利用しました。間接照明風に光が差してお気に入りです。マガジンラックにしているのは、ふすまの下のレール部分ですね。オープン収納に使っているのは、みんなで行った長野のリビルディングセンターで買った棚板です」
DIYしたリビングのテーブルと、パナソニックのラジオ(加藤さん)
リビングの中心に置かれたテーブルは加藤さんがDIYしたもの。
「余ったフローリング板と、ヤフオク! で購入した脚で作りました。自分の部屋には大きすぎたのでリビングに置いています」
また、DJが趣味という加藤さんのもうひとつのお気に入りが、パナソニックのラジオ。料理のお供にいつも点けているそうだ。
アンティークのランプと、手作りの本醸造醤油(藤原さん)アイランドキッチンの雰囲気づくりに一役かっているのが、藤原さんがヤフオクで購入したというガラスのランプ。すべてデザインが違うのがかわいい。
藤原さんのご友人が千葉県で運営している「HELLO GARDEN」のワークショップで作ったもの。「HELLO GARDEN」は新しい暮らし方を実験する広場で、グッドデザイン賞も受賞している。食べごろまでは、まだあと少しかかるらしい。
暮らしのアイディア
ロフトや収納をDIYして、スペースを確保どの個室も物が少なくスッキリとしている印象。その秘密は、各部屋に設けられたロフトにあった。物を上に収めることで居住スペースを広く確保し、インテリアを楽しむことができる。
オイルステインは自作できる
デッキに塗ってみてもらった。まだちょっと薄め
木材を使ったリノベに不可欠のオイルステイン。購入するとわりと高価だが、作れるのではと実践してみたら、わりと簡単にできたそうだ。主な原料は酢とスチールウール、色付けはトマトジュースやコーヒーでできるというから驚き。
これからの暮らし
こうして落ち着いて住めるところまでリノベーションが進んだのは、本当に最近のこと。契約期間が3年で、あと1年足らずしかないが、できれば延長してここで暮らしたいという。まずは、現在シャワーしかない風呂場の整備を進めたいと話していた。
プライベートが保たれた自室を確保しながら、居心地のいいリビングとキッチンを備えたシェアハウス。住みながらセルフリノベーションする建築男子ならではのシェアスタイルではあるが、各所には真似できそうなDIYのアイデアが詰まっていた。素敵な空間に生まれ変わった一軒家、必要に応じて手を加えながらできるだけ長く残していって欲しい。
Photograghed by Kenya Chiba
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