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「虹始見」雨上がりに見える春の知らせ|七十二候ダイアリー

2017/04/17 22:30 投稿

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桜が咲いて初々しい新社会人を街で見かけたら「春だなぁ」と、道すがら蚊取り線香の匂いがすると「夏だなぁ」と、なんとなく思うことがあるものの、僕らが日常生活の中で季節の変化を意識することはそんなに多くない。

今から約150年以上前に暮らしていた人びとは、1年の季節を24分割にした「二十四節気」と呼ばれる区分けと、そこからさらに細分化された「七十二候」を暮らしに取り入れていた。72個の季節というと、だいたい5日に1つのペース。そのときの旬の食材を食べ、旬の花木を愛でる生活をし、自然の移り変わりとともに今よりずっと細分化された季節の移ろいを感じていたのだ。

七十二候の「意味」や旬の食材を知ることで、普段よりも敏感に季節の変化を意識できる。季節の移ろいを感じ、取り入れてみて、暮らしに深みをもたせよう。

七十二候:虹始見(にじはじめてあらわる)

4月14日~19日ごろ
四季:春 二十四節気:清明(せいめい)

雨上がりの空に、虹がかかり始める季節を表わしている。この季節から、だんだん虹を見る機会が多くなってくる。虹は、太陽の光が雨粒の中で反射や屈折を起こし、光の色の違いから現れるもの。「春の長雨」という言葉もあるように、この季節、天気がぐずつき雨が降ることが多いため、虹が出始める。ちなみに春に初めて見る虹は「初虹」と呼ばれる。

虹は太陽の光の反射で見えるものなので、夕立ちや通り雨のあと、太陽と逆の方向に出やすい。太陽の位置によって虹のかたちも変わるので、時間帯としては、(太陽が低い位置にある)夕方ごろが多い。確かに小学校の下校時間、よく虹が出ていたことを思い出す。

旬の食材

メバル

江戸時代からよく親しまれていたメバルは、春の訪れを告げる「春告げ魚」と呼ばれる。もともとは「ニシン」がその役を務めていたが、漁獲量の減少により最近では呼ばれることも少なくなった。他にアマゴ、サヨリ、イカナゴ、サワラなども春告げ魚に含まれ、地域によっても異なる。

メバルの名前は目が張っている=「目張」というところからきている。棲む場所(深さ)によって赤、金、黒などの色が異なると言われてきたが、最近ではそもそも種類が異なるという研究も出てきた。煮つけをはじめ、から揚げや刺身、塩焼きなど調理方法はさまざま。

みつば

江戸時代から栽培されていた、セリ科ミツバ属の多年草(毎年花を咲かせる植物)。葉が3枚に分かれており、よく茶碗蒸しの上に載っている。

調理の幅は広いが、みつばは熱しすぎたり乾燥すると、大事な香りが落ちてしまうのでご注意。

本日の一句

古池や 蛙飛び込む 水の音

松尾芭蕉

誰もが一度は聞いたことのある、有名かつものすごくシンプルな春の一句。蛙といえば、かつて上記のメバルは、その目の大きさから「蛙が化けたもの」と考えられていたこともあったという。

illustrated by Kimiaki Yaegashi

参考文献:白井明大(2012)『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし―』東邦出版.
Black Rockfish image via GettyImeges
Japanese vegetables called Mitsuba image via Shutterstock

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