しかし、「ブルックリン=かっこいい」というイメージがついたのはつい最近だ。数十年前までは、危ないエリアとして観光客はあまり近づかないような場所だった。
そんな、移り変わるブルックリンの歴史を知る117年前のレンガ作りのレトロな建物。そこに佇むのがNYで一番古いウイスキー醸造所「Kings County Distillery」だ。
「一番古い」というと、この建物のように100年以上の歴史があるのかと思ってしまうが、実は2010年創立。今年で7年目の醸造所なのだ。
初めてこのウイスキーに出会ったのは仕事でNYに行ったとき。ビール派な私はブルックリンブルワリーを目指していたのだが、ふらりと入ったリカーショップで店員さんに勧められたのが「Kings County Distillery」のウイスキーだった。
アルコール全般好きだが、実はウイスキーは得意ではない。しかし、それを補うほど惹かれてしまった瓶のデザイン。お酒好きににあるまじき「味」ではなく「見た目」で購入してしまった。
この醸造所は昔ながらの用法なので大量生産はしていない。そのためウイスキーの種類は多くないが、私が購入したのは王道なものではなくカカオが入った「チョコレートウイスキー」。これが思った以上にハマってしまった。
ちなみに、このカカオはブルックリンの有名チョコレート店「マストブラザーズチョコレート」のもの。ベースのウイスキーは、原料の80%が地元NYのものを使用するなど地産にこだわりを持つ「地元愛」が詰まったものだ。
カカオのビターな味が、チーズやチョコレートなどと相性がいい。
遅く起きた休日の昼間、ベランダにビーチチェアを広げてお気に入りの本を読みながらチビチビ飲むのに最適だ。
飲み終えてもなおブルックリンの香りは消えない。そう、この瓶を捨てるなんてもったいない。
置いているだけでもかっこいいが、住まいに彩をもたらす一輪挿しにしてもよいだろう。主張しすぎないシンプルなデザインは、野の花でもバラでもなんでも絵になる。
まだ創立して間もない醸造所だが、「ADI Craft Spirit Award」や「San Francisco World Spirits Competition」などさまざまな賞を受賞しており、世界的に注目を浴びている。
醸造所内にはツアーも行われおり、テイスティングルームもあり試飲も可能だ。
ブルックリンの新たな魅力として、醸造所を巡ってみるのも楽しいだろう。
[Kings County Distillery]