そんな現状をふまえ、なんとかしてこのトイレットペーパーを再利用できないだろうかというアイディアから生まれたプロジェクトが「Waterschatten」だ。
このプロジェクトはオランダのデザイナーNienke Hoogvlietさんと、オランダの水道機関が協同したもの。
プロジェクト内容は、使用済みトイレットペーパーの繊維素を取り出し、それを持続可能なオブジェクトに作り変えるというものだ。テーブル、ライトの造り付け、そしてデコレーション可能な器。これらのもの全てが、本プロジェクトから誕生した。
どれも洗練された美しいプロダクトで、とても使用済みのトイレットペーパーから作られたとは考えられないでき栄えだ。
そもそもこのプロジェクトは、オランダの水道機関が下水にある再利用可能な資源をもっと活用したいと考えたことにより始まった。そこでNienke Hoogvlietさんに相談し、プロジェクトが動き出したのだ。
その資源の1つが、使用済みのトイレットペーパーであった。
ふるいにかけられ、かなり細かな砂状の粒になっている。とてもトイレットペーパーには見えない。
Nienke Hoogvlietさんは、この使用済みのトイレットペーパーという資源をできるだけ美しくし、汚いというイメージを払拭するために器などを作成した。素材は全く汚くなく、臭いもしない。実際、これらのオブジェクトを一般展示公開したところ、好評だったとのこと。
ほとんどの人が驚き、そして汚いと感じた人はほとんどいなかったそうだ。
もちろん、紙でできていることと、元の素材が使用済みトイレットペーパーであることから、器は食器としての使用はできない。
ただ廃棄予定だったものがこんなにも美しく生まれ変わり、使用可能になるということを、このプロジェクトは証明している。今後オランダの水道機関は、オランダ内で使用済みのトイレットペーパーが日常で使われるものにリサイクルされることが“普通に”なるよう、取り組んでいくとのこと。
地球のために、日本でも取り組んでほしいユニークなプロジェクトである。
Waterschatten [Nienke Hoogvliet]