秋の大型連休が終わり、ようやく普通の週末になりましたね。
露木行政書士事務所・露木幸彦と申します。
夏休み、お盆休みときて、9月にも大型連休があると
何だか、遊んでばかりのような気がして、ちょっと罪悪感が残りますね。
(事務所はカレンダー通りなので、それほど遊んでいません)
でも、暑い時期に仕事をすると、エネルギー効率が悪いらしいので
そういった意味では、利にかなっているとも言えるのかもしれません。
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「養育費さえ約束してくれれば、他には何もいらない」
本当なら請求できる慰謝料や財産分与、そして生活費を放棄してでも
とにかく養育費を確保したい・・・
そんな謙虚で健気で控えめな希望すら
当たり前のことを当たり前のやっても上手くいかないことが多いですが
ごくごく最低限の条件を実現するにはどうすれば良いのか。
具体的な流れ、手順、対処方法を紹介してきました。
前回は年金、退職金の話ですが、今回は家財道具の話を取り上げてみましょう。
<今回の登場人物>
夫(34歳、会社員、年収600万円)
妻(32歳、専業主婦)
子(1歳)
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http://ameblo.jp/yukihiko55/
ところで結婚から離婚までの財産について
事細かに紹介してきましたが、
一方で独身時代の財産、両親等からの贈与、
相続財産はどうなるのでしょうか?
少なくとも独身時代は相手を知り合って
いなかったのだから、基本的に相手がいようといまいと、
お金を貯めることはできたはずです。
そう考えると独身時代の財産における
相手の貢献はゼロだと言いきって良いでしょう。
次に両親等からの贈与、相続財産ですが、やはり同じように
相手がいようといまいと、おそらく両親はお金をくれたでしょうし、
お金を残して亡くなったでしょう。
結婚せずにフラフラしているから、お金をなるべく渡さない、
あんまり残さない。
結婚して落ち着いたから、
ちゃんとお金を渡すし、きちんとお金を残してあげる・・・
そんなふうに結婚する、しないで差をつけるような両親は
ほとんどいないでしょう。
いずれにしても両親等からの贈与、相続財産を
手に入れることができたのは、お金に余裕がある家に
「たまたま産まれた」という幸運の賜物であって、
どのような家庭に産まれるのかを選ぶことは
できませんが、そもそも出生の時点では
まだ相手を知り合っていないのだから
全く関係がありません。
このように考えると独身時代の財産と同じく、
やはり贈与、相続における相手の貢献は
やはりゼロなのです。
法律上、夫婦の共有ではなく、夫または妻の
固有財産のことを特有財産(民法762条)と呼びますが、
独身時代の財産、両親等からの贈与、
相続財産はまさにそうです。
特有財産の扱いは共有財産とは異なり、
財産分与の原則(共有財産を離婚時に折半する)は
適用されません。
具体的には夫の特有財産は離婚後も夫の財産、
妻の特有財産は離婚後も妻の財産という具合です。
このように財産が共有か特有かは極めて重要ですが、
このことで揉める典型的なパターンは「家財」です。
例えば、結婚するとき、同棲するとき、家を新築するときに、
結婚の祝い金や両親からの援助、そして独身時代の貯金で
家財、家電、家具などを揃えることが多いです。
そして最初から最後まで夫婦が仲睦まじいまま、
添い遂げれば良いのですが、万が一、離婚することになった場合、
これらの家財等はどうなるでしょうか?
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例えば、「妻」の親戚からの祝い金、「妻」の両親からの贈与、
「妻」の独身時代の貯金だとして、新築した家には離婚後、
夫が住み続け、妻子が出て行くというケースを
例に紹介しましょう。
前述のように家財、家電、家具は夫婦の共有財産ではなく、
妻の「特有財産」です。
今現在、家のなかに家財等は置かれたままで、
夫は当たり前のように冷蔵庫で食材を保存し、
洗濯機でYシャツを洗って、掃除機で書斎のほこりを
取っているかもしれませんが、実は当たり前ではないのです。
なぜでしょうか?
家財等の権利を持っているのは妻であって、
夫は権利を持っていないからです。
では、権利を持っていないにも関わらず、
夫が家財等を何食わぬ顔で使うことができるのかというと、
妻が知らぬ存ぜぬという感じで一切、文句を言ってこないからです。
本来ならきちんとした「許可」が必要ですが、
このような「黙認」では決して十分ではないでしょう。
仮に自宅の権利を夫が10割持っていたとしても
同じことです。
自分の家のなかにある冷蔵庫、洗濯機、掃除機は
「自分のもの」というジャイアン的な発想は
現実世界では通用しないのです。
だから、もしも離婚後も、非権利者である夫が引き続き、
家財等を使い続けるのなら、権利者である妻に対して
「使用料」を支払っていくか、
まとまったお金を即金で納め、家財等を
買い取らなければならないのが筋でしょう。
万が一、使用料も払わないし、買い取りもしないのなら、
妻は自分の財産なのだから、家財等を引き上げることも
可能といえば可能です。
確かに今現在、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などは
夫が使っているのですが、そんなことは関係ありません。
冷蔵庫のなかの食材は捨てて、洗濯機のなかの
Yシャツは放って、掃除機のなかのホコリは撒いて、
冷蔵庫、洗濯機、掃除機を持ち出せば良いのです。
なお、冷蔵庫、洗濯機、掃除機というのは
あくまで数ある家電のなかの一例です。
実際にはテーブルやイス、ベットや布団、
テレビやパソコンなど、ありとあらゆる
家財、家財、家具を持ち出すのだから、
本当にこんなことを行動に移したら、
家のなかは「もぬけの殻」で、夫が仕事でクタクタに
なって家に帰ってきたら、開いた口が閉まらなくなるでしょう。
仕事の疲労感は2倍、3倍に膨れ上がり、
茫然とその場に立ち尽くしたり、ショックのあまり
崩れ落ちて座り込んでしまうはずです。
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しかし、今回の場合、妻は子供のことを何より
最優先に考えています。
「法律で決まっているのだから。
誰のおかげでタダで家財を使うことができたと思っているの?
家のなかにあるものは私のものなんだから!」
そんなふうに正論を正しく振りかざしたところで、
夫は「はい、そうですか」と二つ返事で答えるとは思えないので、
「家財を正当な値段で買い取らせる」という結論に至るまでに
膨大な時間を要するのは目に見えています。
このように特有財産の権利にこだわることで長期化するのを
必ずしも望んでいないので、そのせいで長引いたら、
養育費を減らされるようでは本末転倒でしょう。
ですから、妻の希望条件を受け入れた上で
今すぐ協議離婚に応じてくれるのなら、
家財等はすべて置いていっても良いでしょう。
ただし今回の場合、タンスは妻にとって
母の形見だったようで、これはどうしても譲れないそう。
夫は夫で妻子がいなくなった
家に1人寂しく暮らしていくのですが、
もちろん、洋服やアクセサリー、パジャマなどの
私物は妻が持ち出すので、今までのように大きな
収納スペースは必要ありません。
だから、妻がタンスを1つ、持って行ったところで
日常生活に支障はないはずなので、その点については
あっさり説得することができました。
このように満額の養育費を引き換えに、
特有財産を放棄するという駆け引きをするのですが、
もともと家財等は妻の財産だったはずで、
妻が徹底的に白黒をつけようとすれば、
夫が家財を手に入れることは難しかったはずです。
「本当はもらえないはずの家財をもらうことができる」
それは夫にとって悪い条件ではないでしょう。
「俺のものは俺のもの。お前のものも俺のもの」と
いうジャイアン的発想にも似ていますが、
相手の立場をわきまえた上で自分の希望をのませるという、
簡単そうだけれど、なかなか出来ないテクニックの1つです。
(次回に続く)
現在私が執筆しているダイヤモンドオンラインの連載
『実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」』ですが
おかげ様で7回目が公開されました。
今回は『熟年離婚したほうが得!と夫を捨てる妻たちの事情』です。
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