「冷やし中華、始めました」の看板につられて今年初めて食しました。
露木行政書士事務所・露木幸彦と申します。


「夫の都合で嫌々、離婚せざるを得なくなったのに、
お金を渋るなんてどういうこと!」



そんなふうに怒りをぶちまける場面は
「よくあるケース」で決して珍しくありません。



「俺の都合で悪いんだけれど、別れて欲しいんだ」



そうやって何の前触れもなく、夫の方から唐突に離婚を切り出すと
当然のことながら、最初のうち妻は断固拒否。



しかし、途中で女の存在を察知してしまい・・・



最後には離婚に同意したのですが、妻の人生は
完全に狂ったので慰謝料は欲しいし、
まだ子供が10歳なのだから養育費をもらいたい。



だから「離婚に応じる代わりに」と
お金の条件を提示したのですが、
夫は「そんなに払えるか!」と逆上!


無視を決め込み、すでに1年が経過。妻は決して高望みしておらず、
これから生きていくのに必要最小限の金額。



これ以下はあり得ないのですが、どうしたら妻が希望する条件を
夫にのませることができるのでしょうか?
具体的な流れ、手順、対処方法を紹介していきましょう。



<今回の登場人物>
夫(36歳、会社員、年収500万円)
妻(34歳、パートタイマー、年収120万円)
子(10歳)



<妻の希望条件(離婚に応じるのなら)>
養育費 毎月6万円×20歳まで
慰謝料 150万円
過去の未払い生活費 42万円



最初の段階で、夫と妻は互いの両親を交えて話し合いを
行ったそうです。



夫はその場で「自分は他人のことを干渉しない。
(だから他人も自分のことを干渉すべきではないので)
自分はやりたいことは必ずやりたい。俺はそういう人間なんだ」と

悪びれることなく言い放ったそうですが、
もちろん、同席者は全員、唖然とせざるを得ませんでした。


ところで夫の言う『やりたいこと』とは一体、何なのでしょうか?


夫の過去の言動を辿ってみると、
例えば、職場の同僚とラブホテルで性交渉をしたいがために、
子育てをそっちのけでアルバイトに精を出して
ホテル代を稼ぐ、


同じ時間帯に妻が子育てでヘトヘトに疲れ果てているなか、
自分は愛人と性交渉に及ぶ、


実家に帰ったまま戻ってくる気配もなく妻子を
不安のどん底に突き落とす、


そしてこれらの悪態を棚に上げて離婚を切り出すこと・・・


あくまで一例ですが、これが夫の『やりたいこと』なのでしょう。


夫が『やりたいこと』を本当にやったらどうなるのか、
誰にどのような迷惑がかかるのか、どのくらいの損害を与えるのか、
そして人生を狂わせるのか、前もって予見できたはずなのに
歯止めが利かなかったのだから救いようがありません。


また夫は話し合いの場で「自分が我慢すればいいことだと
わかっていても、その我慢が出来ない」と吐き捨てたそうです。


まるで性欲を我慢できなければ不貞行為に及んでも仕方がない。
妻子に迷惑をかけ、損害を与え、人生を狂わせても
『後で補償すれば良い』」と言わんばかりだったそうです。


しかし、夫には『やりたいこと』をやめれば、妻子に
迷惑をかけ、損害を与え、人生を狂わせることもないの
ですが、夫にはごくごく当たり前の選択肢が
抜け落ちていると言わざるを得ません。


結局のところ、『やりたいこと』をやるためなら、
誰がどんなに怒り、悩み、苦しんでも
『俺の知ったことではない』『俺さえ良ければ、妻子は
どうなっても構わない』非人間的で非常識で
自己中心的すぎる人間なのです。


また性欲を我慢できなければ不貞行為に及ぶのも
仕方がないという屁理屈がまかり通れば、
誰でも「やりたい放題」になるのだから、
世の中の秩序は崩壊するでしょう。


逆にいえば不貞は明らかな違法行為であり、
どんな理由があろうと正当化することはできないのです。


ところで夫は前述の話し合いの場で「全部、俺が悪い。
自分がしたことに対しては責任を取るべきと思っている。」と
軽々しく豪語したそうですが、


まるで『やりたいこと』をやったせいで妻子に迷惑をかけ、
損害を与え、人生を狂わせたとしても、自分には完璧に補
償する自信がある、そして妻子を納得させることが
できるから大丈夫だと言わんばかり。


しかし、本当にそんなことが可能なのでしょうか?





妻が夫と結婚するにあたり、望んでいたのは、たった1つです。
それは「夫と一緒に暮らし、子供を育てること」に他なりません。


籍を入れて夫婦になるのだから、ごくごく当たり前のことであり、
決して高望みしているわけではないでしょう。


だから、妻が本当に望んでいるのは養育費や慰謝料、
財産分与の金額を増額することではなく、「離婚しないこと」なのです。


本来、夫が浮気をし、家出をし、離婚を切り出したせいで、
妻が望んでいる「夫と一緒に暮らし、子供を育てること」とは
程遠い生活を余儀なくされているのだから、


夫のしかるべき責任の取り方は「不倫をする前の生活」に
戻すことでしょう。


しかし、夫は離婚を切り出し、離婚の条件を突きつけた
挙句、生活費を止めてきたそうです。


そのような相手を連れ戻したところで、
元の生活に戻るのは難しいから、妻が百歩譲って
原状回復ではなく金銭補償で妥協しているのです。


ところで壊したものを元通りに直さなければならないと
いうルールは幼稚園児が幼稚園で習うことです。


結局のところ、夫は「全部俺が悪い。自分がしたことに
対しては責任を取るべきと思っている。」と豪語しておきながら、


夫は壊したものを元通りに直すことすら出来ない未熟で
愚かで幼稚園児以下の人間だということを自覚した上で
即刻、妻の希望条件を受け入れるべきだと私は助言したのです。



(次回に続く)

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