4ヶ月のスパンを経て、電撃大賞銀賞の将棋ライトノベル『王手桂香取り!』の第2巻がめでたく発売されました。この作品を全力応援する当チャンネルとしては、発売日にはレビューを書きたかったのですが、諸事情あって延び延びになってしまいました(本編も全然更新できずすみません)。ようやくある程度時間が取れましたので、数回に分けてやっていこうと思います。
第一局 真・将棋の神様
王将・玉将の化身である女王様が登場したところで「To Be Continued」、が前巻のラストでした。香車、歩、桂馬も将棋の神様に匹敵するという触れ込みで登場したわけですが、この女王様こそが将棋のすべてを知っている真の将棋神というわけです。界王より上の界王神みたいなもんでしょうか。
さて我々将棋ファンは、一度は将棋の神様というものを想像するものです。可能な手の数は10の220乗、全宇宙の原子の数よりも可能性を秘めた将棋。そのすべてを知っている存在とはいったい何なのか。主人公の歩くんは読者(というか将棋ファン)の疑問を代弁するかのように、女王様に質問します。
「先手と後手が初手から最善手を指し続けた場合、どちらが必勝になるのでしょうか?」
女王様はあっさりと答えます。
「私が答えだ」
先手だろうと後手だろうと私が指せば私が勝つ――現実にはこの質問に答えを用意できるわけがないので、作者さんは物語的に、キャラクター的に一番面白い答えとして、こんな風に書いたのでしょう。神様らしさを十全に出したシーンと言えます。
この第一局は、大半が女王様とのマンツーマン。歩のご先祖様との関係がわかったり、ケーキ大好きという可愛らしいエピソードが盛り込まれます。さっそく存在感を発揮しているのですが、メインヒロインの大橋桂香先輩は負けずにアピールできるのか、気になるところです。歩は練習対局のために、何度も彼女の家に招かれていますから、すでに相当進んでいるといって差し支えないかもしれませんが。そして彼女の父である大橋名人の登場も示唆され、こちらも期待が高まります。
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