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スキー場のゲレンデ相場

2016/02/10 12:07 投稿

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昨年6月に高値3595円をつけ、そこからわずか7か月余りで1078円という安値までまるでスキー場のゲレンデを滑り下りるような下げ方をしている銘柄があります。


 通常ならこれは昨年上場した新興市場銘柄でしょう?と言われるのかも知れませんが、実は大手企業のグループ下にある東証1部上場銘柄、しかもJPX日経インデックス400採用銘柄なのです。
 流動性もあって機関投資家や外国人投資家にも人気のある銘柄ですが、業績が第3四半期から急速に悪化していることを背景に株価の凋落が見られます。


 最近の株式市場はこうした強烈な下落トレンド相場を続けている銘柄と新高値に躍り出た銘柄による二極化の嵐が吹き荒れています。

 この下落トレンドがどこで終止符が打たれるのかが関心の的ですが、更なる苦難が待っているのか読めない不安心理が市場全体を覆っている状況です。


 こうした銘柄がなぜ下げ続けているかと言えば多くは業績が悪化している点に尽きます。

 新日鉄(5401)、神戸製鋼(5406)の鉄鋼株、日本郵船(9101)、商船三井(9104)川崎汽船(9107)などの海運3社などはその典型例です。

 日揮(1963)、千代建(6366)などのプラントエンジニアは2014年1月にピークを打ち、下がり続けています。


 東芝やシャープなどに象徴される電機セクターは高度成長時代に日本の産業の中核を担い投資家の評価も高かったのですが、今や完全に斜陽と言っても良いか と思います。ところが電子部品やモーター、ロボット産業、自動車など日本のお家芸のような産業は成長を見せており、ビジネスや経営手腕によって随分と差が 出てきました。


 電機セクターだけではありません。海運、商社、鉄鋼といった中国経済の影響を受けているセクター銘柄の下げは昨年半ばから強烈です。ただ、株価の位置は 既に収益の低迷をかなり織り込んできました。苦境が伝えられたとしても株価にはかなり織り込まれている可能性があります。
 マイナス金利でここに来て売られた銀行株への不安心理が流れるなど全体相場はなお波乱含みですが、物事には表と裏があります。原油価格が下がればナフサなどの原材料価格も値下がりし、製品コストの低減にもつながるほか、電力料金の引き下げにもつながります。
 産油国経済への不安があることで株式相場は不透明が漂うわけですが、その裏腹で企業収益にはプラスに働くことになります。

 マイナス金利政策で為替も一時は1ドル=121円台にまで戻りましたが、また117円台への円高に向かい、これが株価にもマイナスとなっています。

 過去のデータからは1円の円安でおよそ257円の日経平均株価上昇となる計算ですが、逆に1円の円高で257円下げる計算となります。1ドル=110円台に向かうとなればここから日経平均は2000円ほど下落することになります。
 オーバーシュートもあり、これは2000円幅では済まないことも考えられます。
 その場合は日経平均1万4000円台の可能性もある訳です。

 一方でここから円安に向かうという見方もあり、また1ドル=125円台に向かうとなれば、ここから日経平均は2000円ほど上昇することになります。底割れした後の日経平均はやはり戻りが鈍いと感じる投資家が多いのかも知れません。

 下げトレンドが終わっていないと感じる投資家が増えればまた下値を模索することになりますが、これまでとの違いは現在は2月で3月の配当取りの動きが出やすい点です。
 マイナス金利の時代に突入した今、潤沢な資金を抱える銀行が企業への融資を積極化せざるを得ないことになります。その資金は不動産の収益物件、高配当利回りの株式に向かうのは理に適っています。


 ところで、冒頭の銘柄ですが、NEC系の日本航空電子(6807)です。
 昨年6月の高値3595円から約3分の1以下に下落してきましたが、第3四半期から急激に業績が悪化してきた点が背景です。

 それでも今期の業績は売上高1790億円、営業利益176億円、経常利益167億円、当期利益125億円とまだ水準としては高水準にあります。
 これまでの業績変動からして今回また経常利益60億円も考えられるかも知れませんので投資家は慎重なようです。

 時価総額は1,000億円に接近していますが、今期がボトムで来期からの回復が見えてくれば株価のリバウンドも大きくなると見られますが、当面は業績の底打ちを待つ局面が続きます。
 今期の予想EPS138円で時価1129円はPER8.2倍にしか過ぎません。

 PBR1倍以下、配当利回りは3%でもあり、株価は今期業績の下方修正をほぼ織り込んできたという感があります。


 それにしても見事な下り坂です。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)



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