新年早々から下げ続けた日経平均が先週末は大きく反転してきましたが、日経平均やNYダウが昨年の高値から16%から20%の下落に及んで、これからリー マンショックのような一段安に向かうという意見と、ここで下げ止まって株高に向かうという意見が真っ向から対立しているように見えます。
株式投資をされている皆さんの多くは株高は賛成であろうかと思いますが、いつまでも上げ続ける株式相場はなく時にコレクションがあって、紆余曲折を経て、再び上昇に向かうというのが過去の経験則で言えることです。
結論から言うと現状はとても微妙な段階です。
下げの材料がリーマンショック時のような経済に深刻な影響をもたらす事象を背景にしたものか否かになりますが、そこが読み切れないためです。
現在ネガティブな材料は枚挙にいとまがありません。だからこそ株式相場全体が大きく調整している訳でそれらが一つ一つ払拭されるか、それらに対応した政策が打たれるかが相場復活の鍵となります。
ここでの主な株価下落要因は、
1.原油価格の下落
1バーレル=27ドル前後まで値下がり後に32ドル台まで戻り、短期的な底打ちのシグナルを示しています。
今後のシナリオとしては、
1)今後3か月程度の間、30ドルから40ドルの間での変動となる。
2)一定水準まで戻りを入れて再び30ドルを割れ1バーレル=25ドル程度まで下落する。
3)世界経済の復調に従い、石油需要が復活して、これまでの下落相場から一転して6か月程度の期間で1バーレル=50ドル程度までの上昇を見せる。
という予測をしておくことにします。
日本のガソリン価格は庶民的感覚でいう1L=100円前後まで下落しており、割安感が出ていますので、もうこれ以上の価格下落は考えにくいのではないか。中国や台湾、韓国のほか北米などでも直近の寒波到来で石油の消費が増加している可能性も考えられます。
冷静に見るとリーマンショック後の価格を下回っている点から長期的視点でボトム水準に到達している可能性が高いと筆者は見ています。
原油価格の下落はサウジやロシアなどのエネルギー産業で成り立っている国の経済に影響をもたらすとの発想が今回の相場下落に拍車をかけた面があるので、 今後も引き続き原油価格の動向には関心をもっておく必要がありますが、一方で原材料価格の低下が企業収益面ではプラスに働くとの冷静な見方をしておきたい と思います。
いずれにしても相場は行き過ぎがつきもの。上にも下にも行き過ぎがあるので、未来永劫下落するというような過度な見通しを持つ必要はないし下落したことをメリットとして捉えることも可能です。
2.中国経済の先行き不透明感
いい加減なGDP統計で本当の景気動向はよくわからないが輸入統計などからは相当に悪いと推察されますが、このことがどこまで市場の中で織り込まれているのかが読み難い。
中国経済が一朝一夕でどうなるというものではないが、政策の手立てはまだ残っているので、立て直しまで時間稼ぎができます。
香港株、上海株とも大きく高値から下落してきていますが、世界の株式相場とリンクしている面もあり、反転上昇の可能性はあります。
3.米国の金利引き上げ
昨年12月の米国での金利引き上げは市場にある程度織り込まれたのもつかの間。次の利上げをめぐる思惑から市場では早くも警戒感が高まっています。これに対してECBのドラギ総裁が追加緩和を示唆。これを市場が好感し一応の負の連鎖回避につながりました。
今後、米国も市場動向を踏まえた対応に迫られると見られます。
日本もデフレ経済の脱却にほど遠い現状から、7月の参院選挙に向けた景気刺激策を今後数か月のタームで打ち出すと見られます。
ここでは消費税を10%に引き上げるべきか否かが争点となりますが、健全財政をお題目に増税しようとする財務省と増税による景気の停滞は避けるべきとの一部エコノミストの主張が真っ向から対立することが予想されます。
国の借金が1000兆円もあるから・・・という議論と国には資産があって実際には国の借金はないに等しいという議論が対立していますが、財政危機をいた ずらにあおって国内の社会インフラ投資を怠ると後で手痛いしっぺ返しが子々孫々にもたらされるという考え方に立てば今こそしかるべき政策が打ち出される必 要がありそうです。ここでは安倍首相の決断が求められます。
それにしてもメディアの見方も財務省寄りになっているのが気になります。
4.甘利大臣の問題
TPPの旗振り役として重責を担う経済再生担当の甘利大臣の進退が参院選を前にした安倍政権の致命傷とならなければとの不安感が一気に台頭したことも日経平均16000円をつける要因となったと見られます。
週刊文春がなぜこの時期にこの話を報道したのか思惑がありそうですが、取り敢えず甘利大臣はダボス会議から帰国した後の28日に説明を行うとしており、その動向が気になります。
こうした諸般のネガティブ材料が株価の大幅な下落をもたらした訳ですが、先週末は原油の反転上昇、ドラギ発言、為替の円安などを反映し欧米株の反転とともに日経平均は17000円台乗せ寸前にまで戻ってきました。
とは言え、出来高は薄く、真空地帯を駆け上がっただけと言っても良いかと見られます。それでも底割れから一転してどこまで戻るかの関心が浮上してきた点はしばしの間、投資家に考える余裕や冷静な対応方法を考える時間を与えてくれます。
とにかく売り!と対応してきた投資家が、冷静に市場を眺めもしかして中長期的な反転上昇のポイントに来たと判断をし始めれば相場の潮流も多少は異なったものとなる筈です。
昨年の日経平均の安値が1月16日であったように2016年も1月21日の16017円がボトムとなってくれるとの希望をもって今週以降の株式相場に臨みたいと思います。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
株式投資をされている皆さんの多くは株高は賛成であろうかと思いますが、いつまでも上げ続ける株式相場はなく時にコレクションがあって、紆余曲折を経て、再び上昇に向かうというのが過去の経験則で言えることです。
結論から言うと現状はとても微妙な段階です。
下げの材料がリーマンショック時のような経済に深刻な影響をもたらす事象を背景にしたものか否かになりますが、そこが読み切れないためです。
現在ネガティブな材料は枚挙にいとまがありません。だからこそ株式相場全体が大きく調整している訳でそれらが一つ一つ払拭されるか、それらに対応した政策が打たれるかが相場復活の鍵となります。
ここでの主な株価下落要因は、
1.原油価格の下落
1バーレル=27ドル前後まで値下がり後に32ドル台まで戻り、短期的な底打ちのシグナルを示しています。
今後のシナリオとしては、
1)今後3か月程度の間、30ドルから40ドルの間での変動となる。
2)一定水準まで戻りを入れて再び30ドルを割れ1バーレル=25ドル程度まで下落する。
3)世界経済の復調に従い、石油需要が復活して、これまでの下落相場から一転して6か月程度の期間で1バーレル=50ドル程度までの上昇を見せる。
という予測をしておくことにします。
日本のガソリン価格は庶民的感覚でいう1L=100円前後まで下落しており、割安感が出ていますので、もうこれ以上の価格下落は考えにくいのではないか。中国や台湾、韓国のほか北米などでも直近の寒波到来で石油の消費が増加している可能性も考えられます。
冷静に見るとリーマンショック後の価格を下回っている点から長期的視点でボトム水準に到達している可能性が高いと筆者は見ています。
原油価格の下落はサウジやロシアなどのエネルギー産業で成り立っている国の経済に影響をもたらすとの発想が今回の相場下落に拍車をかけた面があるので、 今後も引き続き原油価格の動向には関心をもっておく必要がありますが、一方で原材料価格の低下が企業収益面ではプラスに働くとの冷静な見方をしておきたい と思います。
いずれにしても相場は行き過ぎがつきもの。上にも下にも行き過ぎがあるので、未来永劫下落するというような過度な見通しを持つ必要はないし下落したことをメリットとして捉えることも可能です。
2.中国経済の先行き不透明感
いい加減なGDP統計で本当の景気動向はよくわからないが輸入統計などからは相当に悪いと推察されますが、このことがどこまで市場の中で織り込まれているのかが読み難い。
中国経済が一朝一夕でどうなるというものではないが、政策の手立てはまだ残っているので、立て直しまで時間稼ぎができます。
香港株、上海株とも大きく高値から下落してきていますが、世界の株式相場とリンクしている面もあり、反転上昇の可能性はあります。
3.米国の金利引き上げ
昨年12月の米国での金利引き上げは市場にある程度織り込まれたのもつかの間。次の利上げをめぐる思惑から市場では早くも警戒感が高まっています。これに対してECBのドラギ総裁が追加緩和を示唆。これを市場が好感し一応の負の連鎖回避につながりました。
今後、米国も市場動向を踏まえた対応に迫られると見られます。
日本もデフレ経済の脱却にほど遠い現状から、7月の参院選挙に向けた景気刺激策を今後数か月のタームで打ち出すと見られます。
ここでは消費税を10%に引き上げるべきか否かが争点となりますが、健全財政をお題目に増税しようとする財務省と増税による景気の停滞は避けるべきとの一部エコノミストの主張が真っ向から対立することが予想されます。
国の借金が1000兆円もあるから・・・という議論と国には資産があって実際には国の借金はないに等しいという議論が対立していますが、財政危機をいた ずらにあおって国内の社会インフラ投資を怠ると後で手痛いしっぺ返しが子々孫々にもたらされるという考え方に立てば今こそしかるべき政策が打ち出される必 要がありそうです。ここでは安倍首相の決断が求められます。
それにしてもメディアの見方も財務省寄りになっているのが気になります。
4.甘利大臣の問題
TPPの旗振り役として重責を担う経済再生担当の甘利大臣の進退が参院選を前にした安倍政権の致命傷とならなければとの不安感が一気に台頭したことも日経平均16000円をつける要因となったと見られます。
週刊文春がなぜこの時期にこの話を報道したのか思惑がありそうですが、取り敢えず甘利大臣はダボス会議から帰国した後の28日に説明を行うとしており、その動向が気になります。
こうした諸般のネガティブ材料が株価の大幅な下落をもたらした訳ですが、先週末は原油の反転上昇、ドラギ発言、為替の円安などを反映し欧米株の反転とともに日経平均は17000円台乗せ寸前にまで戻ってきました。
とは言え、出来高は薄く、真空地帯を駆け上がっただけと言っても良いかと見られます。それでも底割れから一転してどこまで戻るかの関心が浮上してきた点はしばしの間、投資家に考える余裕や冷静な対応方法を考える時間を与えてくれます。
とにかく売り!と対応してきた投資家が、冷静に市場を眺めもしかして中長期的な反転上昇のポイントに来たと判断をし始めれば相場の潮流も多少は異なったものとなる筈です。
昨年の日経平均の安値が1月16日であったように2016年も1月21日の16017円がボトムとなってくれるとの希望をもって今週以降の株式相場に臨みたいと思います。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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