今年最後のビッグイベントと言われる米国のFOMC(金融政策決定会合)の結果が日本時間17日午前4時に発表されます。

 何度も肩透かしを食ってきた利上げ決定だけに「今回こそは!」と、ブルームバーグによる直近の現地エコノミストへの調査では、約97%が政策金利であるFed Fundを0.25%利上げして0.5%に引き上げると予想しています。

 逆に、もしやらないと、大きな波乱が起きます!


 「政策金利を変更するかどうかは『経済指標次第』を繰り返してきたイエレンFRB議長。10月の決定会合でも「12月の会合で利上げの是非を判断する」 としていました。今回は決めるでしょう。そして、これで状況に応じて政策金利の上げと下げ両方の選択肢を手にすることになり、政策運営の自由度が増えると いう効果は大きいのではないかと思います。


 12月3日は、欧州中銀による追加緩和の規模は期待はずれとなり、進んでいたユーロ安ドル高からドル安ユーロ高方向にポジション調整されました。
 ユーロ安を中心としたドル高から今年の高値を更新していたドル指数は、12月2日の高値100.51から12月4日には97台前半までドル安方向に戻し ました。今回行われている米FOMCのタイミングは、このようにドル高が調整されているので、米国も利上げによるドル高更新を懸念する必要は減ったという 環境にあり、利上げの決定はしやすいのではないかと推察されます。


 発表前夜、『利上げあり』前提の市場は、予想通りの結果発表に対して、どのように反応するのでしょうか?
 予想通りで反応薄、なのか、このところ整理されたポジションの軽さから新たなドル高期待ポジションを作り直すか?
 解釈まちまち、方向感まちまちで乱高下する可能性もあります。ただ、相場動向を見る上で重要視されるのは、今後の金利見通しではないかと思われます。


 FOMCメンバーのよる9月時点での金利の市場予想は、2016年末、米政策金利FFレート中央値1.375%でした。今回の発表でどのように将来の金 利動向を見据えるのかにより、マーケットの反応は変わってくるものと見られますので、声明文と一緒に発表されるドットチャートと呼ばれる「政策金利の未来 予想分布」は注目されます。


 ちなみに、現在の債券利回りから算出した3か月後の2年物米国債利回りは1.16%(直近は0.92%)、10年物利回りは2.33%(直近 2.26%)、1年後は2年物1.6%、10年物2.49%となっており、短期債は政策金利上昇による影響を受けやすいものの、長期債は穏やかな上昇と見 られています。


 ドル円相場は、ユーロ安ドル高のポジション調整によるドル安、原油相場や株式相場の下落によるリスク回避、年末のポジション調整等が影響して123円台から一時120円台前半まで反落。15日には、原油相場が戻したこともあり121円台後半まで戻してきています。

 FOMCの結果待ちでもありますが、下げて120円、思い切り上げても125円の120~125円レンジ相場になる可能性が高いように思います。


 そんな中、一つ気になるのは、あまり注目されていない17日~18日実施の日銀政策決定会合です。

 何もないという予想が大方なのではありますが、14日に発表された日銀短観での企業による先行き景気判断が悪化していることから、今後のアクションに含みを持たせるかもしれません。
 輸出企業の想定為替レート(119円)が現在の市場レートに近づいてきて、為替レートによる利益への貢献度が限定的になってきていることから、企業収益への期待低下による株式相場への悪影響が心配されてきます。


 今年最後のビッグイベントはFOMCとされていますが、日銀政策決定会合も侮らず注目しておく必要があると思います。


 年初来の対ドル為替相場のパフォーマンスでは、スイスフラン、香港ドル、イスラエルシェケルを除く、すべての通貨がドルに対して下落しました。
 最下落通貨は、ブラジルレアルの約31%、続いてコロンビアペソ(28%)、南アフリカランド(22%)、トルコリラ(21%)。以上が20%以上下落した通貨です。
 主に、資源国通貨ですが、トルコリラなどはどちらかと言うと政治、地政学的リスクで売られました。ややリカバーしたブラジルレアルに対して、南アフリカランドの下げは止まりません。資源国通貨の不安定さは未だ続くものと思います。

 オセアニア通貨のオーストラリアドル、ニュージーランドドルは、中国の影響や利下げ予想によるじり安展開でしたが、少しずつ戻しつつあります。
 ニュージーランド・ドルは直近の利下げ後、出尽くし感もあって買いが優勢になり買いポジションも増えています。

 中国経済の影響は豪ドルに大きいとされていましたが、最近はニュージーランドにも中国の影響が大になってきていますので、リスクテイクの度合いに注意が必要でしょう。

 好金利が売りだった両通貨も今や昔ほどの金利の魅力は薄れているので上昇にも限界がありそうです。上限下限をよく見定めて対応していきたいものです。


 年内は、今号にて私の担当は書き納めになります。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 2016年が読者の皆さまにとって、良い年でありますように。

*12月16日13時執筆
 本号の情報は、主に12月15日のニューヨーク市場終値のレートを引用しています。なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)