とはいっても、安倍首相の掲げる「新三本の矢」は、どこでも論評されている通りおおよそ具体論に乏しくて、実行力にも疑問符が付きますので、本日取り上げる内容は、政府の考えている成長戦略ではありません。
あまりマスコミなどでは紹介されておりませんが、今年の3月にコンサルティング会社で世界的に有名な「マッキンゼー」から
FUTURE OF JAPAN
生産性向上が導く新たな成長の軌跡
というレポートが発表されています。
レポートはこちら
http://www.mckinsey.com/global_locations/asia/japan/ja/latest_thinking/future_of_japan
マスコミやwebでもあまり話題になってませんので、今回はこのレポート内容をご紹介していきます。
まずは、現状の認識から
現在の日本の産業は、米国と比して「労働生産性」「資本生産性」の両面から大きく遅れを取っていることの指摘があります。
本来は、労働生産性や資本生産性の悪い企業は、健全な競争の中で淘汰されていくものですが、日本の場合、JAL、シャープ、東芝など見ていても、効率の悪い大企業を延命させることに熱心で、企業を淘汰させることに対して社会的な寛容性がないことが指摘されています。
私自身もサラリーマン時代は、金融や不動産という諸外国に比して労働生産性の低い日本のサービス業で勤務していましたが、経営者並びに労働者が生産性の意識が低い(ほとんど意識していない)のが現在の日本の状況だと思います。
そこで、このレポートでは、日本の産業の生産性改善の為に次の施策を挙げています。
1.世界のベストプラクティスを組み入れる
・世界との統合を勧める
・バリューチェーン全体にわたって組織能力を高める
・デジタル革命を継続する
・物理的に最適な拠点網を定める
2.次世代のテクノロジーを採り入れる
・ビッグデータの力を活用する
・オートメーションを次のレベルに引き上げる
・製造工程に先端技術を配置する
3.規律ある事業運営と業績向上に向けた環境を整備する
・競争力のある柔軟な事業環境を作りだすために必要に応じて再編する
・パフォーマンスとアカウンタビリティの文化を創出する
・あらゆるものを動員して、将来に向けた人材、リーダーシップ、スキルを構築する
・顧客に焦点を当てることで研究開発投資のリターンを拡大する
こうした、あらゆるジャンルに関する生産性の向上に努めたうえで、労働生産性が継続的に4%向上し、GDP成長率が3%成長することが実現可能だとしています。
1~3の施策は、どれも簡単なものではなく、各企業が血のにじむような努力と変革をしない限り実現しそうなものではありません。
しかしアベノミクスの言っているような、抽象的で、
「政府が言っている通りやれば経済成長が実現できますよ」
というシナリオよりも、こちらのシナリオの方がよっぽど信用ができる気がします。
読者の皆さんも、ご自身の勤務されている企業の中で1~3の施策を検討して生産性向上について検討されてみてください。
「そんなこと言ったって、上司がそんな意見聞いてくれないよ」
というのであれば、その会社は長くいる場所ではないのかもしれませんね。
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
http://www.mlplanning.co.jp/
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