昨年から続く自衛権の議論。不思議な感覚が付いて回ります。もう半世紀以上も前の、敗戦により米国に占領された日本が占領軍主導により作られた憲法を議論しています。
申し上げたいのは憲法解釈の範囲内での自衛権をどうすると言う議論以前に、この60年以上の歳月に於いて前提条件が大きく様変わりしていること(現実を)をどう捉えるかの議論が殆ど無いことに違和感を覚えると言う辺りです。
2度の大戦を経て、経済力に於いても軍事力に於いても米国が圧倒的なパワーを身に着けたのは今から70年も前であり、米国が1929年の大恐慌から立ち 直り成長軌道に戻った時期です。そして1991年のソ連邦崩壊によって東西冷戦構造も終わりを告げましたが、その当時の主要国の経済格差はご存じの通りで す。
この間日本は安泰なまま現憲法を守り続けてきました。しかしながら日本がピークを迎えたこの1990年頃を境に日本から見た世界の雰囲気は変わってきたと考えています。
振り返るなら、四半世紀前の中国のGDPは日本の十数分の一しかなく、アジア圏では日本は経済面で圧倒的なパワーを持ち、自衛隊とは言いながらも世界第 7位の予算規模を持つ軍事力がありました。しかも米国の同盟国ですから周辺で日本に手出し出来る国などありませんでした。
ところがこの25年間で世界の景色は様変わりしました。1990年当時はG7と言われる主要先進国のGDPが世界GDPの約70%を占め世界をけん引し ていましたが、今では40%程しかありません。しかも100年前まで世界の中心であったヨーロッパが今や僅か世界GDPで0.4%しか無いギリシャに翻弄 され、いつまで続くか分からない低迷期に入りこんでいるようです。
90年代後半に財政崩壊したロシアは資源高により息を吹き返し西側諸国と対峙するまでの力を付け、そして中国に至っては堂々と米国権益に戦いを挑むほどになっています。
僅か20年前の台湾海峡危機時には武力で台湾を脅した中国に対しアメリカが空母2隻を派遣しただけで静まりましたが、今ではそれさえ寄せ付けない軍事力を手に入れ、且つその経済力(市場規模)をテコに傲慢さを隠すことさえ無くなりました。
北朝鮮やイランは核保有を主張し、同時に、主要先進国の負の産物とも言える大型のテロリストグループが各地で勢力を拡大している状況です。
果たして、70年近くも前の、今とはまるっきり違う景色の時代に出来た憲法解釈に終始し「違憲だ」「いや違憲じゃない」と言ったやり取りが、私にはまるで禅問答のように聞こえます。
何も軍事力を強化しろ、積極的に海外派兵をしろ・・・などと言うつもりは毛頭ありませんし、戦争への参加など論外です。
がしかし仮に、例えばホルムズ海峡が何らかの紛争で封鎖されたら日本はどうなるのでしょう?数週間くらいなら備蓄により何とかなりますが、これが数か月 に及ぶとなると死活問題です。電力やガスなどの基本インフラが止まり、生活も経済も甚大なダメージを受けます。食料も輸入できなくなり、重病で入院してい る患者の治療すら出来なくなります。もちろん高額な資源をロシアなど他国から買うことは出来ますが、それにも限度があるでしょう。
そうなった時には恐らく、日本以上に中国やインドが先に悲鳴を上げ軍隊を向かわせることになるでしょうし、日本も参加しない訳には行かないのではないでしょうか。緊急時故に自分のための資源を人任せには出来ず、生き残るためには自分で取ってこなくてはなりません。
このような例を取っても、そう簡単に結論が出る問題ではありませんし、それ以前に70年前に制定された憲法の解釈を云々という、政局に利用された出口の無い「議論のための議論」に終始している姿に危惧を覚えます。
もちろん平和であることが何よりです。先の大戦では国が亡ぶほどの経験をし、沖縄に至っては本土の盾となり何万と言う民間人が犠牲になりました。それこ そ米軍基地をお願いするなら過去への十分な償いと共に、国家の総力を結集して沖縄県民に十分に納得してもらえる方法を探した上で基地を維持しなければなら ないはずです。戦争を拡大した当時の戦略無き為政者には怒りを覚えますが、同時に沖縄県民のお蔭で日本国は助かったのだという根本を理解しなければ基地問 題は決着しないと思います。
今はこの日本国の経済力をもってすれば必要な資源や食糧は買えます。しかし緊急事態となればそう簡単にはいきません。中国狂産党は公海上の島々を自国領と言い張り、相手が弱いとみれば堂々と軍事施設を造る時代です。
日本政府(&日銀)に財政力があり、金利を抑えつけたまま株を買わせていられるうちは良いです。しかしながら国力が衰えていけば限界が見えてきます。今 のままの愚鈍な政治や行政が続くなら、いずれは円安に拍車が掛り余裕資金も尽き果て、恐ろしいスピードで国富を失うことになるのでしょう。下げるときは早 いです。ギリシャや中国など外部からの影響を受けた、ここ数日の株式市場の乱高下を見ても大きな時代の変化を感じます。
大局観の無い、重箱の隅のゴマの皮をむくような国会討論などを見るにつけ、バブルが続く数年内に将来への備えをしておかねばいけないと感じる今日この頃です。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
申し上げたいのは憲法解釈の範囲内での自衛権をどうすると言う議論以前に、この60年以上の歳月に於いて前提条件が大きく様変わりしていること(現実を)をどう捉えるかの議論が殆ど無いことに違和感を覚えると言う辺りです。
2度の大戦を経て、経済力に於いても軍事力に於いても米国が圧倒的なパワーを身に着けたのは今から70年も前であり、米国が1929年の大恐慌から立ち 直り成長軌道に戻った時期です。そして1991年のソ連邦崩壊によって東西冷戦構造も終わりを告げましたが、その当時の主要国の経済格差はご存じの通りで す。
この間日本は安泰なまま現憲法を守り続けてきました。しかしながら日本がピークを迎えたこの1990年頃を境に日本から見た世界の雰囲気は変わってきたと考えています。
振り返るなら、四半世紀前の中国のGDPは日本の十数分の一しかなく、アジア圏では日本は経済面で圧倒的なパワーを持ち、自衛隊とは言いながらも世界第 7位の予算規模を持つ軍事力がありました。しかも米国の同盟国ですから周辺で日本に手出し出来る国などありませんでした。
ところがこの25年間で世界の景色は様変わりしました。1990年当時はG7と言われる主要先進国のGDPが世界GDPの約70%を占め世界をけん引し ていましたが、今では40%程しかありません。しかも100年前まで世界の中心であったヨーロッパが今や僅か世界GDPで0.4%しか無いギリシャに翻弄 され、いつまで続くか分からない低迷期に入りこんでいるようです。
90年代後半に財政崩壊したロシアは資源高により息を吹き返し西側諸国と対峙するまでの力を付け、そして中国に至っては堂々と米国権益に戦いを挑むほどになっています。
僅か20年前の台湾海峡危機時には武力で台湾を脅した中国に対しアメリカが空母2隻を派遣しただけで静まりましたが、今ではそれさえ寄せ付けない軍事力を手に入れ、且つその経済力(市場規模)をテコに傲慢さを隠すことさえ無くなりました。
北朝鮮やイランは核保有を主張し、同時に、主要先進国の負の産物とも言える大型のテロリストグループが各地で勢力を拡大している状況です。
果たして、70年近くも前の、今とはまるっきり違う景色の時代に出来た憲法解釈に終始し「違憲だ」「いや違憲じゃない」と言ったやり取りが、私にはまるで禅問答のように聞こえます。
何も軍事力を強化しろ、積極的に海外派兵をしろ・・・などと言うつもりは毛頭ありませんし、戦争への参加など論外です。
がしかし仮に、例えばホルムズ海峡が何らかの紛争で封鎖されたら日本はどうなるのでしょう?数週間くらいなら備蓄により何とかなりますが、これが数か月 に及ぶとなると死活問題です。電力やガスなどの基本インフラが止まり、生活も経済も甚大なダメージを受けます。食料も輸入できなくなり、重病で入院してい る患者の治療すら出来なくなります。もちろん高額な資源をロシアなど他国から買うことは出来ますが、それにも限度があるでしょう。
そうなった時には恐らく、日本以上に中国やインドが先に悲鳴を上げ軍隊を向かわせることになるでしょうし、日本も参加しない訳には行かないのではないでしょうか。緊急時故に自分のための資源を人任せには出来ず、生き残るためには自分で取ってこなくてはなりません。
このような例を取っても、そう簡単に結論が出る問題ではありませんし、それ以前に70年前に制定された憲法の解釈を云々という、政局に利用された出口の無い「議論のための議論」に終始している姿に危惧を覚えます。
もちろん平和であることが何よりです。先の大戦では国が亡ぶほどの経験をし、沖縄に至っては本土の盾となり何万と言う民間人が犠牲になりました。それこ そ米軍基地をお願いするなら過去への十分な償いと共に、国家の総力を結集して沖縄県民に十分に納得してもらえる方法を探した上で基地を維持しなければなら ないはずです。戦争を拡大した当時の戦略無き為政者には怒りを覚えますが、同時に沖縄県民のお蔭で日本国は助かったのだという根本を理解しなければ基地問 題は決着しないと思います。
今はこの日本国の経済力をもってすれば必要な資源や食糧は買えます。しかし緊急事態となればそう簡単にはいきません。中国狂産党は公海上の島々を自国領と言い張り、相手が弱いとみれば堂々と軍事施設を造る時代です。
日本政府(&日銀)に財政力があり、金利を抑えつけたまま株を買わせていられるうちは良いです。しかしながら国力が衰えていけば限界が見えてきます。今 のままの愚鈍な政治や行政が続くなら、いずれは円安に拍車が掛り余裕資金も尽き果て、恐ろしいスピードで国富を失うことになるのでしょう。下げるときは早 いです。ギリシャや中国など外部からの影響を受けた、ここ数日の株式市場の乱高下を見ても大きな時代の変化を感じます。
大局観の無い、重箱の隅のゴマの皮をむくような国会討論などを見るにつけ、バブルが続く数年内に将来への備えをしておかねばいけないと感じる今日この頃です。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
コメント
コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。