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高配当利回り銘柄をどう見るか?

2015/01/29 13:07 投稿

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株式投資では不確実なリスクを伴う一方で何らかのリターンを得ることになります。
 逆に言うとリターンを得るにはリスクを負う必要があるという理屈です。


 リターンには利益や内部蓄積からの配分を得られるインカムゲインと将来の成長を期待した株価の上昇によるキャピタルゲインの2つが考えられます。
 また、個人投資家にとっては株主優待によるメリットもリターンに入るかも知れません。

 こうしたリターンは不確実なものですが、この中で配当によるリターンは企業の方針があって見通しが公表されていますので個人投資家の投資のよりどころに もなっています。銀行に預けても金利が微々たるものとなっていますので、その中で株式による配当金目当ての投資は中には5%台の配当利回りもあり、結果と しては大きなリターンになるケースもあります。

 キャピタルゲイン狙いで投資した中長期投資家にとって株価が上がらない場合はこの配当利回りをベースに投資しようという発想に切り替えてみてはいかがでしょうか。
 高配当利回り銘柄は配当金が一定であれば株価が上がれば利回りが低下しますので、魅力に欠けます。株価が低迷すればするほど配当利回りが上がってきますの魅力が高まり、新たな投資家の買いで下値が支えられるという理屈になります。

 企業によっては毎期増配を行うことで株価の水準が高まってきている銘柄もあります。業績の中身はともかく増配が株価にインパクトを与えているケースもあり、興味深い研究テーマともなっています。


 株式投資の基本的な魅力は利益成長に伴って株価が上昇し、キャピタルゲインを得るチャンスが生まれるというものですが、株価の上昇がなくても一定の配当 利回りが長期にわたって得られる場合も魅力になります。これは債券投資にも似ていて、一定の配当金=金利ということで言えば、利回りが上がるということは 株価(価格)が下がるということで、株価(価格)の上昇は結果として利回りが下がるということになります。
 問題はその流動性で、株式の場合は発行されている株式数が限定されており、流動性がないケースが多いので自由に売買ができない点が欠点となります。ま た、配当金は企業の業績によって基本的には変動しますので、高配当だと思って投資したら減配してしまい配当利回りが下がることもあります。

 高配当利回り銘柄へは、このあたりを十分に踏まえて投資する必要があります。

 投資家は投資した企業と運命共同体となります。業績が上がり配当金も増えれば企業価値が高まりますが、業績が低迷して配当も減る(極端には無配転落)事態となればキャピタルロスすら被ることになります。

 投資家がキャピタルゲインが得るためには増収増益を見込む企業を投資対象として選定し、しかもそれは中長期的な傾向である必要があります。更には投資家 のことを配慮して増配に努める企業が望ましいと思われます。配当性向を一定として利益の一定部分を配当に回す姿勢を明確に示している企業に投資したいとこ ろです。


 本日は私、炎のファンドマネジャーがロングランで研究し、直近の有料メルマガでも報告させて頂いています高配当利回り銘柄を研究事例としてご報告申し上げます。


【3期連続の増配を発表したKG情報(2408)】

1)ビジネスシナリオ

 同社は岡山を拠点に地域別求人情報誌、生活情報誌をコアビジネスとして展開しています。広告収入が基本ですが、最近は結婚相談所や住宅相談所などリアル な店舗でのコンシェルジェサービスなど新たな取り組みをスタートしています。ネット系の企業とは違いますが、地域に根ざしてユニークなビジネスを推進しよ うとしています。岡山から中四国、九州、札幌、東京へとビジネスの領域は拡大。直近の業績は2012年12月期の経常利益10億円をピークに2期連続の減 益を続けてきましたが、今期からは増収増益への復帰が期待されます。同社は常に他社がやっていない新たな全国展開できるビジネスに取り組もうとしています が、このこともあって同社の株価は下支えされ、2009年の210円安値からジリ高傾向を続き、直近では550円前後まで売買水準がアップしてきたと推察 されます。

 同社の益田社長の慎重かつ堅実な経営スタンスは同社の業績を安定したものにしています。2004年8月の上場後に一旦停滞した業績が2012年にかけ盛 り上がってきましたが、中四国に地域特化した同社は全国展開を目指して先行投資として2013年、2014年の2年間で5億円を投じ、不採算事業をやめる など、構造改革を行う一方で新規事業への布石を打ってきました。
 こうした先行投資の成果が今期の後半から表面化するというのが同社が描く基本的なビジネスシナリオです。


2)投資データ

 時価549円
 自己株16万4976株を加味した実質時価総額39億70百万円

 発行済み株式数739万8000株
 浮動株比率11.2% 82.8万株

 前期末の保有現預金48億26百万円(今期末予想保有現預金50億29百万円)

配当金推移(配当性向)/株価レンジ/出来高(万株)

12.12期10円(12.5%)/334-597円/104.3
13.12期16.8円(25.1%)/418-520円/210.79
14.12期20.8円(48.6%)/471-587円/178.05
15.12期予22.5円(45.1%)/516-599円/18.22

配当金の内訳

14.12期 20.8円
(普通配当10.8円 上場10周年記念配当10円)

15.12期予22.5円
(普通配当12.5円 創立35周年記念配当10円)


今期予想EPS49.93円 時価予想PER11.0倍
実績BPS970.29円  実績PBR0.57倍
予想配当利回り4.098%


3)増配発表のサプライズ

 同社の今期の配当金は22.5円へと前期に比べ1.7円の増配となる見込みです。

 前期も期中に上場記念配を含めて年20.8円に増配を発表しサプライズがありましたが、今期は期初段階での増配です。基本的に同社は配当性向25%で配 当を実施するとしていますが、前期は上場10周年記念の10円配当、今期は創立35周年記念の10円配当を普通配当のほかにつけるという発表で驚きがあっ たのです。

 先週末の終値は549円ですが、これだと約4.1%の配当利回りとなります。560円で4%です。流動性に乏しい点が欠点ですが、550円以下の水準で は配当狙いの買いが入りやすい状況です。下値の板は薄いですが、下まで売り急ぐ投資家は少なく、ここ2,3日は550円前後で買いと売りが睨みあっていま す。

 週末終値ベースの時価総額は40億60百万円(実質は39億70百万円)、保有現預金48億26百万円=時価総額だと目標株価は667円となります。更に期末の予想保有現預金50億29百万円だと目標株価は695円となります。

 理屈から言えば、無借金経営の同社の場合、このあたりが本来の最低目標ラインとなります。しかしながら、なかなか理屈通りにはいきません。会社がこの水 準まで自社株買いをやってもまったく問題がないという意味でもあります。ですから潜在的に現状の株主はこの水準を常に念頭に置いて保有しているものと思い ます。この水準以下で売っている投資家は短期のキャピタルゲインが得られないと思うから売っているだけだと推察されます。ですからもっと株価の水準が上が るとそれが地相場になってきます。高配当利回り銘柄を投資対象とされている投資家はぜひ6月末に向けた下押し場面での投資を心掛けて頂ければ幸いです。

 同社の時価ベースの実績BPSは970.29円、同PBRは0.54倍、今期予想EPSは49.93円、同PERは11倍となります。
 直近の高値599円では予想PER12.0倍、実績PBR0.62倍、目標株価667円では予想PER13.4倍、実績PBR0.69倍となります。
 この程度までの上昇後の株価水準が割高だという印象は決してないかと思いますが、流動性がない点に対しての懸念があって継続的な買いが入らないのが問題です。

 また、もう一つの問題は今期の業績見通しの信憑性と来期以降の業績展望です。今期の業績計画のポイントは売上、利益ともに後半に伸びが集中している点です。中間期は例年通り慎重な見通しですが、堅い見通しのように思われます。

 むしろ下期にここまでの伸びが見込めるのかわかりにくいですが、下期には新規事業が伸びてくるとの前提があるようです。

 ちなみに同社は説明会を開催していませんので、こちらからヒヤリングするしかないのですが、同社へのヒヤリングに返ってきたコメントは比較的ポジティブな内容でした。


【半期業績推移】

2014.12期実績(単位:百万円)

 売上高/営業利益/経常利益/当期利益

中間期 2216(▲3.6%)/234(▲28.2%)/248(▲30.5%)/145(▲31.9%)

下期  2210(▲7.6%)/303(▲29.9%)/295(▲36.4%)/165(▲40.9%)

通期  4426(▲5.6%)/537(▲29.3%)/543(▲33.8%)/310(▲37.0%)


2015.12期同社予想(単位:百万円)

 売上高/営業利益/経常利益/当期利益

中間期 2347(+5.9%)/238(+1.6%)/248(+0.2%)/147(+1.2%)

下期  2722(+23.2%)/341(+12.5%)/356(+20.7%)/214(+29.7%)

通期  5069(+14.5%)/579(+7.8%)/604(+11.2%)/361(+16.5%)

↓↑

四季報 4700(+6.2%)/570(+6.1%)/580(+6.8%)/350(+12.9%)


 今回の決算短信にはポジティブに取り組んでいるビジネスの話が出てきます。注目されますのは100%子会社ディーウォーククリエイションで展開しているリコール情報サイト事業がまだ売上貢献は小さいもののステージが上がってきている感触の表現があることです。
 ここは同社が数年前に買った会社で日本最大のリコール情報サイトを展開しています。将来は上場も視野に入れての展開だろうと推察されます。
 香川・岡山→中四国→九州→関西→北海道(札幌)、東京というエリア展開で全国展開への布石は打たれつつありますが、持っている資金を小出しにしていま すので一気にはいかないことも事実です。一気にはいかないまでも着実に成長していく同社を株式市場ではまだそれほどポジティブには見ていませんが、派手さ はないものの、堅実派には向いている投資対象です。今後の展開に引き続き注目したいと思います。


参考:株価想定

 今期会社予想EPS49.93円 実績BPS970.29円
 今期予想配当金22.5円

今期予想PER/実績PBR/配当利回り

時価:520円 10.4倍/0.54倍/4.33%
時価:540円 10.8倍/0.56倍/4.17%
時価:549円 11.0倍/0.57倍/4.098%
時価:560円 11.2倍/0.58倍/4.02%
時価:570円 11.4倍/0.59倍/3.95%
時価:600円 12.0倍/0.62倍/3.75%
時価:650円 13.0倍/0.67倍/3.46%
時価:700円 14.0倍/0.72倍/3.21%


 直近の信用買い残4万4200株 先週1週間の出来高13万5700株

 先週の株価変動ゾーン544円―599円 中間価格571円
 週初寄付株価570円

 週末売り指値551円-560円 合計6000株
 549円-542円買い指値合計3400株

 7月11日に17万株以上あった信用買い残は13万株減少しています。
 むしろ配当利回り狙いでの信用買いは今後増加していく可能性があります。同社の場合は現物買いもさることながら配当取りを狙って信用買い(信用金利2.8%)が効果的かと思われます。
 浮動株は83万株ほどですので時価は4.5億円分の投資対象となります。つまり、すべての浮動株を買うのに1.5億円の現金があれば信用取引で買うこと ができます。4%の配当利回りを得られるのであれば信用取引の金利コストをカバーしておつりが出るディールになるというスキームは安定志向の投資家には適 しているように思いますが、いかがでしょうか?
 これは一人の投資家ではなく多くの投資家の資金でも考えられます。また、少なくとも今後しばらくは売却しない資金での投資が一層効果的かと思われます。

 高配当利回りを取るスタンスで株価が値上がりすれば売るというスキームでの運用がうまくいくには業績の向上が不可欠とはなりますが、堅実な同社にはそうした可能性も大いにあるという点で期待が持てます。

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)



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