資産運用や、節税の話の中で
「税理士に勧められて小規模企業共済をやってます」
という方は大変多く見られます。
小規模企業共済は、企業経営者や役員の為に独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているので、所得税の節税効果もあるし、何となく大丈夫だろうと思われている制度だと思います。
しかし、小規模企業共済も、日本の年金制度同様に現在は加入者の減少と資金運用の困難に見舞われていまして、将来の加入者の支払いに最低限必要だと考えられている「責任準備金」にも不足する状態が続いています。
資料によると平成20年度末では▲9,982億円の責任準備金不足があり、加入者に対する予定利回りを1%に抑えながら、なんとか積立金の運用で挽回しようとしている最中です。
(おそらく近年の株式効果で、状況は少しずつ改善はしているものと思います)
仮に、保険会社で「責任準備金」が不足するという自体になれば、大事ですし、金融庁からも適切な対応を求められるレベルです。
ましてや、アドバイザーの立場からは、こうした「責任準備金」不足状態にある、保険会社の商品は推奨することができないのは当然の話です。
しかし、世の中では経営者に対するアドバイスとして
「節税のためにも小規模企業共済を利用するのが良いですよ」
という話が普通に行われています。
これは、やはり小規模企業共済の内容までしっかり吟味していないこと(税制の事しか考慮していない)と、国がやっているという安心感で、考えることを放棄したやり方です。
個人的には、企業経営者や役員であっても「確定拠出年金」を利用する方が、同じ所得税の税効果を取りながら運用に関しては個人でコントロールできることから、長期的には信頼できる制度であると考えます。
このように、物事は複数の視点から眺めて考えてみることがとても重要です。
誰か専門家の意見を聞いた際には、必ず逆のサイドから物を考える癖を身に着けましょう。
それが専門家を上手く利用するコツです。
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
http://www.mlplanning.co.jp/
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