2014年も残すところ7日となりました。本日号では、今年の為替相場、特に大きく円安に動いたドル円相場を振り返りを中心に記していきたいと思います。
本文の前に、
祝!「億の近道」3000号発行!
祝!「2014年まぐまぐ大賞受賞!」
発行者の松田憲明氏をはじめ、発行から長きに継続を支えてこられた方々に最大限の祝意と敬意を表したいと思います。また、それ以上に、読み続けてくださった親愛なる読者の方々に最大限の感謝の意を表したいと存じます。
さて、2014年年の瀬。クリスマス・イブ。ドル円相場は120円台です。
昨日のニューヨーク・ダウ18,000台クローズを受けて、日経平均も17,800円台。クリスマス・プレゼントかと思うようなタイミング。
今年は午年。相場格言に「午尻下がり」があるので心配する向きもありましたが、2014年は尻上がり?「ウマく」行くでしょうか? 年末の引け値に期待したいものです。
今年のドル円相場、最高値121円台を示現したとはいえ、とても難しい相場展開でした。年初は105円台から始まったものの、1月末には100円台まで 下げ、その後は101円~103円という狭い中心レンジ内の往復を繰り返し、予想変動率も4%台という過去最低の水準に低下、2月から8月お盆明けまでの 長い長い休眠状態がありました。その期間、拙コラムでも同じようなコメント(長いトレンドは円安)を繰り返しておりました。
しかし、その休眠期間に溜めたエネルギーの莫大さが、秋からのスピード相場に繋がったと言えるでしょう。
ドル円相場に大きな影響を与えたもので、まず浮かぶのが日米金融政策の違いです。量的緩和第三弾を終了する米国に対して、更に量的質的緩和を拡大した日本。
先週開かれた米国金融政策を決定するFOMC結果から、金利正常化が来年の中盤以降にある可能性が高いと見られ、金融政策の行方に敏感に反応する2年物金利は年初の0.30台から直近0.70%台まで上昇しました。
一方で、成長率が2期連続マイナスとなり消費増税が延長された日本では、異次元緩和政策が予定の2年を大きく上回る可能性が高いとされます。日本の2年物国債金利は秋口からマイナス金利での推移になっています。
「発行者(政府)は購入者(金融機関)からお金を貰って、借金できる」ということになります。
一方、某格付け機関から格下げされましたが、10年物の日本国債は0.32%という歴史的な低利回りでの推移。日銀が多くの部分を保有していることも需 給に影響していますが、デフレ脱却目標とは裏腹に期待インフレ率は上昇してこない状態で、緩和政策の長期化を予想させます。
名目GDP480兆円に対して年80兆円のマネーを供給。ETFやREITなどのリスク資産買いを実行するという世界の中央銀行にも余り例を見ない(米国では法で禁止していると思います)ことが日本の中央銀行によって粛々と実行されています。
まさに、「国策相場」と言えるでしょう。
金融政策に加えて、政府による公的年金(GPIF)の運用方針の変更もドル円相場を押し上げた一因でした。特に、第二次安倍政権で改革派とされる塩崎氏 の厚労大臣に就任は好材料になりました。公的年金による株式保有比率上昇とともに外貨資産比率の上昇は円安を後押ししました。ここも「国策相場」ですね。
一方、需給面では、累積する貿易赤字により増大する輸出代金決済、円安になっても衰えない日本企業による海外への直接投資は相場が下押しを限定しまし た。相場の下値で買い手として登場する個人投資家の存在もドル円相場を支えたと言えます。資産の日本脱出という動機があるでしょうか。
海外要因も、見逃せません。米国経済の一人勝ちでのドル高が大きな要因ではありますが、欧州経済の不振により量的金融緩和への工程を進める欧州中銀。 ユーロ安によるドル高が進んでいます。年初、1ユーロ=1.37台から始まり、一時は1.40台をつけに行った相場でしたが、デフレ懸念解消のための量的 金融緩和に言及したドラギ総裁のメッセージを受けて、直近1.21台までユーロは売られています。
今年顕著だった資源安は資源国通貨安につながり、資源輸出を中心とした新興国通貨を押し下げてきました。豪ドルは、資源安と中国経済不振の影響を受け、 直近で対ドルで4年ぶりの安値0.80台をつけました。原油安によるロシアルーブルの暴落も記憶に新しいところでしょう。11月に金利を下げた中国元も下 落に転じました。
今年のドル円相場の推移は、水面下がえらく長く、水面上に浮かぶや高速スピードで円安が進みました。調整少なく高速スピードで進んだ相場の調整も高速か つ大きく、ついて行くのに大きな勇気とエネルギーが必要でした。早々と利益確定してから、次の相場を掴む意思決定、欲のコントロールも大変だったように思 います。
今週はクリスマス、年末要因があり、市場は薄くなりますが、海外はクリスマス明けから動いてくる傾向もあります。直近、昨日発表された米国の7~9月期のGDPの上方修正もありドル高から120円台に上昇しています。米ドル高は当面続きそうです。
リスク要因と考えられるのは、目新しい材料ではないもののギリシャの選挙関連、ロシアのルーブル安など原油安を背景にした資源国通貨安によるリスク回避があります。ただ、これらの要因は皆がすでに騒いで知っているので反応は限定的かもしれません。
ただ、株もドル相場も高値圏にあります。思いもよらない事象が相場に影響を与える可能性もありますので、注意しておく必要があるでしょう。年末に吊り上げられた相場が年初で剥がれるというケースもこれまでありましたので、年末年初相場も慎重冷静に見ていきたいものです。
読者の皆様には今年もご愛読いただきまして、ありがとうございました。
また、貴重なお時間を使って、温かいコメントを送っていただき、とても勇気づけられました。
3000号発行を超えた「億の近道」。途中から執筆参加した私ですが、伝統あるメルマガの片隅で投稿させて頂くことを光栄に思いつつ、今後も中立的な立ち位置から、真摯に相場と向き合い、投資行動と発信を続けていく所存です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
読者の皆様には、良い新年をお迎えください!!
*12月24日15時執筆
本号の情報は12月23日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
本文の前に、
祝!「億の近道」3000号発行!
祝!「2014年まぐまぐ大賞受賞!」
発行者の松田憲明氏をはじめ、発行から長きに継続を支えてこられた方々に最大限の祝意と敬意を表したいと思います。また、それ以上に、読み続けてくださった親愛なる読者の方々に最大限の感謝の意を表したいと存じます。
さて、2014年年の瀬。クリスマス・イブ。ドル円相場は120円台です。
昨日のニューヨーク・ダウ18,000台クローズを受けて、日経平均も17,800円台。クリスマス・プレゼントかと思うようなタイミング。
今年は午年。相場格言に「午尻下がり」があるので心配する向きもありましたが、2014年は尻上がり?「ウマく」行くでしょうか? 年末の引け値に期待したいものです。
今年のドル円相場、最高値121円台を示現したとはいえ、とても難しい相場展開でした。年初は105円台から始まったものの、1月末には100円台まで 下げ、その後は101円~103円という狭い中心レンジ内の往復を繰り返し、予想変動率も4%台という過去最低の水準に低下、2月から8月お盆明けまでの 長い長い休眠状態がありました。その期間、拙コラムでも同じようなコメント(長いトレンドは円安)を繰り返しておりました。
しかし、その休眠期間に溜めたエネルギーの莫大さが、秋からのスピード相場に繋がったと言えるでしょう。
ドル円相場に大きな影響を与えたもので、まず浮かぶのが日米金融政策の違いです。量的緩和第三弾を終了する米国に対して、更に量的質的緩和を拡大した日本。
先週開かれた米国金融政策を決定するFOMC結果から、金利正常化が来年の中盤以降にある可能性が高いと見られ、金融政策の行方に敏感に反応する2年物金利は年初の0.30台から直近0.70%台まで上昇しました。
一方で、成長率が2期連続マイナスとなり消費増税が延長された日本では、異次元緩和政策が予定の2年を大きく上回る可能性が高いとされます。日本の2年物国債金利は秋口からマイナス金利での推移になっています。
「発行者(政府)は購入者(金融機関)からお金を貰って、借金できる」ということになります。
一方、某格付け機関から格下げされましたが、10年物の日本国債は0.32%という歴史的な低利回りでの推移。日銀が多くの部分を保有していることも需 給に影響していますが、デフレ脱却目標とは裏腹に期待インフレ率は上昇してこない状態で、緩和政策の長期化を予想させます。
名目GDP480兆円に対して年80兆円のマネーを供給。ETFやREITなどのリスク資産買いを実行するという世界の中央銀行にも余り例を見ない(米国では法で禁止していると思います)ことが日本の中央銀行によって粛々と実行されています。
まさに、「国策相場」と言えるでしょう。
金融政策に加えて、政府による公的年金(GPIF)の運用方針の変更もドル円相場を押し上げた一因でした。特に、第二次安倍政権で改革派とされる塩崎氏 の厚労大臣に就任は好材料になりました。公的年金による株式保有比率上昇とともに外貨資産比率の上昇は円安を後押ししました。ここも「国策相場」ですね。
一方、需給面では、累積する貿易赤字により増大する輸出代金決済、円安になっても衰えない日本企業による海外への直接投資は相場が下押しを限定しまし た。相場の下値で買い手として登場する個人投資家の存在もドル円相場を支えたと言えます。資産の日本脱出という動機があるでしょうか。
海外要因も、見逃せません。米国経済の一人勝ちでのドル高が大きな要因ではありますが、欧州経済の不振により量的金融緩和への工程を進める欧州中銀。 ユーロ安によるドル高が進んでいます。年初、1ユーロ=1.37台から始まり、一時は1.40台をつけに行った相場でしたが、デフレ懸念解消のための量的 金融緩和に言及したドラギ総裁のメッセージを受けて、直近1.21台までユーロは売られています。
今年顕著だった資源安は資源国通貨安につながり、資源輸出を中心とした新興国通貨を押し下げてきました。豪ドルは、資源安と中国経済不振の影響を受け、 直近で対ドルで4年ぶりの安値0.80台をつけました。原油安によるロシアルーブルの暴落も記憶に新しいところでしょう。11月に金利を下げた中国元も下 落に転じました。
今年のドル円相場の推移は、水面下がえらく長く、水面上に浮かぶや高速スピードで円安が進みました。調整少なく高速スピードで進んだ相場の調整も高速か つ大きく、ついて行くのに大きな勇気とエネルギーが必要でした。早々と利益確定してから、次の相場を掴む意思決定、欲のコントロールも大変だったように思 います。
今週はクリスマス、年末要因があり、市場は薄くなりますが、海外はクリスマス明けから動いてくる傾向もあります。直近、昨日発表された米国の7~9月期のGDPの上方修正もありドル高から120円台に上昇しています。米ドル高は当面続きそうです。
リスク要因と考えられるのは、目新しい材料ではないもののギリシャの選挙関連、ロシアのルーブル安など原油安を背景にした資源国通貨安によるリスク回避があります。ただ、これらの要因は皆がすでに騒いで知っているので反応は限定的かもしれません。
ただ、株もドル相場も高値圏にあります。思いもよらない事象が相場に影響を与える可能性もありますので、注意しておく必要があるでしょう。年末に吊り上げられた相場が年初で剥がれるというケースもこれまでありましたので、年末年初相場も慎重冷静に見ていきたいものです。
読者の皆様には今年もご愛読いただきまして、ありがとうございました。
また、貴重なお時間を使って、温かいコメントを送っていただき、とても勇気づけられました。
3000号発行を超えた「億の近道」。途中から執筆参加した私ですが、伝統あるメルマガの片隅で投稿させて頂くことを光栄に思いつつ、今後も中立的な立ち位置から、真摯に相場と向き合い、投資行動と発信を続けていく所存です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
読者の皆様には、良い新年をお迎えください!!
*12月24日15時執筆
本号の情報は12月23日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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