今週(6月30日~7月4日)の東京株式市場は、日経平均株価で342円、率にして2.3%上昇しました。
7月3日(木)に発表された米国の6月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が前月比28万8000人増となり、市場予想(21万人)を約37%超過。これ を受けて、NYダウが1万7000ドルを初めて上回り、過去最高値を更新。東京市場も4日、約5カ月半ぶりに1万5400円台に上昇しました。短期的な過 熱感はありますが、強い地合いが続いています。
小売業中心に、2月決算企業の第1四半期(14年3~5月期)の決算発表が本格化していますが、順調な決算内容が目立ちます。上場小売業各社の月次売上 動向をみると、全体的に4月以降の反動減が想定より軽微にとどまっており、3~5月の累計ではプラスとなった企業が多く、このことが堅調な企業業績につな がっています。
前回消費税が引き上げられた97年と今回の違いを整理しますと、
1)今回は政府が景気の落ち込みを回避すべく、消費税率に換算して2%程度に相当する5.5兆円規模の経済対策を実施した
2)前回の学習効果から、企業側はキメ細かな在庫コントロール、販売戦略などを実施しており、消費者も慎重なスタンスが目立つ
3)住宅関連など消費増税の影響が比較的大きな需要項目の構成比が前回に比べ低下した
などの要因が挙げられます。
また、7月1日に公表された日銀短観(6月調査)では、大企業製造業の14年度設備投資計画(含む土地投資額)が前年度比12.7%増となり、3月調査 時の同3.6%増から大幅に増加、かつ6月調査としては8年ぶりの高い伸び率となりました。国内企業の設備投資更新や能力増強に関する旺盛な需要が確認さ れた形です。
設備投資は今後増勢をたどると予想され、経済対策による公共工事も7~9月期には集中的に執行される見通しです。
14年4~6月期の実質GDPは駆け込み需要の反動減からマイナス成長を余儀なくされるでしょうが、7~9月期のGDPは、個人消費の復調、公共投資の 増加、設備投資の増勢などにより、V字回復が見込まれます。輸出の増加がこれに加われば、一段と成長率は高まるでしょう。
7~9月期GDPの1次速報は11月17日に、2次速報は12月8日に公表になります。10月後半から本格化が予想される3月決算企業の中間決算で、通期業績見通しの増額修正が相次ぐようですと、年末に向けた株式相場の見通しはかなり明るくなるとみています。
【書籍紹介コーナー】
「勝ち組投資家になりたいなら『統計』を読め!『人口動態』から読む次世代投資」(平山賢一著 朝日新聞出版)
以前にもコラム内で紹介した本です。著者の平山氏は、東京海上アセットマネジメント投信運用本部運用戦略部のチーフファンドマネジャー兼チーフストラテジストですが「金利史観」、「国債と金利をめぐる300年史」(共著)、「振り子の金利史観」、「2013年、インフレ到来」など、多くの好著を執筆されており、経済学に関する数百年単位の長期的・歴史的な視点をベースに投資を考察するスタンスに大きな特徴があります。
平山氏はこの著書の冒頭、「はじめに」で、こんなふうに書き出しています。
「米国のファンドマネジャーの巨人ビル・グロスの趣味は、日々の金融市場の変化から視点を転じ、人口統計をゆっくり眺めることだという。短期的な金融市場 の変動の予測にのみとらわれるのではなく、長期的な経済社会の変化を予測するためには、経済社会に大きな影響を与える世界人口の変化を見ておく必要がある と考えているからであろう。」
これはまさに投資の要諦ではないでしょうか。この著書では人口の増減といった量的な変化だけでなく、人口構成といった質的な変化(人口動態)と経済社会 を結びつけることで、「政治・経済・金融市場」を分析・予測。その上で、21世紀に期待される産業を投資対象として浮かび上がらせています。
(水島寒月)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
7月3日(木)に発表された米国の6月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が前月比28万8000人増となり、市場予想(21万人)を約37%超過。これ を受けて、NYダウが1万7000ドルを初めて上回り、過去最高値を更新。東京市場も4日、約5カ月半ぶりに1万5400円台に上昇しました。短期的な過 熱感はありますが、強い地合いが続いています。
小売業中心に、2月決算企業の第1四半期(14年3~5月期)の決算発表が本格化していますが、順調な決算内容が目立ちます。上場小売業各社の月次売上 動向をみると、全体的に4月以降の反動減が想定より軽微にとどまっており、3~5月の累計ではプラスとなった企業が多く、このことが堅調な企業業績につな がっています。
前回消費税が引き上げられた97年と今回の違いを整理しますと、
1)今回は政府が景気の落ち込みを回避すべく、消費税率に換算して2%程度に相当する5.5兆円規模の経済対策を実施した
2)前回の学習効果から、企業側はキメ細かな在庫コントロール、販売戦略などを実施しており、消費者も慎重なスタンスが目立つ
3)住宅関連など消費増税の影響が比較的大きな需要項目の構成比が前回に比べ低下した
などの要因が挙げられます。
また、7月1日に公表された日銀短観(6月調査)では、大企業製造業の14年度設備投資計画(含む土地投資額)が前年度比12.7%増となり、3月調査 時の同3.6%増から大幅に増加、かつ6月調査としては8年ぶりの高い伸び率となりました。国内企業の設備投資更新や能力増強に関する旺盛な需要が確認さ れた形です。
設備投資は今後増勢をたどると予想され、経済対策による公共工事も7~9月期には集中的に執行される見通しです。
14年4~6月期の実質GDPは駆け込み需要の反動減からマイナス成長を余儀なくされるでしょうが、7~9月期のGDPは、個人消費の復調、公共投資の 増加、設備投資の増勢などにより、V字回復が見込まれます。輸出の増加がこれに加われば、一段と成長率は高まるでしょう。
7~9月期GDPの1次速報は11月17日に、2次速報は12月8日に公表になります。10月後半から本格化が予想される3月決算企業の中間決算で、通期業績見通しの増額修正が相次ぐようですと、年末に向けた株式相場の見通しはかなり明るくなるとみています。
【書籍紹介コーナー】
「勝ち組投資家になりたいなら『統計』を読め!『人口動態』から読む次世代投資」(平山賢一著 朝日新聞出版)
以前にもコラム内で紹介した本です。著者の平山氏は、東京海上アセットマネジメント投信運用本部運用戦略部のチーフファンドマネジャー兼チーフストラテジストですが「金利史観」、「国債と金利をめぐる300年史」(共著)、「振り子の金利史観」、「2013年、インフレ到来」など、多くの好著を執筆されており、経済学に関する数百年単位の長期的・歴史的な視点をベースに投資を考察するスタンスに大きな特徴があります。
平山氏はこの著書の冒頭、「はじめに」で、こんなふうに書き出しています。
「米国のファンドマネジャーの巨人ビル・グロスの趣味は、日々の金融市場の変化から視点を転じ、人口統計をゆっくり眺めることだという。短期的な金融市場 の変動の予測にのみとらわれるのではなく、長期的な経済社会の変化を予測するためには、経済社会に大きな影響を与える世界人口の変化を見ておく必要がある と考えているからであろう。」
これはまさに投資の要諦ではないでしょうか。この著書では人口の増減といった量的な変化だけでなく、人口構成といった質的な変化(人口動態)と経済社会 を結びつけることで、「政治・経済・金融市場」を分析・予測。その上で、21世紀に期待される産業を投資対象として浮かび上がらせています。
(水島寒月)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
コメント
コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。