サッカー・ワールドカップに注目が集まっているからというわけではないでしょうが、為替相場は低い変動率での推移が続いています。ドル円相場の先月末から 昨日までの動きは、安値101円61銭、高値102円80銭で、取引の殆どが101円90銭台周辺に集まっています。米国の雇用統計、欧州中銀理事会、米 国金融政策決定会合(FOMC)と注目のイベントをこなしてなお、異常に静かな動きです。
外債投資、為替相場を見るうえで、金利動向は重要なポイントです。
米国の金融政策を決定する直近のFOMCは6月17~18日に行われました。今年に入ってから毎月実施されてきた資産購入の100億ドル減額は予想通り でしたが、イエレンFRB議長が米国経済の成長予測を下方修正したことのは少し意外感がありました。イエレン氏は又、資産購入が終わっても相当の期間、政 策金利を低水準に維持する方針とのコメントを述べています。
米国債10年物は、5月に一時2.4%台まで利回り低下しましたが、2.44%を下に、徐々に利回りは上昇。6月に入ると、2.6%台半ばまで、じわじ わ上昇して、利回りは底打ちして上昇基調に移るかのようにも見えましたが、FOMC後には再び2.5%台に戻すなど、方向感が見えにくい展開が続いていま す。
5月の消費者物価指数は前年比2%に上昇して、FRBの目安とする水準に戻してきていることを見ると、長期金利はもう少し高いレベルにあったもおかしく ないはずです。米債利回りが上昇しない背景には、ウクライナやイラク情勢の悪化などの地政学リスクによる、いわゆる「質への逃避」的債券買いもあると言わ れますが、中長期的な米国経済への楽観的見方が薄れつつあるのかもしれません。
一方、FRBの一部の理事からは、利上げの必要性について言及する向きもあります。今後の政策金利を占う上で参考になる2年債利回りは、じわじわと上昇 を見せています。直近の水準は、過去1年では一番高い0.49%(過去1年の平均0.35%)まで上昇していて、1年後(2015年夏位)の利上げを織り 込みつつあるように見えます。
イエレン議長の発言からは、利上げは将来の経済環境次第、決め手は?マーク、出口戦略を未だ見直し中、というようなニュアンスが伝わってきます。住宅市 場や資産市場に混乱を及ぼさないような出口への最善策と時期を模索しているのでしょう。このあたりの骨格が見えてこないと、動きにくい状況は続きそうで す。
中銀総裁の発言で早期の利上げ期待が盛り上がり、買われたの英国ポンドです。カーニー中銀総裁が、利上げは市場の予想よりも早く行われる可能性を示唆し たことがきっかけになりました。英ポンドは対ドルで1.7039まで上昇、対円でも173円70銭水準まで買われました。
ところが、昨日は一転、カーニー総裁が、ややトーンダウンした発言をしたことからポンドは反落しましたが、主要通貨の中で今後もっとも利上げに近い位置 にいる英ポンドは買われやすい状態が続くものと思われます。ただし、一方通行に動いた後の反動も大きい通貨なので、付き合うのに注意が必要でしょう。
日本の公的年金運用の資産配分で、国内債を減らして株式比率を増やすという「国策」への期待が日本の株式市場の下値を支える要素の一つとなっていると思 いますが、外国債券や外国株式への投資も5%程度増えるとの話も聞こえてきます。巨大な年金運用資金の海外投資は、円相場(ドル円、クロス円)に大きな影 響を与えるものと思います。運用の詳細は秋頃には出てくるものと言われていますが、どのような詳細で、どの通貨に影響があるのか、しっかり注目していく必 要があります。
月初から直近までの期間、主要通貨で最も上昇したのは利上げをしたニュージーランド・ドルの2%、次に年内の利上げが予想されている英国ポンドの1.4%上昇でした。どちらも、利上げがらみでの動きです。
狭いレンジ相場が続くドル・円相場。そろそろ方向が見えてきても良さそうな気がします。諦めず、方向感を注意深く見ていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*6月25日15時執筆。
本号の情報は6月24日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
外債投資、為替相場を見るうえで、金利動向は重要なポイントです。
米国の金融政策を決定する直近のFOMCは6月17~18日に行われました。今年に入ってから毎月実施されてきた資産購入の100億ドル減額は予想通り でしたが、イエレンFRB議長が米国経済の成長予測を下方修正したことのは少し意外感がありました。イエレン氏は又、資産購入が終わっても相当の期間、政 策金利を低水準に維持する方針とのコメントを述べています。
米国債10年物は、5月に一時2.4%台まで利回り低下しましたが、2.44%を下に、徐々に利回りは上昇。6月に入ると、2.6%台半ばまで、じわじ わ上昇して、利回りは底打ちして上昇基調に移るかのようにも見えましたが、FOMC後には再び2.5%台に戻すなど、方向感が見えにくい展開が続いていま す。
5月の消費者物価指数は前年比2%に上昇して、FRBの目安とする水準に戻してきていることを見ると、長期金利はもう少し高いレベルにあったもおかしく ないはずです。米債利回りが上昇しない背景には、ウクライナやイラク情勢の悪化などの地政学リスクによる、いわゆる「質への逃避」的債券買いもあると言わ れますが、中長期的な米国経済への楽観的見方が薄れつつあるのかもしれません。
一方、FRBの一部の理事からは、利上げの必要性について言及する向きもあります。今後の政策金利を占う上で参考になる2年債利回りは、じわじわと上昇 を見せています。直近の水準は、過去1年では一番高い0.49%(過去1年の平均0.35%)まで上昇していて、1年後(2015年夏位)の利上げを織り 込みつつあるように見えます。
イエレン議長の発言からは、利上げは将来の経済環境次第、決め手は?マーク、出口戦略を未だ見直し中、というようなニュアンスが伝わってきます。住宅市 場や資産市場に混乱を及ぼさないような出口への最善策と時期を模索しているのでしょう。このあたりの骨格が見えてこないと、動きにくい状況は続きそうで す。
中銀総裁の発言で早期の利上げ期待が盛り上がり、買われたの英国ポンドです。カーニー中銀総裁が、利上げは市場の予想よりも早く行われる可能性を示唆し たことがきっかけになりました。英ポンドは対ドルで1.7039まで上昇、対円でも173円70銭水準まで買われました。
ところが、昨日は一転、カーニー総裁が、ややトーンダウンした発言をしたことからポンドは反落しましたが、主要通貨の中で今後もっとも利上げに近い位置 にいる英ポンドは買われやすい状態が続くものと思われます。ただし、一方通行に動いた後の反動も大きい通貨なので、付き合うのに注意が必要でしょう。
日本の公的年金運用の資産配分で、国内債を減らして株式比率を増やすという「国策」への期待が日本の株式市場の下値を支える要素の一つとなっていると思 いますが、外国債券や外国株式への投資も5%程度増えるとの話も聞こえてきます。巨大な年金運用資金の海外投資は、円相場(ドル円、クロス円)に大きな影 響を与えるものと思います。運用の詳細は秋頃には出てくるものと言われていますが、どのような詳細で、どの通貨に影響があるのか、しっかり注目していく必 要があります。
月初から直近までの期間、主要通貨で最も上昇したのは利上げをしたニュージーランド・ドルの2%、次に年内の利上げが予想されている英国ポンドの1.4%上昇でした。どちらも、利上げがらみでの動きです。
狭いレンジ相場が続くドル・円相場。そろそろ方向が見えてきても良さそうな気がします。諦めず、方向感を注意深く見ていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*6月25日15時執筆。
本号の情報は6月24日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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