今週(5月19~23日)の東京株式市場は、日経平均株価で365円(率にして2.6%)上昇しました。週前半は1万4000円をはさんでの一進一退が 続きましたが、後半にかけては米国株式の堅調な動きや円高の一服などを受け、輸出関連株を中心に上昇。一部の報道で、かんぽ生命保険が保有比率を拡大する 方針だと伝わったことなども投資家心理を好転させました。

 先週、当コラムで言及した自社株買いを発表する企業に対する注目度も引き続き高まっています。日経QUICKニュースの滝口朋史記者は本日、「株、下値 不安じわり後退 実質マイナス金利で財務戦略に変化の芽」と題する記事を配信しました。滝口記者は、長期金利が0.6%前後で推移するなか、3月の全国消 費者物価指数が前年同月比1.6%上昇するなど、実質金利(金利マイナス物価上昇率)のマイナスが定着することで、豊富な手持ち資金を擁する国内企業が、 自社株買い、成長に向けた投資など資金の有効活用に目を向け始めたことに注目しています。

 筆者も、国内と欧米などとの実質金利の格差から円安が進むとの見通しをこれまで述べてきましたが、国内の実質金利の低下、マイナスの定着は滝口記者の指 摘通り、企業の財務活動に大きく影響するものと考えます。「運用収益向上」の考え方は、上記のかんぽ生命保険はじめ国内機関投資家の運用の積極化も促すも のと思われます。海外投資家の日本株買いは鈍っていますが、個人投資家および国内機関投資家の買いに期待したいと思います。

 先週、自社株買い関連で言及しました総合商社ですが、本日の終値ベースでみますと、三井物産の年配当利回りは3.8%、三菱商事も3.4%に達していま す。エネルギー供給、食糧供給に重要な役割を担う総合商社は中長期的な収益拡大が期待できるものと考えます。配当利回りだけみても、魅力的ではないでしょ うか。

(水島寒月)

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