来週は大型連休入りすることに加え、29~30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、30日に日銀の金融政策決定会合、5月2日に米国の4月の雇用統 計の発表と重要イベントが相次ぎます。国内企業の決算発表も継続するため、引き続き様子見機運が続くのではないでしょうか。
既に決算発表を終えた企業の中には、安川電(6506)のように、今期(15年3月期)の業績見通しに関し、事前の市場予想を大きく下回る数値を公表し 失望売りを浴びるケースもあります。ただ、企業側の期初の予想が例年保守的であることは、市場関係者にかなり浸透しつつあるようで、改めて大きなネガティ ブファクターとはならないように思います。
米欧中心の世界景気の回復、為替相場での円安傾向などを背景に企業業績は、期が深まるにつれ増額されるとの筆者の見方に変更はありません。
企業の経営体質も長く続いたデフレの間に相当に強化されています。財務省が四半期ごとに公表する「法人企業統計」では、全産業ベースの自己資本比率は、 2000年1~3月の24.0%が2013年10~12月には38.6%にまで改善しています。また、同じく売上高経常利益率は3.2%が4.9%にまで 向上しています。
これは、国内企業が、デフレが継続するなか、投資を抑制してキャッシュを蓄積し、財務体質を強化。かつ円高の進行下にあって構造改革を推進し、収益体質 を高めてきたことを物語っています。積み上がっている手元資金に加え、アベノミクスの効果による円安、業績改善により、各企業の株主還元(増配、自社株買 い)の余力は大いに高まっています。本決算後は、株主還元強化の動きも株高を支援するものと予想します。
ところで、TPPの決着は先送りとなってしまいました。筆者は円安が継続するものとみていますが、再び円高方向に動くケースがあるとすれば、それは中間 選挙を控えたオバマ政権が政治的に円安をけん制する場合であるとみていました。TPPが大筋で合意されれば、米国内に向けた大義名分も確保されるため、為 替相場は再び円安方向に動く可能性があると考えていたわけです。日米両国の実質金利の格差は、米国の上昇傾向に対し、日本が下落しているため足元拡大傾向 にあるからです。
しかし、合意は果たせなかったとはいえ、真摯な交渉がなされたことで、決着にはかなり近づいたものと期待できます。オバマ大統領が尖閣問題に関し踏み込 んだ発言をしたことは、以前にも触れましたように、ウクライナ情勢の緊迫化を踏まえて日本など「同盟国寄り」の姿勢を鮮明にしたものと言えます。これらも 日本株相場にとってはプラス要因になると考えています。
(水島寒月)
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