外国為替市場では、日本円は米ドルに対しては当面弱含みで推移し、ユーロに対してはそれほど弱くはならないものと考えます。量的緩和縮小を決定した FOMCでは、米実質GDPの伸び率の上限を14年に3.2%、15年に3.4%と予想しました。米国経済の民間主導の景気拡大は継続する見通しです。 14年11月に実施される中間選挙を控え、与野党も財政問題で不毛な対立を繰り返すことは避けるでしょう。公的部門のマイナス影響が薄れるとともに米国経 済の改善は続き、FRBは徐々に緩和規模の縮小を進める見通しです。
欧州経済も最悪期を脱し、緩やかな回復が続いていますが、今ひとつ力強さを欠いています。単一通貨ユーロの実効レートの推移をみると、足元はドル以上に 強含んでいますが、これは景気回復を先取った投資マネーの流入によるものと考えられます。欧州経済の回復を支えるドイツは輸出比率の高い国ですから(欧州 域内への輸出も多いとはいえ)、継続的なユーロ高は景気回復に水を差しかねません。物価の上昇率が目標を下回っていることもあり、ECBはもう一段の利下 げを模索するものと思います。
日銀は先週も述べましたように、消費税率引き上げのネガティブな影響を補うべく追加緩和に踏み切るのは確実です。問題はその時期です。13年は4月に 「異次元の緩和」を実施し、国内株式相場は5月に一旦高値を付け、調整局面を迎えました。14年も追加緩和の実施時期によって年間の高値をつける時期が左 右されるとの見方すらあります。「兵力の逐次投入はしない」との黒田総裁のポリシーからすれば、4月以前にサプライズを伴う規模で実施する可能性もありえ ましょう。
いずれにしろ、主要国中銀の政策スタンスへの思惑から、円安が(特に米ドルに対して)進む展開が続くのではないのではないでしょうか。
(水島寒月)
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