企業が自社の存在価値、ブランドや製品を広めるために行っている行為はPR(パブリック・リレーションズ)と言われ、これを遂行する役目を担うのがメディア(媒体)ということになります。つまり私たちはメディアを通じて企業や社会全般の動きを知ることになります。

 メディアとしては新聞や雑誌、テレビといった旧来のメディアのほか、YouTubeなど様々なインターネットメディアが登場し百花繚乱の状態だというのはご存じの通り。その担い手も時代とともに栄枯盛衰を見せてきました。
 メディアでは映画、ドラマ、アニメ、バラエティ、ニュース、趣味、ドキュメンタリー、スポーツ、グルメ、通販などのコンテンツが提供され、その合間に企業のPRが広告として伝達されるという構図です。

 新聞や雑誌は一般的には有料。自宅への配布、本屋や駅などでの配布でビジネスが成り立っているのですが、最近は様々なフリーペーパー(つまり無料)も普及。各地の高速道路サービスエリアに設置されているハイウェイ情報誌はその典型です。

 そうした紙媒体には広告がつきもの。
 文字や絵、写真にて消費者に訴求しますが、戦後はテレビ受像機が普及したことで紙媒体の広告に対して動画像で告知できるテレビメディアがお茶の間を席捲。そのスポンサーを集める役割の広告代理店である電通や博報堂というメジャー企業が生まれ、テレビメディアとの蜜月時代が長期わたり続いてきました。
 これについてはまた改めての機会に取り上げたいと思いますが、テレビメディアを担うのはテレビ局を運営するテレビ会社(有料放送の公的放送局NHKや在京民放5局、地方局、BS放送、CS放送、衛星放送会社など)です。

 有料放送のNHKが視聴料の取り立て問題となりスクランブル化などに迫られるなど政治の世界にまで混乱を生じていることになりますが、事業規模が7000億円とも言われる巨大組織であるNHKが将来、日本郵政やかつての国鉄などと同様に民営化される可能性もある点は念頭に入れておく必要があります。

 テレビメディアからインターネットメディアに主役が変わろうという時代ながら地上波テレビメディアは現在もPRの主役になってはいますが、PC、スマホやタブレット端末の普及とともに、映像ディスプレイとしてのテレビの役割は縮小していますが、中高年層にとっては生活習慣の中にはまだテレビ自体は重要な役割を担っていると言え、ビジネスが一気に消えることはないという点を認識しておきたいと思います。

 かつて新聞メディア企業が放送メディア企業に出資しながら移行したように放送メディア企業がインターネットメディア企業に資金を投じていく流れが感じられます。放送メディア企業にはアニメやドラマなどのコンテンツを国内外で外販して行こうという潮流もあり、メタバースなどをビジネスチャンスと見て取り組み始めているようです。

 株式市場ではPRに対してIR(投資家関係)情報への関心が高いのですが、NISA枠が1800万円に拡大するということから今後ますます関心が高まる状況が予想されます。しかしながらIRに関しては企業にとっては業績に直結しないために、これまで比較的関心が薄かったように思われます。
 上場企業が発信するIR情報の多くはまだコストの安いインターネットによるものが大半で、自社サイト内でのアピールがメインと言えます。

 これを今後は地上波メディアが担うようになって初めて資金力のある中高年層やこれから株式投資を始めようとしている若年層にアプローチしていくようにしていこうという潮流が生まれるならテレビメディアはまた新たな存在価値を生むことになるかと思います。


 しかしながらそんなIRサポートをできうる筈の上場テレビメディア企業自体が自社のIRを放置してきた結果、資産価値以下に株価を放置してきたという皮肉な現象が見られます。

 その中では日経新聞を親会社に持つテレビ東京HD(9413)の株価がこのところ堅調です。今期業績の上方修正に自己株買い枠拡大、その期間が6月末まで延長、更には80円配当へと増配という施策が反映されているものと思われます。

 また、今後、経済番組がますます重要になるという予兆なのかも知れません。
 また、他の地上波テレビメディアに対して圧倒的に時価総額が小さい点はむしろ魅力なのかも知れません。実は日本最大のIR会社はテレビ東京HDなのではないかとも思えます。

 皆さんはどのようにお感じでしょうか。


(炎)


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