旧来の地上波テレビメディアが頭打ちとなる中でネットワークメディアとりわけYoutubeの動画配信が視聴者の間に広まり、私たちが得る情報も選べる時代となってきた。
ニュース番組では7年8カ月前にスタートした虎ノ門ニュースがそうした潮流に乗って番組開始以降、登録視聴者数が100万人近くまで拡大し、地上波テレビと遜色ない位置にまでステータスが上がったことは、特筆すべきことである。
虎ノ門ニュースを知らない方のために簡単に説明しておこう。
虎ノ門ニュースは健康食品やサプリメントなどでおなじみのカリスマ経営者吉田会長率いるDHCがスポンサーとなってスタートしたインターネット上のニュース番組である。MCに歴史に造詣のあるお笑いコンビ、米粒写経の居島一平を抜擢。スタート当初は視聴者数も限られていたが、現参院議員の青山繁晴氏や作家、百田直樹氏、科学者、武田邦彦氏といったユニークなキャラクター論客が月曜日から金曜日の日替わりで毎朝8時から10時に登場するニュース解説番組で地上波テレビメディアでは知ることのない独特の内容からしばらくすると数多くの視聴者数が集まり、一大ニュースメディアにまで育ってきた。
残念ながらDHCがオリックスに買収されることとなり虎ノ門ニュースは今月18日で7年8カ月も続いてきた番組も幕を下ろすことになった。
最終日に筆者は虎ノ門ニュースのスタジオに足を運んでみたが、やはり想像通り大勢のファンが集まり、最後の放送を名残惜しむ姿があった。
最後の放送ではMCの居島氏のほか経済評論家須田氏、政治評論家藤井氏から過去の虎ノ門ニュースの歴史などが語られた。地上波テレビのニュースでは伝えられることのないずばりの情報が日々伝えられ、世論を形成する原動力となってきた功績の大きさは計り知れない。
スポンサーの問題ではあるが、本当に残念な番組終了となってしまった。
虎ノ門ニュースにはスタッフ15名が制作に関与し、地上波テレビメディアとほとんど遜色のない作り込みであった。
それ以上に登場する優れた論客の存在は他に比較することはできないユニークさがあったため多くの視聴者から支持を受けたと推察される。筆者もその一人であるが、思わず様々な方々に拡散していったことを思い出す。
スタジオ前に足を運んだ皆さんは100万人もの視聴者を代表した方々だと言っても良いだろう。思い思いの考えを持って足を運ばれたに違いないが、そこにはこれからの日本を思う気持ちがあふれていたに違いない。
7年8カ月も続いてきた人気の虎ノ門ニュースに代わって既に各論客たちはそれぞれの思いで別の番組をスタートさせているようだ。
一つは闇鍋ジャーナルと称する居島氏、須田氏などがスタートした番組。
もう一つは百田直樹氏や有本香氏がスタートした朝8時からのニュース生放送番組であるが、こうしたこれまでの出演者たちの新たな動きで虎ノ門ニュースが進化、深化することになればむしろ終わった方が良かったとも言えるだろう。虎ノ門ニュースファンだった多くの視聴者も改めてその有難さや面白さを知ったと思われる。
株式相場とは無関係なようだが、放送法で守られてきたテレビメディア事業を行う放送業界の株価が低迷してきた流れを見るにつけ日本に巣食ってきた既得権に守られてきた放送業界の変化が求められることになる点を改めて考えるとても良い機会となったように思う。
なお、DHCのオーナーであった吉田会長が持ち株をすべてオリックスに3000億円で売却するとのサプライズな話題はその子会社であるDHCテレビが運営する虎ノ門ニュースの今回の終焉の直接的な背景ではあるが、吉田会長がテレビ東京ホールディングスの個人筆頭株主である点に関心を向けるきっかけとなった。
今後は虎ノ門ニュースの復活劇にも関心が寄せられるが、果たしてどうなるか、テレ東株の動向とともに、その復活劇にも皆様とともに注目しておきたい。
(炎)
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