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時価総額10億円割れ寸前の業績黒字銘柄

2022/02/24 16:06 投稿

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 株下げ政権による相変わらずの異常な調整相場が続いています。
 直近のIPO銘柄をチェックしていても、個別の銘柄には驚くような体たらくが見られるようになってきました。

 以下、直近になってJASDAQに上場した2銘柄の事例を掲げておきます。


1.セイファート(9213・JQ)
 上場2月4日 美容業サポート 発行済み株式数132万株

 公開価格1120円 初値1030円(▲8%)
 安値808円 高値1650円
 時価818円
 時価総額11.5億円
 本日出来高22万株 時価総額10億円=株価757円

 2月14日に前12月期決算発表。推定EPS158円から161円で着地したが今期の見通しは128.9円で時価PERは6.3倍となる。今期の経常利益は2.7%減となる点がネガティブな印象となり決算発表後の株価は大きく下落してきた。

 そもそもJASDAQ銘柄なので不人気なのはわかるが、ここまで商いを伴って下げる理由は何なのか?
 それが気になるここまでの展開です。

 過剰な売られ過ぎかと思ってはいるが、地味かと言うと美容師さんをサポートしている企業で市場内での競争先がリクルートともう一社上場企業があるようです。美容学校の90%を押さえて美容人材のサポートをしてきた同社のシステムの遅れでこれまで業績が伸びないできたとされそれを打破するためのシステム開発がようやく進展し業績に貢献し始めたとのことで今回のIPOに至ったとの話。
 全体相場の需給悪を反映した株価の下げではあるが注目したいのは出来高で発行済み株数132万株に対して85万株とIPO後7日目でも活発な売買となった。このところようやく出来高が減少しつつあるが、それでも本日は22万株と発行済み株式数の16%余りの出来高となっている。

 1650円高値までの短期急騰後の投げが出ている格好で当面はなおも下値模索が続きそうだが時価総額が11億円台で今期予想経常利益2.45億円に対しての評価は割安感が出てくる局面と言えそう。

 個人オーナーの保有株はすべて売却され、持ち株会社の株だけが30%ほど保有している状況が推察される。資金力がありキャッシュに余裕のある目ざとい投資家には狙われやすい銘柄になりつつある。
 上場企業としての箱がほしい投資家にもとても魅力的な状態となりつつあり、ここまでの短期調整場面の投資チャンスを確保した大口投資家にはリスクテイクのチャンスがあったと思われる。

 なお時価総額10億円の株価水準は757円。スタンダード銘柄なのでこれを割るのは即、上場ができなくなるし、流通時価総額の10億円割れとも合わせて時価の水準を大きく下回るのは理不尽なものとなりそう。

 なお、上場時に42万株の公募(単価1120円)で4億円余りの資金調達を行った結果、前期末の11億円のキャッシュと合わせて15億円のキャッシュを持った格好で、既にキャッシュリッチな状態でもある。



2.のむら産業(7131・JQ・スタンダード)
 2021年12月2日上場

 公開価格1210円 初値1113円 高値1125円
 ⇒安値825円(▲27%)時価855円(時価総額13.2億円)
(自己株15万株除く時価総額11.9億円、流通時価総額6.9億円)

 米穀精米袋と米穀計量包装機械の国内トップ。物流梱包にも注力。
 菓子、ペット用にも注力開始。

 スタンダード市場に向かうためには流通時価総額が不足しており、2024年10月目途に株価対応に迫られているが、上場後の株価は低迷状態だが下値は堅くなってきた。

 売り物をコツコツ拾われているとの印象があり上場後の株価低迷ではやくも流通時価総額が10億円を切り対応に迫られている中で投資家がうごめいている。何のための上場なのか不明でIPOでは新株の発行はしなかった。筆頭株主の投資事業組合保有株76万株は上場時に放出されたため、その分がその他の浮動株も合わせ流通株81万1700株となったが短期の投げで株価は高値から27%値下がりしてきた。

 基本的な業績は堅調。今期も増収増益を見込むほか菓子用、ペットフード用などコメ袋以外のアイテムの売上構成比を高めて業容を図るとオンライン説明会では表明しており、今後も新規事業なども含めて積極的なビジネス展開が期待される。

 時価総額13億円台という水準でPER5倍台に低下。予想配当利回り4.3%となりややマニアックな銘柄ながら魅力的な水準となってきた。
 流通株数81.17万株÷立会日数(250日)とすれば1日当たりの出来高は最大平均3200株となる。

 当面は株価をさほど上げることなく下値でのコツコツとした投資を進める作戦で反転を待つスタンス。株主提案権獲得に必要な株数は1万5500株で金額は1320万円となる。時価で15.5万株入手できれば1.3億円余りで10%の株式を保有することができる。これは現在の清川社長の持ち株を上回る水準。
 なお流通時価総額を10億円に高めるためには株価は1231円を超える必要がある。これは予想EPS149円に対してPER8.3倍の水準で決して不可能なことではない。つまり今後2年間で株価が公開価格を上回るような施策を打ち出せればスタンダード上場は維持されるということになる。

 ビジネス上の魅力はさほどないとしても業態からは安定した収益が生まれると推察される一方で、プラスアルファの安定成長性と上場維持施策が合わさると投資家にもリターンがもたらされるものと期待される。
 このためこの銘柄にはじっくりと取り組むスタンスが必要となる。ここから下げれば下げるほど、既存株主が売ってくれば売ってくれるだけ良い。ですから全体相場が低迷すればこの株にも投げが出る筈で、そこが狙い目となるとの発想で臨める投資家には魅力ある銘柄と言えそう。


【業績その他】

 流通株 81.17万株 発行済み株式数 154.6万株
 自己株15.1万株
 有利子負債 4.36億円
 保有現預金 8.63億円 +投資有価証券1.35億円
 粗利率25% 実績ROE17.8% 予想ROE16.4%
 営業利益推移
  2019.10期300⇒2020.10期264
  ⇒2021.10期324⇒2022.10期E334(百万円)


 こうした銘柄もあるんだなあとまずは関心をもって見て頂ければ幸いです。
 問題はこうした銘柄が山のように存在し始めているという市場の現実かも知れません。


(炎)


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