数年前から事業拡大を続けているIFA業者から聞きましたところ、IFAとして活動している営業マンは既に5,000人を突破しているようです。
証券会社の従業員数は2021年6月時点で約74,000人ですから、そのうち営業員が60%と仮定すると約45,000人が営業に従事している人数と思われます。
これに銀行などその他金融機関出身者もIFAに加わっていますから、証券関係の営業員の10%程度がIFAで活動している計算になります。
いわゆる歩合外務員の仲介業者版ですが、その中で出来るだけ歩合に頼らず固定手数料を主な収入としているIFAは全体の数%程度ではないかとの話です。どちらにしてもIFAと言う仕事の形が定着しつつあると考えられます。
欧米での対面営業はIFAが主流ですし、会社からのプレッシャーが無く自由な営業が出来る点では今後もIFAの形態が増えていくと考えています。
以前にも書きましたが、大手証券ともなると日替わりメニューのように目標(ノルマ?)が課されますから、「顧客の利益のために」などと言っていたら、とてもじゃないけど数字を消化できないと言います。
歩合給のメリットは無理をせずとも「それなりの」収入を得られる点にあります。それ故に、欧米では一旦は固定料率でのIFAが増えたものの、それでは満足な収入確保が難しいため、徐々に歩合型に戻る形で今のIFAの形へと変わってきました。国内の対面型証券会社でも、特に個人営業部門については従来型のノルマを課した回転売買に繋がり易い営業方法を変えていかねば存続が難しくなってゆくのでしょう。
加えて、今の日本には不動産のように着実に利回りを得られるもの以外に円建てでは投資に値する金融商品がとても少なく、結果として消去法で米国株式に資金が向かい、且つ国内では配当があり流動性の高い大型株(バリュー株)に資金が向かわざるを得なくなったのが最近の動きです。
とは言え、昨年秋からの株式市場は米国金利の動向に振り回されており、強気の専門家の意見とは裏腹に、今年に入ってからの10日余りで日経平均株価は28,000円を割りました。某専門家が年末の見通しで「今年は35,000円を超える!」と書いていましたが、その理由が余りに素人的で呆れました(苦笑)。
仮にいずれ35,000円になるとしても、昨年秋からずっと強気の意見に倣って買い続けていた投資家が居たなら、今頃はとても残念な気分になっていることでしょう。指数は10%弱の値下がりですが、個人投資家好みの中小型株を多く買っていた場合には余程上手い投資が出来ていなければ相当の痛手になっていると思われますから。
中小型株の多いマザーズ指数は2020年のコロナ騒ぎが始まった5月連休前の水準まで下げています。全体で見てもここ4~5年の株式投資を振り返ると、2020年を除いては、主に日本市場に投資していた投資家は米国株式に投資した方に比べて相当悪いパフォーマンスになっていると想像できます。
そしてこのような金利の無い世界では、金融市場に詳しくない方は投資詐欺の被害に遭い易くなります。
詐欺でなくとも、有名な金融機関でも「こんな商品売っていいの?」「ちゃんと説明したの?」と言いたくなる商品を日々目にします。
代表例としては外貨建て保険やEB(他社株転換権付社債)などです。
これらは運用商品とは言えない、見栄えだけの(儲かりそうに見えるだけ)商品と考えています。
外貨建て保険であれば、わざわざ保険にしなくとも、投資予定額で該当する通貨の債券を買うとともに、その利金の範囲で少額の掛け捨て保険に入れば良いだけです。これならイザというときにも売れますし、円安時に売れば想定以上の利益になります。
資金が5年も10年も固定されるリスクは大きく、保険商品にするための多額の費用も内包されています。
EBは昨年までのように安定的に値上がりしているうちは良いのですが、一定以上、例えば日経平均株価やNYダウが10数%以上も下がることになれば、EBに使われている変動率の大きな銘柄は倍以上も下がりそうです。そうなると地道に稼げると思って投資したはずが大損に繋がってしまうことになります。
やはり、どのような市場状況であったとしても、複雑な投資商品は避けるべきであり、相場の変動幅が大きい時期には特に、臨機応変な対応(いつでも売れる)が出来る投資は大事です。
(街のコンサルタント)
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