3800余りの国内上場企業の中から選定した銘柄に投資されて成果を上げようとされておられる皆さんにとって、銘柄選択の良さが成果を高める重要なポイントになることは自明です。
株式投資の基本は成長株投資。長期的な業績向上を成果の根源とすることが基本と言えます。一方で安定した成長を得られない企業は業績(利益)の変動で時に投資家の信頼を得られずに評価を下げてしまうことになります。
IPO後に成長企業としての評価がなされてもその後の業績停滞変動によっては評価を落とすことになります。
成長の結果として内部蓄積された利益はバランスシート上に現預金や次の成長に向けた設備等の固定資産として計上されていきますがそれが利益に結びつかないのが日本の多くの企業と言えます。結果として企業のROE低下(8%以下)となり投資家の評価が大きく下がってしまいます。
欧米に比べ日本企業のROEの低さがかつてより問題になってきました。
直近のIPO企業は概ね高いROEを自慢しているようですが、その一方で資産内容は脆弱なので何か経済不安があるといくらROEが高くても株価は売られてしまうことになりがちです。このことがマザーズ銘柄やJASDAQ銘柄の欠点になっているのだろうと思われます。
日本の企業が抱えるこうした問題点が少ないダイナミックな成長が期待される米国企業に過去、資金が流入したことの正当性はうなずけます。
つまり、過去20年を振り返ると国内企業への投資よりも海外企業(投資信託含む)への投資が成果を高めたと考えられるのですが、海外に流れる資金が国内のバリュー株不人気につながっているとすれば由々しき問題だと言えます。
PBRが1を割り込む日本の多くのバリュー株の存在を投資家は認識している筈ですが、なかなか修正されずにいます。これはGDPの伸びが過去ほとんどない状態が続いているのと並行した状況のように感じられます。
市場の主力運用プレイヤーは外国人と機関投資家に限定され、彼らの対象となる企業の時価総額は300億円以上に限定されています。運よくIPOした企業の時価総額は大半が300億円以下でその運用の担い手は個人投資家ということになっていますがそうした上場企業の流動性は市場参加が少ないため低いままで推移しています。つまり一定の個人(多くは疲弊した状態)が売買するだけでほとんど誰も見向きもしないままで来ています。
つまり中小型株を運用の対象とするファンドマネジャーが不在のまま、PBRが異常なほど低位に放置され続けているということになります。
こうした市場に潜む問題点を財務省はじめ証券当局、東証などは放置した状態が続いてきました。上場企業とは言え時価総額の小さな企業は取るに足らない企業だと言わんばかりです。
コーポレートガバナンスコードの導入で上場後のIR活動充実はそれなりに表明はされていますが、市場と真摯に向き合う企業は少ないのではないか危惧されます。
それがバリュー銘柄の株価低迷につながっているようにも思えます。
低迷した状態に目をつけるのはまとまった資金を運用する外資系ファンドかも知れません。このままでは大なり小なり日本株の多くは外資に牛耳られてしまうことになるかも知れません。
長期的に安定保有を個人が続けるには企業との対話がますます重要になりそうです。
バリュー株の本格的な出番がいつになるのかは明確ではありませんが、投資家の関心が下値圏で放置されているバリュー株に向かいつつあるとの認識を持っておきたいと思います。
(炎)
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