皆様こんにちは、投資家Sと申します。
創業(1964年)半世紀を超える投資日報社が、毎週月曜・木曜に発行を行っております、”投資日報α”(月曜版)に”投資家Sの今週の注目銘柄”を連載しております。
ビットコインが再び上昇して来ました。
4月に付けた707万円の高値からわずか1か月で半値水準まで下落しましたが、6月22日に319万円の安値を付けてから反発に転じており、6月に付けた戻り高値を上回る500万を超える水準まで上昇しております。
筆者のポートフォリオは仮想通貨と株が90%以上を占めており、ビットコインの値動きも注視しております。
昨年4月以降に最も上昇したマクロ金融商品はビットコインを代表とする仮想通貨であり、時価総額2位を誇るイーサリアム(ETH)は1年で30倍以上に上昇しました。
株式投資家の中には得体のしれない仮想通貨を毛嫌いする方も多く、かつては私もその1人でした。
何故宗主替えしたのかと言うと・・仮想通貨は世界中で取引されているグローバルな商品だという事に気が付いたからです。
ビットコインは中央銀行が発行する法定通貨と異なり、特定の管理者が存在しません。この商品の価値を支えているのは、ビットコインの価値を高めたい、設計時の理念に共感するコミュニティの存在であり、参加者の熱意と努力が商品の価値を担保しております。
この活動は日本国内ではさほど行われておらず、中心はアメリカと中国になります。
世界に誇る超大国の優秀な頭脳が、この商品の価値を担保する為に切磋琢磨して様々な取り組みを行っている事実を考えれば、価値が下がり続ける可能性は低いとの結論に至り、仮想通貨への投資を行っております。
株式市場の銘柄に例えるのであれば、アップル・グーグル(アルファベット)・アリババ・テンセントの米中を代表する4大銘柄が全てまとまっているのが、ビットコインやイーサリアムではないかと考えております。実際に、イーサリアムのプロジェクトに関わっているエンジニアの数はアップルのエンジニアの数倍以上とも言われており、理想を実現する為に日々改善を行っております。
一方で、実体がほとんど無いプロジェクトが、トークン発行を行う事が出来るのも事実であり、玉石混合の状況である事は否めません。
株式市場でも市場を牽引する成長株はほんの一握りとなりますので、株でもトークンでも銘柄選択が重要となります。
先月開催したツイキャスでのLIVEイベントが次回行われた際には、仮想通貨および仮想通貨関連銘柄についてお話をしたいと考えております。
さて今回は、足元では厳しい値動きとなっている2021年のIPO銘柄をご紹介しております。マザーズ指数の6月末以降の下落基調によって、IPOプレミアムの剥落が目立っておりますが、こんな時だからこそ有望銘柄が安く買える機会が訪れております。
■セレンディップ・ホールディングス【7318】
製造業のM&A・事業承継・コンサルティングを手掛けるセレンディップ・ホールディングス(以下セレンHD)【7318】は、2021年6月に東証マザーズ市場に上場したばかりの新興企業である。
同社事業の特徴は
1)モノづくり事業に特化した事業承継プラットフォーム
2)売却主体では無く、自社のグループに買収企業を取り込む事によってフロー型の高収益モデルを構築。
1)の事業承継プラットフォームは、(a)経営の近代化、(b)少子高齢化に伴う経営資源の確保、(C)生産性の向上といった現在の中堅・中小のモノづくり企業の多くが抱える課題を解決する役割を担っている。
M&Aによって資本面での事業承継を実施し、PMI(M&A成立後の統合効果を最大化するための統合プロセス)を実行して、企業価値の回復と向上を図る経営コンサルとソリューションを提供している。
2についてだが、同社は所謂「買収ファンド」では無く、買収を行った会社をグループに取り組む事によって、グループ全体の企業価値を向上させている。本社は愛知県名古屋市で、傘下の自動車部品メーカーがグループ売上の大半を占めているが、今後はスマートファクトリー分野、国際競争力の高くサプライチェーンが強固な産業分野にも参入を計画している。
株価は、公開価格1,130円に対して初値1,656円を付けて46%上昇でスタートしたが、足元は株価指数の軟調な展開に歩調を合わせるように下落しており、7/20(火)には公開価格を下回る1,091円まで下落している。
それでもセレンHDを当欄で紹介する理由は、同社の事業内容およびビジネスモデルを調べた際、5年前東証マザーズ市場に上場した企業と非常に似ていると感じたため。それは現在、東証1部に昇格したヨシムラHD【2884】である。
この企業は、食品・製造業に特化したM&Aを行って企業グループを拡大。業績拡大を背景とした買いによって、2018年1月には初値から10倍近い株価まで上昇した。セレンHDは自動車産業を中心としたM&Aで規模を拡大させており、「特定産業に特化した買収」で事業規模を拡大させる手法ではヨシムラHDと瓜二つである。
株価の推移に関しても両社は相似形となっており、ヨシムラHDは初値形成から4か月間は下落トレンドとなっていたが、そこから反発して大幅上昇。
筆者はセレンHDが最長で本年10月まで下落する可能性があると見ているが、長期的視野に立ち、将来の成長性を考えれば、現在の下降局面は良い仕込み場と見る。
(投資日報α 2021年7月26日号掲載)
(投資家S)
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▼櫻田 学氏プロフィール
トレース合同会社 社長
株式会社投資日報社 専務取締役
大学卒業後、2004年から証券会社にてFXの仕事に従事。
以後、14年間に渡り、営業・企画・トレーディングの最前線で活躍。
リーマン・ショック・ユーロ危機・Brexit等々の並居る大相場の中、裏方として市場の最前線で指揮を取り、FXの表も裏も知り尽くす。
2018年秋、11年間勤めたマネックス証券を退社して、暗号資産(仮想通貨)の交換業者となる、株式会社ディーカレットの立ち上げメンバーに加わる。
2020年5月に、相場道を究める為に同社を退職。
個人投資家として株式投資を行いながら、投資に掛ける時間が限られる兼業投資家の方に有益な情報を届ける為、株式について日夜分析を行っている。
日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)
相場に対するモットーは、「利食いたくなったら乗せろ」
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