今週(2月15~19日)の東京株式市場は、日経平均株価が週間で497円85銭上昇し(率にして1.69%の上昇)、3万0017円92銭で取引を終えました。3週連続の上昇です。
このところの中期的な株高期待を支える諸要因は、
1)コロナ禍に対応した主要国中央銀行の「超金融緩和」が長期化する見通しであること
2)米国バイデン政権を中心に経済対策が早期に講じられ、世界が早期に回復するとの見通し
3)中期的な景気循環が上向きつつあり、製造業中心に企業業績が回復しつつある
4)5G(第5世代移動通信システム)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、脱炭素など長期的な技術革新が進みつつあり、コロナ禍の影響で普及が加速している
などであると考えます。
株式相場の先行きを見通すうえでは、上記の主要要件に変化が生じるかどうか慎重に見極めることが重要かと感じています。
現在、株式市場の参加者が最も気にしているのは、(1)の超金融緩和がいつ正常化に向かうかということでしょう。この点で、筆者が最も注視しているのは、米国の実質金利の動向です。
実質金利は「名目金利」マイナス「市場が予想する期待インフレ率」で導き出されます。有名なフィッシャー方程式ですね。米国の実質金利は米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和の強化とともにマイナス圏に沈みました。足元では米国の景気回復期待の高まりから、名目金利が上昇しつつありますが、市場が予想する期待インフレ率も強含んでおり、このため、実質金利はマイナス圏にあって、さらに低下気味で推移しています。
13年5月に当時のバーナンキFRB議長が量的緩和の縮小を示唆した「テーパー・タントラム」(日本では「バーナンキ・ショック」という呼称が一般的です)の際は、名目金利が上昇に向かうとともに市場が予想する期待イ
ンフレ率は低下傾向となり、結果として実質金利が上昇し、国際金融資本市場に混乱をもたらしました。
当時は民主党のオバマ政権でしたが、現在のバイデン政権にはイエレン財務長官(バーナンキ氏の後任のFRB議長)など、往時をよく知るスタッフが揃っています。「テーパー・タントラム」の再現は絶対に避けるべく、慎重な金融政策運営を続けるものとみられます。
共和党のトランプ政権で登用されたパウエル議長も来年2月に4年の任期を迎えるだけに、同じく慎重な言動を続けるでしょう。
筆者は引き続き中期的な株高予想を維持したいと思います。
(水島寒月)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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