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投資家Sの今週の注目銘柄 東京エネシス【1945】 レノバ【9519】

2021/02/12 14:56 投稿

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 皆様こんにちは、投資家Sと申します。
 2021年1月から億の近道火曜版に、「投資家Sの今週の注目銘柄」を掲載しております。本連載は、創業(1964年)半世紀を超える投資日報社が、毎週月曜日に発行を行っております、”週刊投資日報 金融版”に掲載しております。

 今回は、2021年2月上旬までに掲載を行った、2銘柄についてご紹介させて頂きます。


■東京エネシス【1945】


 発電所関連のメンテナンス・建設工事を手掛けている東京エネシス【1945】は、1947年に設立、1961年に上場を行い、今年で60年を数える。 同社の中心事業は火力・原子力・水力の従来型電力関連工事であったが、炭素を排出する火力発電から、”カーボンニュートラル”な発電方法となる、太陽光・風力・バイオマス発電へのシフトを求めており世界の潮流の中、同社もこの流れに合わせて事業内容がここ数年で変わって来ている。

 同社は過去に鹿児島県や山形県でメガソーラー発電所の施工を手掛け、更に小規模ながら自社ソーラー発電所を保有。また、鳥取県境港市では自社の100%子会社でバイオマス発電所を建設しており、2022年10月の営業開始を目指している。

 株式市場では、2020年秋からバイデン政権誕生を見越して、再生可能エネルギー関連銘柄が大商いを演じていた。本欄で9月末に取り上げたエフオン【9514】や、レノバ【9519】が大幅高を演じる事となった。
 東京エネシス株は、10月中旬に付けた728円の安値から、1月19日付けた高値1,084円までで5割程度の上昇に留まっており、上記と比べて上値余地はありそう。
 何故なら、10月安値から5割上昇した現在においても、PBR(株価純資産倍率)は0.5倍台に留まっており、前述のエフオンやレノバと比べて、純資産から見て割安感が強い状況にある。
 また、貸借対照表(バランスシート)の中身をよく確認してみると、同社の資産は、通常1年以内に換金が可能な流動資産が65%を占めており、また、固定資産として土地81億円、投資有価証券を79億円保有しており、減損の可能性が低い換金性のある資産を多く保有している事が確認出来る。

 いわゆる、”資産バリュー株”として魅力のある状況にあり、この事実に既に気づいている株主が存在していた。
 日本の中小型株市場における大株主として、一定の影響力を持っている光通信【9435】が、保有株数第二位で株主名簿に登場しており、同社の会長を務める重田康光氏の保有分と併せて、10%以上の株式を保有している。
 光通信は社内にアナリストを抱え、厳選した個別株投資を行っている事で知られており、東京エネシスの同業となる太平電業【1968】の筆頭株主。

 そんな「目利き」である光通信が、再生可能エネルギー関連事業を行っている2社の株式を大量に保有しているという点は興味深い。それはこのテーマ株が、マーケットでまだまだ注目される可能性が高いとーという事を意味すると、筆者は考えている。

 折しも米国では、クリーンエネルギーの推進を掲げる新政権の発足で、思惑から実態にシフトする時期に差し掛かっている。年初から続いてきたバリュー株の復権は、世界が求める新規事業に取り組む、オールド銘柄先導の展開になりそうだ。

(投資日報金融版 2021年1月25日号 掲載)



■レノバ【9519】


 再生可能エネルギー事業を手掛けているレノバ【9519】は、2000年に設立、2017年に東証マザーズ市場に上場。
 昨年秋からの新興市場で最注目の企業が同社であったと考えている。
 再生可能エネルギー事業は、バイデン新政権発足と共に今後4年、最もホットなテーマであり、これらを先取りする形で同社の株は大相場を演じていた。

 昨年9月に1,056円の安値をつけて以降、右肩上がりでの上昇となり、年明けの1月中旬には、4,835円の高値を記録。この間の上昇率は457%を記録しており、買いが買いを呼ぶ展開での大幅上昇となっていた。

 レノバの業績は確かに伸びており、昨年11月発表の第2四半期の決算では、連結の売上高が前年同期比21.6%増の107億円、連結のEBITDA(税前償却前利益)は、前年同期比20.4%増の59億円となっており、急激に拡大している。

 業績の拡大に繋がる発電所施設の稼働が、太陽光・バイオマス・洋上風力発電・陸上風力発電・地熱と、再生可能エネルギーの”フルラインナップ”と言えるくらい控えており、将来の業績向上に向けた取り組みは着々と進んでいる。

 一方で、発電事業にはいくつかの特徴が。
 一定額以上の設備投資が必要となる事、発電量が設備容量以上には大きくならない事であり、設備投資を行った施設に対する投資回収は、長期間続いて行く事となる。
 同社が直近高値で付けた時価総額“3,745億円”は、現在確定している発電所建設計画を、全て織り込んだといっても不思議では無い企業価値であり、売上高7,000億円規模の四国電力以上、売上高2兆円を誇る九州電力未満の時価総額となっていた。
 また、昨年11月に発表した決算説明資料からの計算では、現在計画中の施設が目標通りに全て稼働した場合でも、出資比率から考えられる同社の売上規模は、500億円程度に過ぎないのではないかと推測される。

 再生可能エネルギーは、2020年代の成長分野ではあるが、現在の株価水準は、同社の成長を3年程度は先取りしていると考えられる。今後は、業績の拡大ペースと企業価値が見合っているのかを確かめるフェーズに入ってくると考えている。

 レノバの野心的な拡大方針には目を引かれるモノがあり、2020年代の再生可能エネルギー事業を牽引する力を秘めているのではないかと思われる。
 一方で、投資家が一つの銘柄に過度な期待を抱きすぎると、大やけどを負ってしまう事も事実であり、自身のポートフォリオが”再生不可能”な状態とならないように、リスク管理は徹底するべきである。

 SDGs(持続可能な開発目標)ならぬ、持続可能な“投資”目標、即ちS“I”Gsの対象となり得るかは、投資家の心構えと買いのタイミングが重要である事は言うまでもない。

(投資日報金融版 2021年2月1日号 掲載)


(投資家S)


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  株式会社投資日報社 専務取締役
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  リーマン・ショック・ユーロ危機・Brexit等々の並居る大相場の中、裏方として市場の最前線で指揮を取り、FXの表も裏も知り尽くす。
  2018年秋、11年間勤めたマネックス証券を退社して、暗号資産(仮想通貨)の交換業者となる、株式会社ディーカレットの立ち上げメンバーに加わる。
  2020年5月に、相場道を究める為に同社を退職。
  個人投資家として株式投資を行いながら、投資に掛ける時間が限られる兼業投資家の方に有益な情報を届ける為、株式について日夜分析を行っている。
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