億の近道 チャンネル版

株式市場はどこに向かう?

2021/02/04 11:35 投稿

  • タグ:
  • 億の近道
  • 投資
  • 炎のファンドマネージャー
  • 相場
  • 金融政策



 日経平均は30年ぶりの高値更新となって以降はやや頭打ち。2万8000円台固めの展開ながら米国株の下落から警戒感が出てきたようです。

 とは言えまだ本日現在では、下落率はまだ小さく、この先の調整がどうなるかに関心が集まっている状況です。


 インデックスの上昇とともに日本の株式市場の時価総額は東証1,2部やJASDAQ、マザーズ市場を合わせておよそ700兆円を超えた水準となってきました。コロナ禍でビジネス環境が悪化する中での時価総額の拡大には違和感が持たれますが、指数の仕組みと浮動株の吸収による世界なのですから、致し方がありません。
 1989年末のバブル経済のピーク時を少し超えてきたと言えますが私見ながら1980年代後半のバブル経済とは異なるハリボテの時価総額だと考えないとならないと思います。
 現在の株式市場のPERは26倍から30倍の水準となっており、既に通常ベースではPER面では高値圏にあると言えます。
 PBRは1.3倍前後、配当利回りは1.6%前後となっており、これらも決して割安感があるとは言えない状況です。

 株価の上昇は金融緩和の賜物であり、需給面の背景が大きいですので、前提条件の変化、つまり金融市場の変化には絶えず留意する必要がありそうです。


 約700兆円の日本株の時価総額の7割もの時価総額となったGAFAM(グーグル、アップル、フェースブック、アマゾン、マイクロソフト)やテスラに代表されるIT企業群やEVベンチャーなどの天文学的な時価総額を実現した企業をリード役にした米国の株式市場はまさに歴史的な高株価時代の到来で沸いていますが、実際にはこれもコロナ禍による社会構造の変化によって拍車がかかった可能性があります。

 米国企業の成長モデルが世界を席巻したことは事実で否定する必要はないですがここまでの時価総額がどこまで正当化できるのかは前例がないだけに予断を許さない状況だろうと思われます。
 旧来の企業評価のモノサシは既に崩壊し、様々な評価手法で理屈付けられていることもありますが、それにしても過去から現在に至る株式市場を見てきた筆者にとってはこの高株価がいつまで続くのかと思ってしまいます。


 日本株は日銀のETF買いが根底にはありますが、このほか自己株買いなども加わり、浮動株の減少が株価の上昇につながっている面も背景にはありそうです。

 例えばユニクロを展開するファーストリテイリング(9983)は2000年代になって日経225に採用されて以来、株価が一貫して上昇トレンドを描いており、一度も株式分割を実施していないため、今や株価は9万円を超え、時価総額も9兆円にもなってきました。
 税前利益2500億円の企業にしてはやや割高な印象が持たれますが、日銀による日経平均型ETF買いでほとんどない浮動株が日々吸い上げられての株価形成です。現状のPERは55倍の水準で、結果として市場平均のPERを大きく上回っての評価となっております。いまだに山口市に本社を置くグローバル企業の躍進は目を見張るばかりです。
 通常ならPER55倍で過去の成長率が低くPBR10倍、配当利回り0.5%の銘柄などに投資する投資家はいない筈なのですが、ある意味市場の仕組みがなせる業なのではないでしょうか。

 それとも同社の未来の成長を先取りした評価なのかその疑問への答えは未来にならないとわかりません。225銘柄から外れない限りは収益の変動とはあまり関係がなく同社の株価は上昇していくとしか言いようがありません。
 結果としてオーナーである柳井氏の持ち株の評価は2兆円に近付いてきました。ご子息まで含めた評価はいずれは3兆円になるでしょう。

 似た話はソフトバンクグループにも言える話だがこちらは孫社長流のビジネスの中でのまだまだ評価不足とのご託宣が徐々にその通りに評価され始めてきたと言う点ではまだ株高が企業価値ベースで現在進行形で進んでいる状況です。
 でもこれも日経225採用銘柄という点によって形成されているとも言えます。
 何しろ浮動株は4%。自己株買いまで積極的に行ってきた結果なのです。
 投資会社となった同社の未来がどうなるのかは孫社長の頭の中にのみ描かれているだろうが、その頭の中を普通の投資家には分かる筈もなく、指数の変動で上げ下げする存在になってしまったのは残念なことです。


 こうした225採用銘柄をめぐる異常とも言える事象はほかにも数多くあります。

 また、225採用銘柄ではないが、浮動株が2.4%にまで低下したある銘柄の話もしたいところだが、これは私の有料メルマガで取り上げてみたい。

 株式市場は好需給の下、浮動株の減少が背景となってモノサシが壊れるくらいの展開となってきたが、絶えず今後はどうなっていくかを考えていく必要があります。

 昨年のようなコロナショックのような事象が再び起きるのではないかとの懸念もありますので、慎重なスタンスの投資家も多く、こうした上昇トレンドに乗れずにいる投資家の皆さんももしかしたらお見えになるのかも知れませんが、一方で過去1年間で株式相場で運用成果を高めた個人投資家も多い筈。
 後は欲との戦いとなりますが、かなりポジティブに株式市場を見て、積極的なスタンスで臨まれてきた投資家でないと成果にはつながらなかったでしょう。

 株の世界は上げも下げも大胆です。
 多少は大胆に潮流に乗ってリターンを高める活動が株式投資には求められますのですが、絶えず株式市場の動向には関心を持つ必要があります。


 ということで30年間の停滞を脱してこれからの日本の株式市場はどこに向かうのでしょうか?

 東証が打ち出した市場改革はこれまでの4つの市場区分を3つの市場(プライム、スタンダード、グロース)に集約し企業の活動を時価総額を意識したものにしようとしているという印象があります。新たな区分のどこに入れるのかボーダーラインに位置する企業にとっては多少でも努力する必要がありそうです。
 下手すれば上場維持ができなくなる可能性もありますので既上場企業の経営陣は心してかかる必要があります。
 その点、これからIPOしてくる企業はこうした市場改革を意識しており、時価総額をできるだけ高めて日本を代表するプライム市場を意識した企業経営を取るよう努力をしていこうとするでしょう。


 株高は決して悪いことではありませんが、この後の株価急落のような事象がないという前提です。企業の価値や収益を無視したような株価形成がいつまでも続くとは思えないのも事実です。時価総額は株価×発行済み株式数で出てくるデータなので発行済み株式数が増えるか株価の上昇で更に拡大するとの方向感が見えて参ります。


 好需給に支えられ、まだまだ株高は続く。こうした強気の声もしかり。
 時価総額は企業収益に見合ったものではないので今後は縮小していく。といった意見もあって当然。

 株価の動向や株式市場の未来をポジティブに見るかネガティブに見るべきかはともかく、日本経済を支える社会インフラの一つである私たちの共通財産でもある株式市場を投資家の皆さんと企業とが一体となって、いかに大事に育てていくかが問われているようにも思われます。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


honoh_01.jpg

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事

「億の近道」金融&経済情報チャンネル

「億の近道」金融&経済情報チャンネル

このチャンネルの詳細