昨年8000円近辺で低迷していた日経平均株価は、アベノミクスが起爆剤となり、急上昇を続けています。
 2003年~2005年にかけてのパターンや、1年間で日経平均株価が2倍以上になることは稀であることから、8000円の2倍である1万6000円あたりが一つの節目になると思います。

 しかし、欧州、北朝鮮問題、場合によっては中国や韓国の崩壊などの悪材料をこなしながらも、日経平均は2020年までは力強い上昇を続けるはずです(日経平均10万円に到達するような大相場も十分あり得ます)。

 しかし、そのような日本経済の発展やマーケットを支える材料は何か?という疑問があるかと思います。その問いに対しては、「銀座の投資家が日本は大丈夫だと断言する理由」(PHP研究所)などの著書で、このようにお話してきました。

「バイオ、ロボット、農業など、これから日本で成長を遂げるであろうテクノロジー・産業はいくらでもある。しかし、本当の意味で日本をこれから牽引していく産業は、我々の気づかないところで芽生えている」

 例えば、1990年代後半の米国経済や市場を強力に牽引したインターネットは元々軍事技術であり、一般の人々にはほとんど知られていませんでした。アル ゴアの「情報スーパーハイウェイ」構想などによって、はじめて脚光を浴び、現在では、それなしでは生活が成り立たないと言えるほど、急速に世界中に普及し たのです。

 未来予測をするときに、大概「A」になるのか「B」になるのか?という議論がなされます。しかし、実際のところは、大概の人が存在さえ知らない「C」という事柄が急速に発展して、誰もが予想しない「C」という結果になることがとても多いのです。

 ベトナム戦争以来20年におよぶ経済低迷を経験した米国民は、1990年代前半には、そのまま米国が衰退すると確信していました。製造業は日本に追い上げられガタガタでしたし、その他に明るい未来が展望できる産業などなかったのですから仕方がないかもしれません・・・

 しかし、当時の米国民のほとんどが知らなかったインターネットやITが米国経済の流れを劇的に変え、その後、素晴らしい経済発展と力強い相場展開を享受しました。

 現在の日本人も、まだまだ自信を取り戻せていませんが、繁栄の時代はもうすぐそこまで来ています。

 その「我々がまだ知らない素晴らしいテクノロジー」の一つに「3Dプリンター」があります。開発そのものは25年ほど前から行われてきましたが、最近個人でも手の届く価格になってきたことから、普及スピードが急加速しています。

 コンピューターは、真空管を使った部屋一つ分もあるような巨大な構造物である時期を経て、個人が利用できる「パーソナルコンピューター=パソコン」になったときに、爆発的に拡大しました。

 3Dプリンターも、いよいよパーソナルの時代に入りました。もちろん、パソコンの初期がそうであったように、最初は少数のマニアが主役ですが、ある時期から急速に大衆化します。

 インターネットが現在産業構造を変えつつあることは、既に認知されていますが、3Dプリンターが与えるインパクトはそれ以上かもしれません。

 理論的には、データをダウンロードするだけで、すべての製品が自宅で製造できるのですから、製造業やメーカーという概念が消えてしまうかもしれません・・・

 人件費の安売りで、同じものを大量生産している中国や韓国が日本を追い上げていることなどとるに足らない問題なのです!

★5月25日(土)に、『勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす』(PHP研究所)が発刊されます。
 本書では、株式や債券以外にも多くの金融商品をとりあげ、3~5年を一つのサイクルとした「5年投資法」を、それらの商品に対してどのように活用していくのか解説していきます。
 「世界一の投資家」ウォーレン・バフエットも、実は3~5年程度で投資対象を入れ替えているケースがかなりあるのです。

目次(予定)
第1章:混迷の時代になぜ「5年投資」なのか?
第2章:あわてる乞食はもらいが少ない(5年間で着実に成果を出す)
第3章:「5年投資」のために、これから5年間の世界経済の基本を押さえる
第4章:これから5年間の日本経済の基本を押さえる
第5章:5年間じっくり待って勝つ、金融商品の目利き方法
第6章:毎日コツコツでも、5年ごとの複利効果で驚くほどの資産に!
第7章:トレードオフ(何もしないこと)が大事
第8章:「5年投資」の達人ウォーレン・バフェット
第9章:「5年投資」に適した企業・適さない企業
第10章:「5年投資」を助ける名言集

(OH)

*ブログ「大原浩の金融・経済地動説」http://www.actiblog.com/ohara/

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)