先週末開催された山梨県甲府市に本社を置く宝飾品パーツメーカーのクロスフォー(7810)の株主総会には100名余りの株主が出席されていたが、筆者もその出席者の一人。
通常の議案とは別に事業説明会を例年通り開催し株主に今後の事業展開についてオーナー経営者の土橋社長が熱心に説明されていた。
同社株は2017年7月にJASDAQ市場に上場。公開価格は730円でその後の2分割を加味すれば365円となる。時価は298円で公開価格を下回った状態。それは上場後の業績低下に起因しているが、前期は特にコロナ禍で国内外の宝飾品市場が大きく落ち込んでしまい、厳しい業績環境の下で赤字に転落してしまった。
こうした事業環境下で同社は生産の低コスト化や抗ウイルス対応サービス展開、ダンシングストーンの派生商材としてのお守りの販売開始など対応を進めている。その中で今期の業績は小幅ながら黒字化を目指している。
ダンシングストーン付きお守りは既に導入する神社仏閣がいくつか決定し今期から来期にかけての販売を予定。
新型コロナの影響で協業先の中国での生産体制に影響が出ているブリリアントブレスの投入には遅れが生じているが、企画は継続中。中国での模倣品対応ではプレス加工(順送型)への移行で工程を自動化させ生産コストを60%もダウンさせ中国の模倣品に対抗する。
海外有名ブランドのオリジナルダンシングストーンをプレスでつくり、ブランドの定番商品化させることで世界戦略を推進。ジュエリー業界の黒子に徹して高品質なジュエリーパーツメーカーとして存在感を増す。
同社の役員にはYKK出身者がお見えだが、つまりファスナーと同様に宝飾品に不可欠なパーツの製造販売で世界的な企業になることを目標にした展開である。
こうした同社の野望を支える若手スタッフ100名余りに対して株主数は2万3500名余りとJASDAQ銘柄にしては圧倒的な株主数を誇っている。
これには7月の優待制度(100株以上の株主に4500円相当の商品贈呈、500株以上の株主に10000円相当の商品贈呈)が関わっているが、今後も価値のある宝飾品を開発し株主との連携を図っていくことで発展していく姿が読み取れる。
何しろ多くの既存株主が平均して100株から200株を保有している計算で、家族一人づつ同社株を持っているという方もお見えかも知れません。優待制度導入で得られた多くの株主とのご縁を大切にしていけば、いずれの日にか業績向上とともに株価上昇のベクトルが見えてくるだろう。
既存の株主2万3000人が各100株買い増ししただけで230万株にもなる。これは発行済み株式数1752万株の13%にもあたる。また、新たな開発によって発売する有望製品(単価3万円程度)を株主に購入してもらえれば、売上は6億円以上が上乗せされる。これだけでも業績の上方修正要因となるが、これはやや非現実的なのかも知れません。
とは言え、話題性のあるアイデアあふれる宝飾品を市場に投入できれば株主にももっと関心を持ってもらえるだろう。
株価は3月安値224円からまだ33%上昇した水準だが、6月高値368円からは19%下落した水準。上げ幅の半値押し水準296円を前期業績の下方修正発表時につけたが、時価はそれを下回る可能性のある298円という水準であるが、ここで踏み止まれば2番底形成のパターンとなる可能性も出てきた。株主総会での役員の発言にはコロナ禍で業績は前期をボトムに徐々に回復してきているという発言もあり、今後に期待したいところでもある。
まだ、予断を許さない状況ではあるが、復活に向けた展開に大いに期待したい。
(炎)
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