電力関連は主力の“がいし”とNAS電池に分けられる。

 NAS電池は世界で唯一、発電所・プラント等で利用される蓄電施設で、2014.3期に売上高51億円、2015.3期158億円、今期は250億円(レポート作成当時)の計画で久々に約10億円の営業黒字に転換する計画。海外及び西日本地区の大口案件によるもの。1~3Qまでは赤字だが、4Qの大口案件で巻き返す計画。
 しかし今期で大口案件は一巡してしまい受注残が僅かの状況から、2017.3期は小口案件ばかりだと売上高は50億円程度まで急滅してしまうだろう。

 NAS事業に関わるスタッフは200~300名からなり、事業経費としては人件費が一番重く、好調なセラミックス関連への一時的な人員配置転換が、見た目の事業利益を左右させよう。

 一方、ノリタケから分離し設立された際の祖業である“がいし”事業は安定的となってきた。
 日本の鉄塔・電柱及びがいしは約40年経過し交換時期が訪れようとしている。日本ガイシの説明では2014~2025年にかけて緩やかに取り換え需要が発生し、2025年以降は急速に需要が拡大することで、工事能力の不足に陥る可能性から前倒し交換を提案していた。

 海外がいし事業は比較的安定している。2014.3期は233億円、2015.3期248億円。内訳は米国100億円、アジア70億円、中近東60億円、中国20億円。
 中国市場も戻りつつあるが、心配なのは中近東やインドネシアで原油動向に左右されそうな地域。それ以外は今後も安定的であろう。


 セラミクス事業中心に10回シリーズの連載とさせて頂きましたが、今テーマではこれをもって終了とさせて頂きます。
 次号は燃焼をテーマとして連載する予定ですが、未調査の分野が多く残っており、少し間をあけてからとなります。


(イノベーションリサーチ 山田順一)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)