日本発で世界に打って出ることのできる可能性のある新たなビジネスを展開する企業にサイバーステップ(3810)がある。
先週開催された決算説明会で同社の創業者である佐藤社長が語ったことは表面的には今期、減収減益見通しでネガティブな印象があるのに対して、ビジネスの方向性としては比較的ポジティブな内容だった。
オンラインクレーンゲーム「トレバ」の成長でライバル他社も追いかけてくる中で業績の拡大をどのように図っていくかがポイントとなる。
そこは業界のパイオニア的存在である経営者の手腕が問われているが、過去の経緯を踏まえると、ここをベースに成長を求めることができれば、投資チャンスがあると考えられる。
佐藤社長は高専出身で基本はモノづくり。学生時代のロボットコンテストにも挑戦したことがあるというからユニークな経験がある。
現在はオンラインクレーンゲームのヒットで一花咲いた感がある。月商10億円、年商100億円を突破し、その成功劇を見てライバルゲーム会社も参入してきた流れを読みながら次の一手を考えている。
国内のオンラインクレーンゲームはまだ伸びる要素がある。
新CMを8月1日から投入する予定で、プロモーションで認知度を高めることでナムコなどの競合他社に対抗する。
そのために自社運用筐体数(前期稼働は1600台・保有は2000台)を増やしていく戦略は今期も維持する。
筐体1台当たりの売上増と効率化で収益性を高める流れと米国をはじめとした海外市場やオンパチなど新たなサービス展開、景品のデジタル化に取り組む。コロナで自粛ムードが高まった際は売上が15%から20%伸びたとの話であるが、リアルなビジネスとは違い、人同士が直接接しないオンライン化ビジネスでリスクは限定されている。問題は景品の配送遅延とコスト増がネックとなっている点だ。
米国での事業展開は40台規模からスタートするが日本と同クラスの事業にまで発展すると見込む。つまり国内と合わせて年商200億円を狙えるとの目論見だ。また、好財務内容を踏まえて小規模ながらM&Aにも再挑戦する予定。
システムやゲーム開発要員(現状はアルバイトを含めて500名体制)の増強にも邁進し、一回り大きなスケールの企業になろうとしているが株式市場ではネガティブな評価を続けている。
今期の減収減益見通しに愛想をつかしたと見られる投資家の売りが続いているが、中長期スタンスでの見直しのタイミングが接近していると思われる。
国内に留まらず世界を視野に入れた佐藤社長の野望がまたいずれは株価に反映されるものと期待される。
(炎)
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