億近読者の皆様こんにちは。

 お金の教育に特化したFP、遠藤功二です。


 私は、小学生になったら家庭でお金の教育を行うことを推奨しています。
 今回は、お金の教育は世にある罠から身を守るというお話をさせて頂きます。


 皆様、子供がゲームばかりしていると不安になることはありませんか。

 うちは、単純に目が悪くなるからゲームの時間を決めています。

 しかし、ゲームに対する考え方は、親によってかなり違いがあると感じています。

 ゲームに寛容な親御様は、
 「子供のうちは好きなことを思い切りさせてあげたい。」
 「ゲームも頭脳が鍛えられる。」
 「ゲームをしてないと友達と話が合わない。」
 「親自身もゲームが好きだ。」

という方が多いのではないでしょうか。

 一方、ゲーム依存症や1日中引きこもってゲームをしている情緒不安定な子のエピソードなどを聞くと親としては、不安になるのも自然です。

 子供の意思を尊重したいという想いはあっても、どうしても親というものは、子供が家で引きこもってゲームをしているより、外で元気よく遊んでいる姿を望んでしまうものです。


 実は、お金の勉強は、子供をそういった依存から守る効果もあります。


●自制の精神が鍛えられる


 お金の教育の基本は「貯金」です。

 好きなものを買うためには、我慢して貯金をしなければいけません。

 今日の駄菓子より、1ヶ月後、3ヶ月後を見据えて自制をする必要があります。
 そうでなければ、夏休みに映画を見にいくこともできません。

 このように、「今」より「未来」を優先する考え方は、投資の基本です。

 短期トレードで1000円稼ぐより、10年で10倍を目指したいものです。

 老後資産のための積立も考え方は同じです。
 今、1ヶ月1万円を飲み代に使うのであれば、その1万円をイデコに入れるだけで少しは老後の安心につながります。


 お金の教育は、「今」より「未来」を優先させます。


 今は子供たちは、ゲームに夢中かもしれません。

 しかし、お金の教育を行うことで、

「人生は貯金と同じだよ。我慢を続けると大きなことができるんだよ。」

と教えていくことができます。

 そのような未来優先の考え方をコツコツ伝えていけば、人生のどこかのステージで、楽と苦労、得と損を選ぶ瞬間に、「未来に繋がる方を選ぶ。」という選択ができるようになるのではないでしょうか。


●提供側の立場がわかる


 お金の教育を続けていくことで、最大のメリットがビジネス目線を教えられることです。

 ビジネス目線は、ゲーム依存などの世に潜むワナから身を守ります。

 依存症から身を守るためには、自分が依存をさせる側、つまり物やサービスを提供する側に回ることが大切です。

 ゲームであれば、自分がゲームを作る側です。
 ユーザーが夢中になるゲームを作るということです。

 言葉が悪いですが、自分が罠を仕掛ける側に回れば、自ずとどこに罠があるかわかってくるものです。

 私はずっと金融の営業をやってきたので、「いい加減な営業トーク」は聞けばわかります。

 例えば、「日経リンク債」を販売するときは、

「日経平均が4割も落ちたら日本は終わりですよ。ありえません。」

といったことを言う営業マンがいますが、私自身、証券会社の若手の時にこのようなことを言って販売していましたので、いかにこのトークが勉強不足のものかわかっています。

 しかし、経験や知識がないお客様は、「そうだよね、ありえないよね。」と言って買ってしまうのです。

 このような提供側の目線は、業種が変わっても役立ちます。
 やましい商品ほど、やましくない理由を並べ立てます。

 お金の教育を行うとお金をもらう側の立場を学べます。
 ゲームに夢中になりお金を払う側ではなく人を夢中にさせる、お金をもらう側に視点を置くことができます。


 お金の教育を行っていると、子供と買い物に行った時に多くのことを教えられます。

 先日も子供と一緒にコーヒー豆を買いに行った際、
「なんでコーヒーのお店に他のものがいっぱい売っているの?」
と聞かれました。

 私は、
「コーヒーを買いにきた人が甘いものを欲しくなって買ったり、ついでにお酒を買っておつまみも買ってしまうように作戦を立てているんだよ。」
と伝えました。

 もちろん、お店側はお客さんに喜んでもらうため、という大前提がありますが、ビジネスですから、客単価をあげるために様々なものを揃えるのは鉄則です。

 わかっていても引っかかることはあります。

 私自身、スーパーの店頭にアンチョビが売っていて、ついアンチョビパスタを作りたいと思い買ってしまいました。


●ゲームばかりしていてはいけない理由


 ゲームばかりしていた子が、急にやりたいことを見つけて東大に入った、というエピソードはあります。

 しかし私は多少の息抜きのためなら問題ないとは思いますが、一日中ゲームをすることは反対です。

 その先には、継続課金やパチンコ依存症のようなお金をドブに捨てる罠が待っているからです。

 東大に入っても依存症が抜けないと、まずいことになるかもしれません。

 私は子供に、皆が夢中になるゲームを作る側になろうよ、と言い続けます。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)