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資本主義はお金が手品のように増えていく

2020/05/12 00:00 投稿

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 日本の金融教育のガイドライン、金融リテラシーマップでは、小学生の時に暮らしを通じてお金の様々な働き方を理解することを求めています。

(出典)知るぽると 金融リテラシーマップ
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy/


 ただ、「お金の働き方」についてどのように教えたら良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。

 ご存知の通り、資本主義経済の中では、お金の役割は人の体で言うところの「血液」です。

 今回は、自宅でできる「お金の働き方=資本主義の中でのお金の血液としての役割」の教え方についてお伝えしていきます。


■資本主義はお金が手品のように増えていく


 「株式会社の仕組み」を伝えることは「資本主義経済の仕組み」を伝えることを意味します。

 新型コロナの影響でご自宅にお子様といる機会が多い方は、「会社ごっこ」をすることで、お金がどんどん増えていく資本主義の仕組みをお子様に教えてみてください。

 教えている大人の方も、資本主義が手品のようにお金を増やしていく様子に驚きます。


●会社ごっこ1:おもちゃを用意する

 まず会社の仕組みを教える際、子供が使っているおもちゃを手元に用意してください。

 例えば、ゲームが好きな子であればゲームソフトのパッケージとか、ミニカー、あるいはママゴトセットの食べ物のおもちゃなどがあると良いです。

 ここでぬいぐるみや人形は、これから行う「生産」のお話で夢を壊すような気がするので躊躇います。


●会社ごっこ2:実際の小銭を用意する

 2つ目に準備するツールは実際のお金です。
 ここで注意しなければならないのが、本当のお金を用意するということです。
 数字を言うだけでは、本当の理解に繋がりません。
 紙に書くだけでも、子供はピンときません。

 子供は触ったり見たりするのが好きなので、実際の現金を触らせてあげてください。
 あとで手を洗えば大丈夫です。


 ここで余談です。

 キャッシュレス決済や通信販売が当たり前になっている昨今では現金を見る機会は減っています。
 交通費ですら最近はPASMOやSuicaです。

 ご自宅で意識的にお金を見せてあげないと子供は本当にお金の形をあまり触らないまま成長していってしまうのではないでしょうか。


●会社ごっこ3:生産のためにお金を集める

 話を、会社ごっこの手順に戻します。

 おもちゃとお金が準備できたら、まず
「これから〇〇ちゃんがこのおもちゃをいっぱい作って売ったら、お金がいっぱいもらえるよね?」
という話を始めます。

 次に、車が好きな子であれば
「この車をいっぱい作るには鉄とかタイヤのゴムとか買ってくるのに、お金がいるよね?」
といった話や、
「このケーキを作るためには、クリームや卵がいるよね?」
という話をします。


 そして、
「お金が必要だから、パパやママ、おばあちゃんおじいちゃんが、〇〇ちゃんに100円を預けたとする。」
(本当に100円で車は作れないので、そこは説明をしてあげてください)

「〇〇ちゃんは、100円で車を作り、200円で車を誰かに売ったとする。」

「そうすると、〇〇ちゃんの手元には200円あるよね。」

「そしてこの増えた200円から10円ずつのお小遣いを、お金を出してくれたパパ、ママ、おばあちゃん、おじいちゃんに渡してあげようよ。」

「残りの160円でまた車を作って、今度は300円で売ったとするよね。」

という形で売買の数字と配当の数字を増やしていってください。
 ミニカーのおもちゃなど、数を増やしていけるおもちゃがあると、大量生産のお話に発展させることができます。

 〇〇ちゃんが取り扱うお金は500円、1,000円と増えていきます。

 出資者への配当は、当初の出資金額を超えていきます。

 お金がどんどん増えてみんなハッピーになります。

 〇〇ちゃんは手元資金が全くなかったのに、お金をどんどん増やせていることになります。
 実際に現金を触りながらこのお話をすると、大人側も手品をしている気分になります。

「あれ?お金増えてる。」
という気づきを得られます。

 人の体も最初は小さな細胞が、分裂を繰り返すことで大人の体になっていきます。細胞分裂には「血液」が必要です。お金は本当に経済もしくは会社の血液だと言えます。


 最後に、個人的なこだわりですが、こういった資本主義経済のお話をする時に重要なのはサービスや商品の「付加価値」だと思っています。

 例えば、「このおもちゃを80円で買ってきて100円で売るとするよね?」というお話だけでは、なぜ20円の価値が乗っているのかが説明できません。メルカリでもそこまでうまくはいきません。

 「80円でボロボロのおもちゃを買って、綺麗に直して100円で売る」とか、
「材料を80円で買って、組み立てて100円で売る」
といった付加価値が乗る工程を話すことが重要です。


 このようなお話をお子様にすることで、私たち大人自身も改めて投資とは何か、又は経営者や労働者としてステークホルダーから期待されていることは何か、ということに、立ち返ることができます。

 株式市場に上場している銘柄は、会社ごっこを現実の世界で大成功させているわけですから改めて尊敬します。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。
web:https://fpkun.com
メルマガ:https://mailseminar.fpkun.com/
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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