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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界

2020/03/23 13:52 投稿

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 皆さんこんにちは。イノベーションリサーチの山田順一と申します。
 今回から億の近道に投稿させて頂くことになりました。


 まずは自己紹介から。

 現在のみずほ証券(旧和光証券)で支店営業、引受企画部、国際金融部、国際営業部、営業企画部営業戦略室とプライマリーを2年経験しましたが、ほとんどはセカンダリーに従事し11年ほどのブローカー勤務です。
 その後、現在のリンクスリサーチの山本さんのお世話になりバイサイドに転向し17年間運用業務に従事しました。ロングオンリーを3年、残り14年はロングショート運用担当です。

 趣味は自動車で現在はスバリスト。自動車のほか、航空、原子力関係に従事する技術者の友人が多く、自動運転屋、電動航空機屋もいまして、話題を提供出来ればと考えています。


 今回から隔週ではありますがセラミックスについて数回に分けて掲載させて頂くことになりました。
 数年前に所属していた運用会社在職中に書いた森村グループ中心のレポートです。解かり易い一関高専のウエブや日本ガイシの技術資料からの抜粋したものをベースに、取材等で得たことを一部御紹介出来ればと思います。

 投資調査では単独で、その後複数回の工場見学や、山本さんと二人でフェロー研究者であり現在の武内副社長との面談など、当時の日本ガイシ磯部副社長、和田部長、杉山課長には大変お世話になりました。

 また自動車部品ナンバーワンアナリストの松本さんからのお誘いにより二人で競合デンソーの排ガスフィルター生産ライン見学や研究者とのミーティングも非常に有意義で、2社の違いもある程度理解出来ました。

 5~6年前には日本特殊陶業の本社工場を単独で見学させて頂き、4年前には野村證券さん主催による東農の新工場見学も大変参考になりました。

 狭角志向からプラグはより細くなっているのにコルゲートなし!それで4万ボルト以上OK?マジですかみたいな(笑)。またプラグ内にクッションまで備えているとは皆驚きでしたね。
 説明は当時専務執行役員であった現社長の川合さんです。技術面で何でも答えられる凄い方。だけど溶接の質問はNGだったのかな?
 その後、私、工場長含め3人で休憩中に川合さんが「溶接は…」その後有報には記載されてますが何かポイントでもあったのでしょう。
 プラグ用セラミックス(絶縁体)の焼成はお見事の一言に尽きます。白い人形(絶縁体)が3軸全てで縮小し小さくなって行く。見ていると少し不気味でしたが、歩留まりはほぼ100%、凄い!マブチモーター大連工場の磁石焼きを思い浮かべました。

 あまり詳しいことは書きませんが、日本のセラミックス技術の凄さを理解してくださればと幸いです。


【セラミックス:日本が誇る職人芸の世界】


 セラミックスとは陶磁器、最近では耐火物、ガラス、セメントを含む非金属・無機材料を高温で焼き固めたものを言う。
 1970年代以降、エレクトロニクス産業向け磁器では高い精度と性能が要求され、粘土など自然から得て製造される製品と区別しファインセラミックスと呼ばれるようになった。精製または合成された原料粉末をベースに精密調整された化学組成、制御された成形・焼結法によるセラミックス製品である。


 ファインセラミックスの主な種類と用途は以下の通り。


[種類・主要成分・用途]

・チタン酸バリウム Ba03Ti
 高い誘電率に特徴
 主にコンデンサ材料

・チタン酸ジルコン酸鉛 Pb(Zr, Ti)03
 電気を与えると振動する
 圧電材料向け

・フェライト AFe204(AはMn, Co.Ni,Cu,Zn等
 透磁率高く、電気抵抗・耐摩耗性大きく磁性体として利用

・アルミナ AI203
 機械的強度・絶縁性・高周波損失・熱伝導率・耐熱性・耐摩耗性・耐食性良好でファインセラミックスの代表的存在

・フォルステライト Mg2Si04
 マイクロ波損失小さく、高温絶縁性に優れる 電子回路基板に利用される

・ジルコニア Zr02
 ファインセラミックスの中で最も高い強度と靱性を持つ
 ハサミや包丁、単結晶ではダイヤモンドの様な輝きから宝飾品にも

・ジルコン ZrSiO4
 熱膨張小さく耐熱衝撃性に優れる
 耐熱部品・電子管に利用

・ムライト AI6013Si2
 ジルコンの特徴かつクリープ特性良好

・ステアタイト MgO・SiO2
 電気的・機械的特性が普通磁器より優れる

・コージェライト MgO A1203.SiO2
 低熱膨張から耐熱衝撃性に優れる
 多孔質材料としてハニカム担体として利用

・窒化アルミニウム AIN
 熱伝導率高く放熱性が求められる半導体パッケージに利用

・窒化珪素 Si3N4
 高温時の強靭性・耐熱衝撃性に優れる
 エンジン部材として最適の材料

・炭化珪素 Sic
 天然に存在しない人工化合物
 1500度まで強度持続する耐熱材料


 陶器は縄文時代から続き、弥生時代に入って野焼きとして薪を燃やして600~800度の熱で器を焼いていた。
 1500年前に大陸からロクロで回しながら器の形を整え1000度以上の温度で長時間焼く穴窯(あながま)が伝わる。
 400年前の安土桃山時代には大陸から磁器が伝わり、粘土に長石を混ぜて焼いた緻密な焼き物が始まった。

 一般に焼き物は電気を通さず、同じ性質を持つ紙や木材と比較し、温度や湿度など外部環境の変化があっても性質が変わりにくいといった高い安定性・信頼性が特徴である。

 20世紀に入り高い周波数で使用しても高い出力が得られるセラミックスの特性は他の材料で代替出来ず、応用拡大が続いている。


[セラミックスの進歩]

 陶器など従来の酸化物中心のセラミックスと比較し、ファインセラミックスは窒化珪素、炭化珪素など合成原料である非酸化物の登場で材料が増加するとともに、製造技術の発展により完成品の機能が飛躍的に向上してきた。
 特にセラミックスの粒子径は従来型セラミックスの数十ミクロンに対して、ファインでは数ミクロンまで小さくなり寸法精度が向上し同じ材料でも形体や寸法が異なれば機能や用途が変わる。

 微粒子化以外では焼結添加剤を配合せず、または配合しても焼結体本来の機能を損なわれないような適切な助剤の少量使用、緻密化・寸法精度、形状の制御を可能する成形法、焼結法、仕上げ加工法の開発、高温処理でのエネルギーコスト削減を実現するための低温熱処理法やより緻密な製品高性能化を目指すべく真空やホットプレスなど、焼結雰囲気の多様化が進んでいる。


(次回は製造工程)

(山田順一)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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