今回はそのヒアリングの第2弾。主に金融機関側から見たISA制度の利用についてまとめていきます。
1.証券会社からみたISA(アイサ)
ISAは1年間で利用できる投資金額が決まっていますが(英国では135万円程度、日本では100万円)、この非課税枠は翌年に繰り越して利用すること はできないがゆえに、期限を迎える前(英国は4月初旬、日本は3月15日)に金融機関は大規模な利用キャンペーンを張ることができます。
これは、金融機関側からすれば正直なところ、ISAだけではキャンペーンの費用を回収することはできませんが、ISA口座を利用してくれるユーザーはそ の他運用資産についても良質なユーザーになってくれる可能性が高く(実際に英国ではISA口座の利用者は、他の口座開設者よりも移動がすくない)、ISA 以外の資産を預かりたい金融機関にとっては一つのきっかけ作りのキャンペーンとして利用しています。
利用者側からしてもISA制度は利用しなければ全く効果が無いので、少しでも運用に興味があって余剰資金があるのであれば、利用するということが徹底されているようです。
もちろん前回も書いたように、英国人であれば皆が資産運用や投資をしているというのも大きな誤解で、やはり株式投資に取り組む層は、預金しかしていない層と同程度で、株式投資には心理的なハードルがあるというのは日本だけではなく世界各国で共通の話ではあります。
2.マスコミからみたISA
マスコミの本質というものも日本と別に大きく異なることはありません。相場が良いときには煽りたてるような見出しや記事が大きくなるものですし、相場が悪い時には奈落の底にたたき落とされるような恐怖心を煽るような見出しや記事が多くなるのもおんなじです。
ただし、一方で一貫した主張として
「政府の税制優遇制度(年金プランやISAなど)は上手く利用しよう」
「株式投資であれば長期分散運用という考え方が重要だ」
というあまりにも当たり前な主張はブレないようです。
日本の場合には、日経新聞を除くと金融や税制に関わる記事、資産運用に関する記事は決して多くは無いように感じていますので、朝日新聞や読売新聞など多数の読者を抱える新聞には今後のキャンペーンを含めて期待したいところです。
3.アドバイザーから見たISA
資産運用をサポートするアドバイザー(英国の場合にはIFAという)からみるとやはり、ISAは必ず利用する制度ではあるが、投資家にとってのポートフォリオの一部としてという位置づけです。
なぜならば、やはり投資に関してアドバイザーを利用する層は金融資産3,000万円程度以上を持つ若干の富裕層以上であり、そうした層にとっては年間 130万円の非課税枠というものは、もちろん利用するのですが、それだけでは投資ポートフォリオで利用するのには不十分ということになるからです。
したがって、毎年のキャッシュフローがプラスの部分から、ISAはある程度合理的に利用するものの、メインのポートフォリオは、それとは別に組み立てているというのが現状のようでした。
英国の場合でもこうした独立系のアドバイザーが普通に機能しているのを見て、日本の金融リテールでこうしたアドバイザーが発展していない現状を大変さびしく思います。
次回は日本のISA制度についても少し検証してみて、日本の個人投資家がどのように利用して行くのが良いのかについて述べていきます。
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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