台風19号の犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被害に遭われた多くの皆さまには心よりお見舞い申し上げます。早く日常が戻りますように。
今回の台風では、今まで経験したことがない恐怖を個人的にも身近に感じました。
台風19号が過ぎ去った連休明けの市場では(台風被害に比べたら小さな事象ですが)、米中の貿易協議の一部合意が、欧州ではBrexit交渉で進展ありとの情報が伝わりました。両方とも正式なものではないにもかかわらず、前向きの解釈、先取りのリスクオンが復活。さらに、中国製品への関税率引き上げ見送りが好感され、日経平均株価は、月初から連休の週末をはさみ、大きな窓を開けて一気に22000円台半ばへ。ショートカバーのパワー?
一方、為替市場では、リスクオン時の反応である円安ドル安の動きになりました。
が、何と言ってもトピックは、英ポンドの急上昇!
ポンドは、先週末比約1%高、月初来では約4%の上昇に。
売り込まれていただけに買い戻しと合意期待での買いが合わさりました。
投機筋のショートポジションは、まだ解消しきれていないと思われます。
月初の1ポンド1.23ドル台から直近1.27台半ばまで反発しました。
2016年6月23日の国民投票時には1.50水準だった英ポンドは、一時1.1840まで売り込まれました。また、先月には、ジョンソン首相と議会との対立で1.2030台安値まで売られる場面もありつつ、週末からの合意か?の報で一気に買い戻し。
もし、合意実現で反発が続けば、1.3055(38.2%戻し)、1.3429(半値戻し)がターゲットかと思います。
Brexit交渉は、2週間後の交渉期日を前に内にも外にも解決が難航し更に来年の1月末まで延期か?との見方がありました。
条件交渉では厳しいコメントが目立ったバルニエEU主席交渉官も15日に「交渉は難航しているが、週内の合意はまだ可能」とし、課題である北アイルランドの民主党統一党主とジョンソン英首相との会談も(詳細は不明ながら)、具体的問題解決へ話し合いがもたれているとの報で一気に楽観が進みました。
英とEUの交渉条件は、17~18日のEUサミットでの承認を得る必要があり、その後も英議会での承認採決。もし英議会でNoなら、1月末までの延期を申請、20日にEUで協議など正式に決まるまで必要なスケジュールが控えています。
合意へのネックである北アイルランドのボーダー問題は、デリケートで複雑な背景も含んでいます。その辺りに関して、分かりやすい記事がNHKニュースwebにあり、ご参考に。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191010/k10012120681000.html
さて、米国の金融政策を決めるFOMCが10月29日~30日、日銀の政策決定会合が30日~31日に行われる予定です。
FOMCの金利下げ確率の予想は、直近77%。月初は60.5%でしたから、徐々に上がってきています。
そんな中、FRBは、先週、TB(短期証券)買いを決めました。当局者は量的緩和ではなく、先月、市場でのごく短い期間のドル不足が原因で、金利が上昇して市場が不安定になったことへの対策の一つとしていますが、通貨量は増え、FRBのバランスシートは拡大されることには変わりありません。
その影響で、ドルの短期金利は低下。長短金利の逆転は、景気減速を見るうえでの目安の一つとされ、注目してきた2年債と10年債のスプレッドは、順イールドが広がり、1か月前の9月15日には7ポイントスプレッド(1.75VS1.82%)に対して、昨日の終値では16ポイントに。
今回の米金利の低下は、ドル円に関してはドル安として影響しておらず、むしろリスクオンの反応としての円安が見られます。
月末には、日銀の政策決定会合が予定されています。
最近の黒田日銀総裁の「更なる緩和に前向き」報道が(現実的には??マークですが)少し影響しているのかもしれません。
米中貿易協定の部分的合意、BREXIT合意か?、また米国のバランスシート拡大などリスクオンの材料として市場は素直に反応しています。
一方、先進国の超金融緩和が進む中で、債券残高はリーマンショック時の2倍超に達していることは新聞等でも報じられています。万が一、不確実性リスクからの事象が起こった場合、取り得る政策はあるのだろうかとの思いが浮かんでしまうのは心配しすぎでしょうか。
昨日今日とリスクオン相場ではありますが、今朝入ってきた「米国の香港人権法」に関する中国外務省の反応、BREXIT交渉の未だ決着するか分からない進展など注意しておきたいところです。
余談ですが、
ラグビーワールドカップのベスト8が決定。日本チームの快進撃には感動的でした。
イギリス人の友人も、日本チーム「Brilliant!」を連発でした。
8強を見れば、アイルランド、イングランド、ウエールズ。
伝統チーム、さすがです。
特にアイルランド・チームは、アイルランドと北アイルランドの混合チームが、紛争を通しても一緒のチームで戦ってきたとか。BREXITによる国境問題で紛争ふたたび、がないことを願います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※10月16日東京時間午前11時執筆
本号の情報は10月16日東京市場始値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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