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 欧州、米国の金融緩和が行われた9月が過ぎ、10月入りした今週。

 米中閣僚級協議の開催を控えていることから、両国から諸々の駆け引きとしての情報が発せられ、引き続き、市場もそちらに一喜一憂の反応で動かされる可能性は高そうです。
 他にも政治がらみでは、米国の大統領弾劾問題関連、10月31日に期日を迎える英国のEU離脱関連、中東問題も目が離せない材料です。

 一方で、経済の最新情報である月初恒例の米国雇用統計の発表が今週金曜日予定され、事前では、米中貿易問題への懸念からか大方低調な予想です。米国経済にも米中貿易問題が影を落としているはずです。
 雇用統計に先立って、昨日発表されたISM製造業景気指数は、景気の良し悪しの境界50を連続して割込み、47.8と10年ぶりの低水準でした。
 株式反落、債券利回り低下、為替はドル安方向での反応となりました。


 最近出た欧州の経済指標も芳しいものではなく、特にドイツのインフレ率は0.9%(前年比)とインフレ目標2%にほど遠い状況です。ドイツの大手銀行の大幅な人員削減も気になるところです。そろそろ金融政策偏重から財政政策が望まれるところでしょうか。
 欧州中銀総裁の交代で、今後の金融政策の行方も注視したところです。


 さて、外国為替相場ですが、9月の主要通貨対米ドルのパフォーマンスで、最も上昇したのがメキシコペソ(2.3%)、逆に下落したのが日本円の1.69%でした。

 そのドル円相場の9月の推移は、始値106.11、高値108.48、安値105.74、終値108.08と狭いレンジの動きでした。105円台の滞在時間は限定的なものでした。
 円に買いが向いそうな場面、例えば米中問題等の懸念材料によるリスクオフ時にも下値が外債投資などの実需に支えられるのか限られた動きでした。
 先月の日銀金融政策理事会では、緩和カードは切られなかったものの、総裁発言では緩和カードへの言及はあり(出したからと言って、効果のほどは?マークですが)、多少は影響しているのかもしれません。また、FRBの利下げに関しても、追加の利下げのに対する過度な期待が薄まってきていることもあるかもしれません。

 トランプ大統領は、強いドルについて批判的発言を繰り返してはいますが、米ドル自体は、利下げをしても、強い基調が続いています。ドルの相対的価値を示すドル指数は、直近99.30台と2017年5月以来の高値水準です。
 また、FRB公表の貿易額加重平均ドル実効為替レートの動きは、トランプ大統領が公平さを謳って貿易問題に取り組んだ頃からドル高が進行しています。標的になった国の景気悪化懸念から通貨が売られ、結果ドル高に繋がり、皮肉な結果です。ブーメランでしょうか。


 ところで、ドル円相場に関しては、トランプ政権発足後の方が、レンジ推移はそれ以前よりも狭くなっているのも興味深いところです。また、ドル円が動かないのは投機の対象として取引が減っているという統計もあり、市場から関心がもたれていないというのもあるかもしれません。

 ただ、クロス円では様子が違います。

 他の通貨に対する円相場であるクロス円相場は、他の通貨安対ドル高となっていますので、例えば、利下げが続く豪ドルに対しては72円台、対ユーロが118円割れのように、円高傾向は大きくなっています。ドル高と円高の基調がこのようにクロス円レートに現れています。

 根が深い米中貿易問題が、簡単に米国が求める解決に到るとは思えませんが、そろそろ米大統領選挙まで1年。景気の悪化が顕著になれば景気失速を避けるために、トランプ氏はFRBへの大幅利下げプレッシャーのみならず、米中貿易関連でも良いカードを出す可能性も否定できず、悲観楽観の繰り返しは続いていきそうです。


 ヘッジファンドの決算を控えて荒れると言われる10月。世界ラグビーで盛り上がりつ、冷静に相場観察も注意深く怠らずと思っております。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※10月2日東京時間午前9時執筆
 本号の情報は10月2日東京市場始値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)