■連載 「運が実力のすべて 最終回」 by 石川凛


■心からお金を好きになりましょう■

みなさん、心からお金を好きになりましょう。


 みなさんは、お金が好きですか。私はお金が大好きです。世の中お金がきらいな人などいないと思っていました。日本人が貯蓄好きなのは、世界的に知られています。日本政府も日本には個人の貯蓄があるから、国債を大量発行して日本国が借金をしても問題ない、などとグウタラ亭主が奥さんの持参金を頼りに空威張りしているようなものだと、批判されたりしているほどです。


 世界中を見渡すと日本人より貯蓄好きな国民はいるようで、台湾人のほうが日本人より収入に占める貯蓄率は高いし、シンガポール政府は政策によってサラリーマンの給料から20%も強制貯蓄をさせていると聞いたことがあります。
 私は、お金でこの世の中全てのものが買えるとも、全ての問題を解決できるとも思っていません。しかしお金で解決できることも、大変多いことを否定するつもりもありません。


 人の心もお金で動かせるというのは事実だと思います。日本では金色夜叉の昔から、お宮さんのようにお金にひかれる女性は多かったと思います。25年も前の私の大学生時代にも、車を女性に贈ってライバルを蹴落としたという話しを聞いたことがあります。バブルのころ、ある経営コンサルタントが銀座のクラブで見たということをご紹介しましょう。


 某都市銀行の役員の息子が土地転がしで大金を稼いで、クラブでお金に一番反発しているホステスの前に100万円の束をひとつずつ置きながら「今夜俺に付き合え」と迫ったそうです。女性は最初、ものすごく反発していたそうですが1000万円を超えたときに、にっこり笑って「いいわ」と答えたというのです。いかにもありそうな話しですよね。蛇足ですが、その男性は塀の内側に落ちたそうです。

 そこまで極端なことを言わなくても、恋の相手は見てくれで選んでも、夫にするのは生活力のある(お金のある)人という女性も多いのではないでしょうか。最近私はある本で「愛はお金で買えない」というのは間違いだ。正しいのは「お金で買えない愛もある」だ、という意見を見ました。つまりほとんどの愛はお金で買えるという意味なんでしょうね。そこまで行くとちょっと悲しいですね。せめて「お金で買える愛もある」くらいにとどめていただきたいものです。(笑い)


 これは実際、私が自分の目で見たことですが、タイやマレーシアで、日本人の老人が自分の孫ほどの若い女性をホテルでつれ歩いているのを見て苦々しく思ったこと(うらやましくの間違いではありません)があります。これもバブルのころのジャパン・マネー、お金の威力の一つの現れだったと思います。


 こんな話しをなぜくどくどしたかというと、ここまで読んできて「成金はきらいだ。」とか「世の中、金が全てではない。もっと大切なものがある。」とかお金に反発を感じた人がいるのではないでしょうか。もしそう感じたなら、あなたは本心からお金が好きではないのです。本心からお金が好きにならないと、お金もあなたを好いてはくれません。

 たぶん、あなたは自分ではお金が好きだと思っているけれど、お金で買えるものが好きだったにすぎないのではないでしょうか。そして、本心ではお金を嫌っていたのではないでしょうか。


 私は最近、お金が好きなのではなく、お金で買えるものが好きな人やお金を使うのが好きな人は、お金を貯めることができないのではないかと思うようになりました。みなさんもぜひお金それ自体を好きになってください。

 お金持ちは、お金そのものが好きなのです。お金の匂いをかぐのが好きな人もいれば、紙幣そのものが好きな人もいます。他人が見れば、そんなバカなことと思うような、いろいろなジンクスを持っています。

 たとえば「預金通帳に、欲しいお金の金額を書いておく。そうすると実現する。」とか「紙幣のむきをきちんと揃えて、財布にしまう。」とか「使うとき、お金にお礼を言って、また仲間を連れて帰っておいで、とささやく。」とか、みんな真剣に実行しているのです。斎藤一人さんも実践者のお一人です。(笑い)
 だからみなさんも、本当にお金が欲しかったら、お金を好きになってあげてください。そうすれば必ず、お金もあなたを好いてくれます。道に1円が落ちていたら、拾ってあげてください。お金はなくてはならないものだし1円足りなくても電話はかけられません。電車にも乗れません。1円でも大切なのです。お金はなくてはならないものだし、少ないより多いほうが良いに決まっています。お金がなくて惨めな思いをしたり、さもしい振る舞いをするくらいなら、持ちつけない大金を持ったために成金的振る舞いをして人に笑われたほうが何倍もましだと、心から信じてください。

 ルネッサンスだって成金の力がなかったら花開かなかったでしょう。日本のメセナもバブルの崩壊とともに消えうせてしまいました。お金に対する罪悪感などけして持ってはいけません。赤貧の思想など捨ててください。あれはお金を持った人の厄払いだと思ってください。

 お金に拘っていいのです。お金に拘るのは心が卑しいなどとお金を否定しないで下さい。お金を儲けることは、きわめて尊い行為なのです。お金を儲けることによって、心が穢れるなどということはありません。お金儲けに罪悪感をもったり、嫌悪したりすれば、けしてお金が寄ってくることはないでしょう。

 成金は、そのお金の使い方を批判されることがありますが、いずれはその金力に相応しい振る舞いを身に付けることができます。お金を持ちつづければ、自制心もついてくるし、お金に振り回されることも少なくなってくるものと、私は信じています。

 過去に、道端でたかだか1億円拾ってしまったために、人生を狂わせた人もいました。竹やぶで「お金を拾った人」と「置いた人」がみっともない言い争いをして世間に恥をさらした事件もありました。過去に汚職事件に連座して、ほんのわずかなお金で自分の大切な人生や名声を台無しにしてしまった人もたくさんいます。

 普段からお金に縁があれば、またお金に対する心構えがしっかりできていれば、さもしい振る舞いや、いじましい醜態をさらすことはなかったに違いないと思うにつけても、早くからお金持ちになって、お金に慣れ親しみ、お金に相応しい器、人格を身につけたいと願わずにはいられません。

 世の中には、お金を貯めることだけが目的になって、お金を使う楽しみを知らずに人生を終わる不幸な人もいるし、お金があるために猜疑心が強くなって人が信じられなくなっている不幸な人もいます。

 その反面、貧乏でも幸せな人生を送る人もいます。だからお金は幸福の十分条件ではないといえるけれども、やはりお金持ちで貧乏になりたがる人(貧乏になろうと思えばいつでもなれるという選択の自由がお金持ちにはあります)がいないように、無いより有ったほうが絶対良いのがお金だと思います。(笑い)


 みなさん、まず心底お金を好きになりましょう。そのためのすばらしい呪文をお教えしましょう。

「人の価値観によってお金より大切なものもある。そしてそのお金より大切な価値を実現するためには、お金が必要だ。だから私はお金が大好きだ。」


 私の場合はとにかく「お金が好きなんですよね」お金を使うより、お金を貯める方が好きなんです。でもシャープなお金の使い方は大好きです。「けちが好き」というと嫌な顔をする人でも「シャープなお金の使い方が好き」というとにっこりするので、いまはシャープなお金の使い方というようになりました。(笑い)

 くどいようですが、お金を大切にせず、お金に感謝しない人は絶対お金持ちになれません。まず、今日からお金大好き人間に変身してください。君子は豹変していいのです。(笑い)


(石川凛)

※2004/1/6掲載

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)