米国の利下げを材料にしたリスク選好相場の流れは、先週一時的に、米国の住宅関連の数字の悪化を理由に、一時大きく売られる場面もありましたが、米中貿易協議再開というニュースも手伝い、直ぐに戻ってきました。
相場の大きな材料になっている7月のFOMC(30日~31日開催)での利下げ決定は、ほぼ確定とみられていて、焦点は0.25%か0.5%になるのかという幅の問題に。
利下げ幅については、FOMC開催一週間前(今回は7月23日)から、ブラックアウトという要人が金融政策についてのコメントを避ける期間に入ってきたため、ヒントになるかもしれない要人発言は聞けなくなります。
FOMC開催までに発表される重要な経済指標は26日に発表される米国4~6月期のGDP速報値(事前予想は、前期比+1.8%年率)があります。前の期の+3.1%から下がるものの、今年の半期として捉えれば、FRBの想定する成長率を上回るものと見られ、米景気の悪さを示すものにはならないと予想されます。
今回の利下げについては、景気は悪くはないが、海外要因も含めて、今後の景気に懸念材料がある、さらに最も懸念材料とされる低インフレによるデフレリスクを防ぐための予防的利下げとされているので、利下げ幅は0.25%と見るのが妥当かと思われます。
もし、0.5%下げた場合には、FRBは景気見通しを、かなり悪いと見ているのだろう、と市場は受取り、逆に株式市場にはネガテイブなインパクトを与える可能性もあります。
ちなみに、現時点での、エコノミスト予想は、0.25%が82.5%、0.5%が17.5%です。
夏休み前の7月開催の主要国の金融政策決定会合。月末のFOMCが注目を集めていますが、25日にはECB(欧州中銀)の理事会が開催されます。
25日開催の理事会では、利下げや量的緩和(QE)再開を決定するというよりも、フォーワードガイダンスにおいて追加緩和について修正が示され、夏休み明けの9月理事会で議論され、中央銀行預金金利(-0.4%)の0.1%引下げなどが決定されるのではないかと見られています。市場は、すでに織り込み済みと思いますが、昨日から通貨ユーロが1.12台から1.11台半ばまで売られる展開になりました。
利下げや、量的緩和の方向性は、ECBのみならず、昨日23日にはニュージーランド中銀(RBNZ)も量的緩和について示唆し、ニュージーランド・ドルが売られるという展開に。利下げ、或いは緩和競争になるような様相。
米国の利下げで、ドル安方向に動いた為替相場ですが、直近の相場はドル高傾向にあります。ドルの相対的価値を示す「ドル指数」は、直近97.75。6月末にドル安に傾いた時の95.84水準から、しっかりリカバー。
ドル円相場も、上値は重い印象で、下がりそうで107円台では下値が固い印象。背景には、日銀が9月に追加緩和をやるかも?(どれほど出来るか不明ですが)期待があるとも言われます。
2019年(欧米式)下半期が始まり、主要通貨の対米ドルパフォーマンスをみると、ブラジル・レアル(+2.3%)、メキシコ・ペソ(+0.9%)、南ア・ランド(+1.5%)以外は、対米ドルげ下落。英国ポンド、ユーロなどの欧州通貨が2%強下落しています。円は0.3%程度のドル高円安ですが、動きには乏しい状況です。
米国が利下げに動くため、通貨高を防ぐためもあり、多くの国が利下げや緩和に動く様相です。米国の利下げについては、パウエル議長は景気減速というより低インフレを強調していますが、トランプ現政権への(アメリカ版?)忖度が大きいのかな、とも思います。昨年12月の利上げ時に、株式市場が大きく下げたことへのトラウマもあるかと。
それはさておき、米国の利下げ、7月に0.25%、様子次第で、9月に0.25%、10月からはバランスシート再投資による緩和もありますので、そこへ繋げて、トランプ大統領のプレッシャーはあるとは思いますが、一旦利下げは休止では?と考えています。
今後の相場を見るうえで、米中貿易交渉の進捗も注目されますが、10月31日に期限を迎えるBREXITも気になるところです。
新しい英国首相である離脱強硬派のジョンソン氏がBREXIT交渉に対EU、対議会で合意を取り付けられるのか、または、合意なき離脱に突っ走るのか、或いは、またまたの延期か?
何でもありそうでもあり、結局決まらなそうでもあり。相場への影響。
ウオッチしていきたいと思います。
地域によりますが、長い梅雨が明けるのも間近。少なかった日照が戻り、田畑の作物にも相場にも元気が出ることを期待して。暑中、ご自愛のほどお過ごしください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※7月24日東京時間午後2時執筆
本号の情報は7月24日東京市場始値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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