全体相場が上昇パターンを描く時、個別株にも当然のごとくその潮流は伝わってくる。逆に言えば個別株が割安感、底打ち感が感じられると全体相場にも上昇のトレンドが形成されることになる。
日経平均はソフトバンクGやファーストRなど一部の銘柄に影響を受けてしまいがちだが、TOPIXには底打ちのパターンが感じられ先高感が醸成されつつある。昨年12月の安値1408と6月3日の安値1490で2番底をつけ上昇の動きは侮れない。
この先、2018年1月の高値1911を目指すかどうかはまだ見えないが、間もなく実現しそうなNYダウやNASDAQの高値更新の動きが日本株にも好影響をもたらすことになる。
JASDAQ指数やマザーズ指数も高値からはまだ相当に下の水準にあって個人投資家は評価損を抱えた状態のままかも知れないが、機関投資家のベンチマークであるTOPIXの上昇はこうした中小型株指数にもプラスに働く。
少なくとも業績を無視して下げてきた銘柄にはリカバリーのチャンスが訪れていると言える。
時価総額では銘柄数2149の東証1部が608兆円。銘柄数1164の東証2部、JASDAQが合わせて16兆円足らず。これは既に30年も昔のバブル経済期のピーク水準に匹敵する。
覇権国家、米国のダイナミックさには及ばないが緊縮財政でデフレ経済の道を歩む日本国の株式時価総額が624兆円で停滞はしていてもようやくピーク時に匹敵する水準となってきた点は注目される。
問題はこの先だ。
絶えず未来の不透明感がつきまとう中でこれだけ割安感のある銘柄が増えてきたのにリスクを取ろうとしない投資家にいらいらが募る展開が続いてきた日本の株式相場。
消費税が10月から10%に引き上げられようとする中で不安感が続いてきたが、軽減税など対応策を含めた増税決定となって今や開き直りの状態。消費税増税でデフレ経済が令和時代でもなおも続くが来年に迫ったオリンピック開催で世界の関心が日本に向かう中で景況感が上向くとの期待もある。
株価の上昇自体が景気にはプラスに働くこともありうる。
昨年度の年金の運用が2.4兆円の黒字になったとの報道は株式による運用の成果向上の賜物でもある。明らかなバブル状態には至っていない株式指標面での位置はリスクオフした投資家の回帰にもつながる。
先週、ある伸び盛りの化粧品会社オーナー経営者のところに足を運んだ。
そこで個人的な余資運用の状況を尋ねてみたが目先で売買などできない忙しい中で配当利回りの高い銘柄をじっくりと保有するスタンスであるようだ。
短期売買に徹する投資家の中で着実に配当利回り狙いでじっくりと保有しようと考えている投資家がお見えなのも事実。デフレ下でも儲かっている企業は存在する。
キャッシュを将来のために多少でも有利に運用しようというニーズは存在する。株式運用はあくまでも副業であり本業で稼いだお金の運用の場なのであって、それは年金の運用にも通じる。
上場企業の成長意欲の高まりとその中で実体価値の高まり。AI、IoT、5G、ブロックチェーンなどなど、近未来を先取りしたテーマが株式市場では踊っている。未来を先取りするのが株式相場であるからこそプレミアムがついて取引される筈だが、PER12倍。解散価値PBRも1.1倍の水準にいまだ留まっている。
デフレ経済だから致し方ないとあきらめてきたが、時代は着実に変化している。
未来に起きるだろう出来事を見通すことは困難だが、過去から現在がそうであるようにポジティブに捉えながらも絶えず油断しないで、株式投資に向かいあうことにしよう。
過去まいた種は芽が出て花を咲かせる時期がやってくる。株の格好の稼ぎ時は忙しい時期でもある。
(炎)
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