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とことんやさしい燃料電池の本 第2版

2019/06/06 14:38 投稿

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書評:とことんやさしい燃料電池の本 第2版
   森田敬愛 著、 日刊工業新聞社

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●地球温暖化騒動という愚行

 私は、「地球温暖化騒動」は、ほとんど根拠が無いものと考えている。

 もちろん、古代から地球の気温は、何回もの氷河期を挟んで、激しい変動を繰り返しているから、地球の気温が変化しないということでは無い。むしろ、過去の大幅な気候変動に比べれば、現在の地球の気温は、安定的であるということだ。

 そもそも、厳しい氷河期が終わり「地球温暖化」が始まったからこそ、1万年ぐらい前から人類は偉大な文明を築き始めた。地球温暖化と「人類が排出する二酸化炭素」の因果関係を明確に示す証拠などなにひとつないということでもある。二酸化炭素は元々地球の大気中に大量に存在し、二酸化炭素のおかげで植物は生育できるのである。

 ちなみに、シアノバクテリアが登場して、酸素を大量に放出するようになるまでは、大気中の酸素は微量で、酸素は生物にとって「致死性ガス」であったのだ。地球史の流れで見れば、大気中の成分も激変しており、狭い視野で「環境問題」を騒ぎ、莫大な社会的負担を行うことはばかげている。

 したがって、電気が二酸化炭素を排出しないということにも、さほど意味が無いのだが、その話さえ、本当はまやかしなのだ。


●電気はクリーンでは無い

 電気がクリーンエネルギーであるというまやかしがはびこっている。確かに電気・電流そのものは、排気ガス、二酸化炭素などを排出しない。

 しかし、まず電池には多様な「有害物質」が使われており、太陽光パネルなどではすでに用済みとなったパネルの「廃棄処理」の問題が生じている。

 太陽光パネルだけでもこのようなありさまだから、世界中の車が電気自動車になって、その電池の廃棄問が生じたときの影響は恐ろしい。規模で言えば、原子力発電所の廃炉より深刻になるのではないだろうか?

 また、電気そのものがクリーンであったとしても、世界の発電を見れば、石炭火力が約40%、天然ガスが約20%、水力発電が約17%、原子力が約11%。原子力を含めれば、自称環境保護運動家が主張する環境にやさしくない発電が7割以上を占めているのだ。
(詳しくは 現代ビジネスの2018年8月27日の記事
騙されるな、空前の電気自動車(EV)ブームは空振りに終わる
 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57205?page=3 を参照)

 この状況で、電気がクリーンだなどと叫ぶのは、ほとんど詐欺に等しい。


●水素も化石燃料から生産する

 もう20年以上前のことだが、航空機をルーツとする某自動会社の技術者から「燃料電池というのは、海に無尽蔵に存在する水素を使う究極のエネルギーだ」という話を聞いたことがある。

 確かに、水素というのは宇宙の基本元素であり、すべての元素は水素が核融合した結果生み出される(鉄までの元素は太陽内部の核融合で生まれる。それ以上は超新星爆発など・・)。したがって、地球だけでは無く宇宙中に水素があふれている。

 しかし、「原理」と「実用」はまったく異なる、例えば、水から電気分解によって水素を分離できるが、その電気分解に使う電力は、前述のように大部分が化石燃料から生産されるのだ。この方式はそもそも環境にとって意味があるとは思えないし、コスト的に見合うものかどうか・・・・

 実際、現在利用されている水素の大部分は、コークスや苛性ソーダなどの製造過程の副産物を除けば、「水蒸気改質法」と呼ばれる石油や天然ガス(化石燃料)と水蒸気を触媒上で反応させることによって量産されたものだ。

 つまり、燃料電池(FCV)に使う水素も、現在のところ化石燃料由来で、水の電気分解などで、クリーンかつリーズナブルなコストで生産する方法が見つかっていない。

 ちなみに、FCVに使われる(PEFC=固体高分子型燃料電池)には触媒としてプラチナが必要である。FCVの開発当初は1台あたり200グラム使われていたといわれるが、現在は1台あたり20~30グラム。トヨタ1社の年間生産台数と同じ1000万台がFCVとして市場に供給される場合、総量は200トンから300トンになるが、これはプラチナの年間生産量200~250トンに匹敵する。こちらの資源御制約からも、FCVの前途は多難だ。


●結局、現代文明は化石燃料とともに始まり、化石燃料とともに終わるのか?

 人類の近代文明は、1800年頃の「産業革命」とともに勃興した。それ以前の文明とは全く質的に変化したと言ってよい。

 当初は石炭、その後は石油という「究極のエネルギー」によって、現代文明が爆発的に発展したから、人類が「化石燃料の次」のエネルギーを模索するのは当然であるが、私がこれまで丹念に調べた結果では「化石燃料」の次を担うエネルギー源など全く生まれていない。

 再生可能エネルギーなどお笑い草で、風力、太陽光、潮力、水力などは有史以前から存在するが、効率性が低く、しかも現代の複雑なネットワークを支えるには不安定すぎる。

 結局、近代の文明は化石燃料のおかげで咲いたあだ花にしか過ぎないのかもしれない。エネルギー源としてだけでは無く、プラスチックや化学繊維など身の回りの製品のほとんども石油などの化石燃料からできている。

 多くの古代文明は、豊かな自然環境のおかげで発展し、その豊かな自然環境の変化のせいで滅亡したなどといわれるが、近代文明も化石燃料という環境のおかげで発展し、その変化によって滅亡するのではないだろうか?

 だから、化石燃料を目の敵にするなどもってのほかである。化石燃料と共存することこそが、人類生き残りの正しい進路なのである。化石燃料は近代文明の大恩人であり、これからも強力な守護者なのだ。

 化石燃料が枯渇するからと言って、再生可能エネルギーに巨大かつ無駄な資金や労力を投じるのは、後の時代の人々から見れば「飢饉を食い止めるために、大量のいけにえを神にささげた古代人」と同じくらい野蛮なのかもしれない。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
★夕刊フジにて「バフェットの次を行く投資術」が連載されています。
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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