~良い自己株買いと悪い自己株買いがある?~
企業活動の結果として生まれる期間利益及びその蓄積である内部留保を何に使うのかは経営者の重要な施策と言えます。
一般的には継続的な成長に向けた先行投資に振り向けるのが常ではあるが、市場の評価が低いと判断される場合は、自ら発行した株式を保有する現預金で買い取り、企業価値を高めることになります。
これを自社株買い、ないし自己株買いと称し多くの上場企業がごく当たり前のように行っています。
赤字続きでキャッシュに乏しい企業はむしろ新たな資金調達に奔走し、もし自己株を保有していれば外部に売却することになり、買うことはないでしょうが、長期間の利益計上でキャッシュフローが潤沢な場合、多くは株主還元の一環として増配するか自社株買いで対応します。
自社株は将来、また市場で売却することも可能で新たな成長に向けたM&A実施の際にも株式交換やキャッシュ化するなどで自社株は活用されます。一般的な自社株買いは一定期間内で市場から取得するケースが多いのですが、市場外で取得するケースもあります。市場外の場合は大口投資家(取引銀行など)の要請に基づいて行うこともあると見られます。自社株買いが発表された実施期間の1日目の初めに実施されることが多いので、株価低迷で困っている株主にとっては有難くないやり方と言えます。
つまり株主(=会社)にとってはメリットのある良い自己株買いとメリットのない悪い自己株買いがあるというのが本日の私の主張です。
先日のソフトバンクGの自己株買い発表とその後の買い付け行動は良い自己株買いの事例です。自社の評価が低いことを理由に6000億円規模の自己株買いを1年近い期間において実施するという打ち出し方はさすが孫社長と言いたくなります。
こうしたロングランの自社株買いは相場全体にも良い影響をもたらします。
夢真HD(2362)の自社株買いもそうした事例ですし、先週発表されたソルクシーズ(4284)の上限80万株、5億円規模の自社株買いもそうした良い自社株買いの事例と言えます。
それに対して社名は伏せますが、期間限定で1日で終わってしまうような自社株買いなどは悪い自社株買いの事例です。
保有するキャッシュを下回るような時価総額が続いている場合は、その差額分だけのキャッシュを使ってでも自社株買いをやるべきですが、なかなか企業側が理解されていないようです。
その会社は昨年9月にも同じような自社株買いを実施し、その取得価格を1度も上回らず、その後の株価が低迷したことを大いに反省すべきなのです。
当該企業にはぜひとも良い自社株買いを実行に移してもらいたいと思います。(良い自社株買いを推進する会の会長、炎のファンドマネジャーより)
(炎)
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