産業新潮
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2月号連載記事
■その5 敵を知り己を知る
●終身雇用の重要性
ドラッカーもバフェットも、「終身雇用」を重視し、それを維持することが競争力の源泉であると考えています。特に、バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイでは「定年」というものがありません。一応、104歳まで車椅子に乗って現場で指揮を執ったバークシャー傘下のネブラスカ・ファニチャーマート創業者の「ミセスB」に敬意を表して104歳が定年ということになっています。しかし、それを超える人物が出現すれば、定年はいくらでも引き伸ばします。また、ごくわずかの特殊な例を除いて、他社から引き抜いたり、逆に他社から引き抜かれたりしたことが無いのもバフェット(バークシャー)の自慢です。
ドラッカーも「高い費用と長い期間、それに多大な労力をかけて教育した人材を簡単に手放すような馬鹿げたことはすべきではない」として、安易なリストラ(人員削減)によって、目先の収益をかさ上げする手法に警鐘を鳴らしています。
●買収先の経営者を温存する理由
バフェットはまた、買収した企業の経営者を追い出したりしないで、そのまま仕事を継続してもらうことでも有名です。むしろ、既存の経営者がそのまま経営を続けることを買収の条件にしているといった方が正しいでしょう。この理由について、彼は「我々が新たに優秀な経営者を見つけるのはとても困難である」からだと述べています。
この言葉が、自らバークシャー・ハサウェイの(実質的)創業者として、世界有数の企業に育て上げた実業家のものであることに注目すべきです。彼ほどの優秀な経営者であっても、だれかお気に入りの経営者を連れてきて、買収した会社の幹部に据え、後ろから糸を引こうなどとはつゆほども思わないということです。
また、このような方針には色々な副産物もあります。まず、このバフェットの方針が世の中に知られるようになるにつれ、敵対的買収を恐れる企業の経営者から「ぜひバフェットさんに売りたい」というオファーが殺到し、優秀な企業が好条件を提示して行列するようになります。また、売却後に既存の経営者が経営から手を引く場合には、どのような経営上(財務上)の問題が隠れているのかわかりませんが、売却後も自分自身が経営を行う経営者が「ごまかし」を行う可能性はあまり高くはありません。
バフェットは、企業買収の際にデューデリジェンス(決算書などの財務諸表に対する会計士などの精査)をほとんど行いませんが、彼自身が財務諸表を見抜く力があるというのはもちろんのこと、経営を継続する人物が会計上のごまかしをすることが少ないということも安心できる理由です。その代わり、買収先企業の経営者との人間的親交を深めることには熱心で、彼らは、バフェットの親友ビル・ゲイツなどの財界の大物とのゴルフのラウンドに招待されるのが通例です。
●子犬に老犬のトリックを教えることはできない
これはバフェットお気に入りの言葉の一つです。老犬は体力も落ちて、スピードや敏捷性では、子犬にも劣ります。しかし、老犬には長年の人生で培った「経験・知恵」という武器があり、それは子犬には簡単に(絶対に)学べないということです。
続きは「産業新潮」
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2月号をご参照ください。
(大原 浩)
★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
★夕刊フジにて「バフェットの次を行く投資術」が連載されています。
(毎週木曜日連載)
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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