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 クリスマス・シーズンは欧米の休暇シーズンは、例年、流動性の低下で、乱高下が起こる時が多々あります。しかし、今年の24日、25日。クリスマス当日に、これほどのリスクオフが起こった記憶がありません。
 また、例年、欧米では、クリスマスが過ぎると、市場は新しい方向へと舵を切っていくように認識してきましたが、引き続き、リスクオフの流れが続きそうに思っています。特に今年の年末年始は、諸々の不確定要因で、相場がかなり荒れる可能性が高いと思われます。
 「観るも相場」と考えた方が良いかもしれません。


 このところの動きは、要人の誰々の発言や米政府機関閉鎖等の材料で動いた云々言われますが、土台や背景が揃っていなければ、これほど大きくは動かなかったでしょう。
 大きくは、10年を迎えようとしているアメリカ好景気の循環が、後退へと動いていくのではないかという不安で、マイナスの芽ばかりが目に入り、不安の種となり、リスクオフの土台が醸成されているのではないかと思えます。


 先週19日のFOMC(米国連邦公開市場委員会)での今年4回目の利上げ決定は、ほぼ(7割がた)予想通りでした。ただ一方で、株式や原油市場の不安定な地合いの環境下での利上げは「普通そりゃ~ないだろう」と見る向きもあった中での利上げ。
 さらに、来年再来年に向けてのFOMC予想が下方修正されたとはいえ、市場が感じている今後の予想からしたら、当局の立ち位置が強気にも見え、金融政策による景気のオーバーキルの不安もリスクオフに繋がったものと見られます。
 急激な下げの後にある自立反発も見られるものと予想されますが、不安心理が払しょくが見られない限り、相場の地合いの回復は難しいのではないかと思います。


 そんな中での、ドル円為替相場。

 米国政府機関の一部閉鎖、不安的な株式市場などネガティブな要因に囲まれての年末年始。2週間前の113円台から、さすがにリスクオフの流れに反応して、110円割れも見ました。ただし、株式市場の下落の割には、意外と底堅いという印象です。

 その裏には、今年のドル円相場の値幅が、このまま越年すれば、高値114円55銭、安値104円56銭と過去最少記録だったこともありそうです。

 来年、米国の利上げはペースダウンの一方で、日本は消費税増税を実施後の不透明感もあり、当分超緩和政策の出口への踏み出さないと見れば、日米金融政策の格差から大きなドル安にはならないのではと思います。


 2018年は年初来、(今のところ)基本的にドル高その他通貨安(円は軽微に円高)の推移でした。来年に向けて、米国の利上げ打ち止めの可能性もありつつ、主要国の国債利回りを見れば、未だに米国が最も高い水準を保っています。

 他の主要国、例えば欧州を見ても、政治的不安定さ、景況感の悪化が見られ、利上げは後づれする可能性があります。
 日本については、上記した通りで金利上昇は限定的でしょう。
 また、英国は引き続き、合意なきBREXITが不安要因です。

 米国の金融政策正常化の動きが、ほぼ中立になったところで、来年は今後の為替相場の方向を模索していく年になるのではと思っています。

 まずは、2019年正月早々の注目は、4日に米国の12月の雇用統計の発表です。


 今年も、億の近道、拙コラムをお読みいただき、ありがとうございました。

 読者の皆さまには、新しい年が幸多き一年になりますように心より祈念致し
ます。


※12月26日日東京時間17時執筆
 本号の情報は12月26日の東京市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)