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成長を無視して株価を予想してはならない

2018/11/21 14:35 投稿

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■相川伸夫ピックアップ銘柄フォロー
 ※11月16日(金)執筆時点

・山王(3441)2016年12月19日配信
 株価560円⇒913円(+63%)

・テノックス(1905)17年2月20日配信
 株価815円⇒873円(+7%)

・LCホールディングス(8938)17年4月3日配信
 株価894円⇒1462円(+64%)

・特殊電極(3437)17年6月12日配信
 株価2922円⇒4430円(+52%)

・東北特殊鋼(5484)17年9月4日配信
 株価1831円⇒1338円(-27%)

・新報国製鉄(5542)17年10月2日配信
 株価1577円⇒1006円(-36%)

・パウダーテック(5695)18年2月19日配信
 株価4845円⇒2583円(-47%)

・東京エレクトロンデバイス(2760)18年4月6日配信
 株価1970円⇒1956円(-1%)

・アバント(3836)18年6月25日配信
 株価945円⇒1267円(+34%)

・神戸天然物化学(6568)18年8月13日配信
 株価2718円⇒2140円(-21%)

・丸順(3422)18年9月18日配信
 株価826円⇒812円(-2%)

・クロスフォー(7810)18年10月9日配信
 株価421円⇒410円(-3%)



 去年までの相場はとても素直な相場(好決算の銘柄は買われる、高成長の会社は高PER水準まで期待で買われる)で今年、特に10月に入ってからは好決算でも売られたり、決算の数字から成長鈍化の気配がするだけでストップ安まで売られたりする大変難しい相場展開です。

 セクターの中でも特に足元、製造業や不動産と言ったものは大きく売られています。


 皆さんの中にも『こんな良い会社なのだからこんなに売られるなんてマーケットがおかしい』と憤慨している方もいると思います。以前私もそのように考えていた時期がありますが、その考えは非常に危険なので改めることが肝要です。

 株価は先行指標でもあり、マーケットの需給(買う人と売る人のパワーバランス)によって上下に暴れまくる単なるプライス(それ以上でもそれ以下でもない只の値札)でもあります。


 同じ決算の業績でも一年前なら翌日S高まで買われる値でも今だとS安に売られるようなことが一部で起きているのが現在のマーケットです。

 マーケットも四季のように移ろっており、夏なら半袖でも熱いが、冬はダウンジャケットを羽織っても寒いという違いがそこに存在します。


 今、マーケットはこれから冷え込んでいく局面にある可能性があります。

 いっその事ここらで投資を一旦お休みして、また相場がホットになったら再開するのも立派な戦略です。

 もちろん、冷え込みに行くのを十分に織り込んでおり、今が従来から言われる定説の「10月に買って4月に売れ」というように買い場なのかもしれません。

 相場を当てに行くよりも『こうなったらこうしよう』と備えておくことが重要です。


 この後書く内容は、これから2年~3年もしかしたら冬に向かうかもしれないマーケット状況ですが、それでも戦う意思を持つ人に対して参考になればと思って書きます。


■日経平均の下値についての考察


 相場を当てるのは困難ですが、仮にマーケットが悪くなっても日本企業が全て破産するわけではありません。企業活動が増収増益だったのが横這い成長、あるいは減収減益に転じる訳ですが、リーマンショックからの10年で日本企業の財務も良くなり資本も約2倍になっています。配当金額も増えています。

 株価を考える時に、いったい何を元に株価は形成されているかを考える必要があります。

 相場を当てるのは難しくとも下限はおよそこのくらいまで行ったらよっぽど買い向かってしばらく待てばプラスになるであろうという計算は可能です。


 投資における人気指標であるPERは景気拡大面ではある程度参考に出来ますが、景気減速面ではまったく当てになりません。

 なぜなら業績の下方修正が出ればEPSが低下することで一番大きくブレる純利益を使っているから指標として当てにならないのです。

例)
・EPS100円で株価500円=PER5で割安だと判断して買った

↓市況悪化で業績予想が下方修正されてEPS10円になってしまった。

・EPS10円⇒PER5のままなら株価10分の1の50円
(実際にはPBRや配当利回りやビジネスモデルなども作用するので、下方修正だけでここまで売られるのは稀ではある)


 このように、下方修正の可能性が高まるタイミングではPERの信頼度は特に大きく低下(今期予想のPERが低いからと買い向かっても株価がズルズル下げて、トドメに下方修正や来期の通期予想が大きく下げる等のパターン)してしまいます。

 またPERはこれまでの様々な記事でも触れてきたようにセクターや業態によってはその平均値も大きな差(医薬はPER30弱、製造系は10前後等)があります。

 PERは単年での業績数値で会社の株価がどのくらい買われているかを表すので大きくぶれますが、PBRはこれまでの会社の業績によって増えた資産で評価するので単年ごとの変動は少ないです。


・PERは会社の収益力での株価指標(個人で例えると年収での評価)

・PBRは会社の資産での株価指標(個人で例えると財産での評価)


 また、PERやPBRで会社ごとに比較してもそれが適切ではないことは今までにも述べましたが、それらをもっと大きなくくりで見た日経225やTOPIXでのPERやPBRでみると株価の下値予想に使うことができます。

↓参考外部サイト 『日経平均PBR チャート』
 https://nikkeiyosoku.com/nikkeipbr/

↑のグラフで日経平均の過去のPBRの推移が見ることができます。

 期間をALLにすれば約15年位まで遡ってみることができます。

 グラフで見ると一目瞭然ですが、リーマンの時の安値は特にひどいです。

 あれは金融全体がクラッシュして信用収縮を起こしてしまったので特に世界経済にダメージが大きく、100年に一度の出来事と経済界でも言われていることを聞いた人も多いでしょう。

 リーマンショック後の日経平均安値は7,054円であり、この時の日経平均PBRは0.81(BPS5700円)でした。

 あれから9年、現在足元の日経平均のBPSは3倍強の19000円を超える程になりました。

 このことを認識されている方はあまりいないように思います。

 アベノミクスが始まった2012年末以降で急落したのは2016年の7月のブレグジットのニュースが世界を駆け巡った時が最も低く14952円でPBRは1.03を付けました。

 現在の日経平均は21680円でPBRは1.13です。

 ブレグジットレベルのPBRまで落ちるとしてPBR1.03は日経平均19755円。

 リーマン級のPBR0.81で考えると日経平均15535円。


 先行き不透明であることには変わりませんが、私にはそこまで悲観するような水準ではないのではないかと思っています。

 現在の日経平均が30000円であればすごく判断が難しい段階ですが、そうではありません(笑)。

 もちろん、アクセルを踏み込むタイミングが今か?と聞かれるとそうとまでは思いませんが、全て現金にしてしまうのはもったいないと考えています。


 私がここで取り上げている銘柄の他にも素晴らしい銘柄が市場には沢山あります。

 個人的な意見としては配当性向が30%程度で配当利回り3.5%を超えている企業、かつ財務としてネットキャッシュ(有利子負債-保有現金)が豊富(時価総額の30%以上)な企業で現在売られている物が多くあります。ここに成長シナリオ(減収になっても赤字にならない企業=BPSが毎年増える企業)もあれば尚良いです。

 そういった株は今年の前半に比べ株価がかなり下がってきており、魅力が相対的に高まっている印象です。


 思考停止(フリーズ)するのだけはダメです!!

 毎日株価やチャートばかりを見ても特に得る物はありません。

 視るべきはもっと他にあります。


 投資の世界に身を置いて過ごした時間全てが経験という糧になり、次はもっとうまく立ち回ることができます。

・相場から離れすぎないこと

・考えることをやめないこと

・『気付き』には必ずさらに深い気付きがあること

・過去の判断がベストでないと悟った時は素直に認め、軌道修正をためらわないこと

・株価の下落が会社の実質的な価値の下落と必ずしもイコールではない(見極めが重要)こと



 そろそろ年末も控えているので今年利益が出ている人は節税クロスなどもしていった方が良いでしょう。

 難しい相場展開が続くかもしれませんが、思考を続けることが肝要です!!


それではまた。


『全力全開全力前進!!!』


(相川伸夫)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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